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「500文字の心臓」超短編集

超短編競作サイト「500文字の心臓」に、BUTAPENNと山仙さんの合作で参加した作品を集めてみました。
出されたお題にそって500文字以内の短編を投稿し、互選によって正選・逆選などの賞が
与えられます。そして受賞者が次回のお題を決めるというシステム。
ここには、選評をいただいて修正・改稿したものを載せてあります。
(実際に投稿した作品は、それぞれの作品末尾からリンクしています)


3/8 九作新規アップ。(→ こちらからどうぞ



捩レ飴細工


炎熱でついに通天閣が飴のように捩れた旧暦七夕の宵、夜空にぽっかりとアメの川が現われた。
天の川は見る見るうちに捩れて熱い熱い原始太陽系を作り、
原始太陽系の隕石円盤が捩れて熱い熱い地球を作り、
どろどろの溶岩がアメに冷やされて大陸となり、
じわりマントルに動かされて五つに分かれ、
さらさらと砂糖の如き雪が降り固まり、
熱射病の頭に氷は有り難い。だが、道頓堀をアザラシとペンギンが競泳しているのはなぜだ?
出来た氷河はゆっくり捩れて、
世界中に                              U字谷を残した。
そうだ! 男にとって、飴よりも鞭よりも嬉しい、あの谷間だ。早く、顔を埋めさせてくれ!
                                ふと、回りを見ると、
                              男たちが大地に身を投げ、
                          母なる大地も応え捩らせ絡まって、
                    DNAの捩レ飴たちが世界を瞬く間に支配する。
                その二世三世の金太郎飴たちは毎日小細工に明け暮れて、
気がつけばドロドロの脳のように、
世界は捩れて夢の跡。



第70回タイトル競作参加作品。ペンギンフェスタ掲載時に改稿しました。
提出した作品はこちら(捩レ飴細工5)
赤裸々


 「グーグルアース」は、地球のあらゆる場所を3Dで見ることのできるソフトとして、熱狂的に迎えられた。やがて、その後続として「グーグルマース」、「グーグルスペース」「グーグルサブマリン」「グーグルアンダーグラウンド」が発売されたのは周知の事実である。
 その独走に対抗すべく登場したのが『閻魔アース』だ。なんと地球に住む全ての人の心を覗くことができるという。
 個人情報保護を声高に叫んでも、監視カメラや対テロ盗聴、ネット検閲などで個人の情報は合法的には特定権力に流れて行く。そういう不公平の是正を謳った『閻魔アース』は、合法非合法に得られる全ての情報をもとに、最新の人工知能を駆使して心理・思想を算出したのだ。
 この手の検索機能が選挙や結婚、就職で有用な事は明らかだが、その有用性故に反発も多かった。特に、発表直後は、自分の心を覗かれる不安にかられる者が続出し、政府・議会関係者による反発まで加わって、一時は『閻魔アース』が禁止されるかも知れない事態となった。それは「グーグルアース」の人工衛星版がたどった道と同じだ。
 だが、時を措かずして流れが変わった。どんな人間にも――そう、与党議員だけでなく野党議員にも――陰の部分があるからだ。全員のイメージが落ちるという事は、誰か特定の人間だけが不利にはならないという事だ。秘せば花なり、秘せずば花なかりけり、と云うではないか。スキャンダルという言葉は死語と化し、その分、人々は己の陰の部分を恐れる必要がなくなったのだ。相手の腹の内を果てしなく探るという不毛な精神活動から解放されてかえって、うつ病が30%減ったという。
 一方で『閻魔アース』は世界に無秩序の嵐を呼んだ。例えば世界的に信望のある民主主義運動の指導者がファッショ思想の持ち主と知れ、或いは数十億の信者を持つ宗教の長が無神論者、ノーベル賞科学者の成果が捏造であると分かったりした事だ。それらは或る程度予想された事とはいえ、それを疑っている段階と現実に見せられるのとでは話が違う。あらゆる人道・宗教・学術の権威が次々と崩壊した。
 もちろん、この手の混乱も半年も経たないうちに、当たり前の事として受け入れられるようになった。こうして全ての混乱が終息してしまうと、人類社会はかつて無い平和な時代を迎えた。というのも、イラクやベトナムのような強引な戦争を起こす口実が存在しなくなってしまったからだ。

 『閻魔アース』の開発をそそのかしたメフィストは、すっかり落ち込んでしまった。
 だが捨てる神あれば助ける神あり。思わぬところから『閻魔アース』が新たな不安の火種となった。というのも、『閻魔アース』ソフトにビールスが侵入して、人間だけでなく、ヒトらしき動物――たとえばチンパンジーやペンギン――を、ヒトを間違えて表示するようになったからだ。野生のペンギンは猜疑心を全く持たない事で知られる。おそらく地上で最も純粋無垢な知的生命と云えよう。そういうペンギンが何十万人も「人」として登録されてしまったのだ。当然ながら、彼らは『閻魔アース』の『純粋者』リスト上位を独占した。人々は己の汚れに自己嫌悪に陥るようになった。

 意外な幸運に息を吹き返したメフィストは、動物路線を拡大すべく、『閻魔アース』の後続『閻魔ペット』の開発に取り組んだ。動物たちの心を覗く事が出来れば、その純粋無垢さに比較して人間が鬱になるだろうと考えたのだ。
 新しい検索システム『閻魔ペット』は発表直後からブームになった。古くから人間の友である犬や猫、鼠や鳥は何を考えているのだろうか? 動物たちの心を覗く事は確かに好奇心をそそるものだった。
 ところが、彼らの内心は純粋無垢とはほど遠いものだった。人間を『アホ』『召使い』呼ばわりしているのならはまだしも、隣人友人家族のスキャンダルをそのまま罵っているのだから溜まらない。結局、『閻魔アース』の初期と同様の混乱が世界を襲った。そして、それは、最終的には『慣れる』というところで収束する。事の意外な展開にメフィストが喜んだのも束の間、結果的に『閻魔ペット』は人間をより強い動物にするという効果をもたらしただけだった。

 『閻魔アース』の開発をそそのかしたメフィストは、すっかり落ち込んで、うつ病になってしまった。
 新総裁に就任したアスタロトは、天国と地獄を覗くことのできる『閻魔ヘブン』『閻魔ヘル』で巻き返しを図っている。



第71回タイトル競作参加作品。
ペンギンフェスタ掲載時に改稿しました。提出した作品はこちら(赤裸々20)
誰よりも速く


 「亀の如し」と枕されるお役所仕事も、今年の市役所はひと味違う。採用されたばかりの新卒ウサギ君が、意欲まんまん、誰よりも速くをモットーに走り回ったからだ。

 市民課に配属されると、毎日早朝から市内を駆けめぐり、死にそうな人の枕元で死亡届を書く。あるいは、結婚届を提出しに来たカップルには、同時に離婚届も渡す。
 誰よりも早く、否、速く配転となった先では、予算実行を早める為に、入札前に発注して新聞沙汰になりかけた。もちろん再配転だ。
 その後も市立大学の合格発表、市主催コンテストの表彰と、フライングを繰り返して、結局窓際に回された。

 そこは昼寝に最高の場所。かくてウサギは、人生最高の場所を誰よりも速く手に入れたそうな。


第74回タイトル競作参加作品を改稿したものです。提出した作品はこちら(18よりも速く)
きみはいってしまうけれども


No1、モノローグ入る

 き みょうというか
きみ わるいというべきか
みは なされてしまった。

ハイ テクとはいえ
いっ こうにうだつにあがらない会社なんかに何故?
って 疑問に思う。
てし おにかけ
しま いのように可愛がったのに。

まう 蝶のように
うけ ごたえすらせず
けれ ん無き爽やかさで、
れーど のようなクールさで、消えてしまった。

どーも おかしい?


No2、モノローグ入る

 き っと
きみ つを守ると思ったのだろう。
みは っぴょうの
ハイ ツ構想を書いた
いっ つうの書類が
つて たよりに
てし たからこっそり送られた時、その
しま つ・・・スクラップ・・・を任された。
間。
 う ったら億クラスの書類!
うけ つけに気取られないよう
けれ っとした態度で持ち去る。
REDOー!! 
ども ってなかったよね、アタシ。
もーけたワ。



第76回タイトル競作参加作品を改稿したものです。
提出した作品はこちら(きみはいってしまうけれども21)
かつて一度は人間だったもの


iPSは有り難い。

火傷の後の皮膚再生。
大怪我の傷口の再生。
……こんなものはちょろい。

すり減ってヘルニアになった腰の再生。
ころんで割れた歯の再生、ついでに抜けた歯も。
……感激だ。煎餅が噛めるぞ。

乱視も遠視も怖くない。
……眼鏡を探さなくてよくなった。

内臓も元気になった。
……なつかしの不養生、酒が甘い。

若い頃の弾力ある筋肉、割れた腹筋、そして運動神経。
……ふっふっふ。年齢詐称。

生殖細胞の活性化。
……おお、何十年かぶりだ。だが、子供は果たしてオレの子か、クローンの子か?

かくて、皮膚、筋肉、骨、内臓、運動神経、五感が再生し、外見二十代、実年齢百三十歳の老科学者が次に取りかかったのは、脳神経細胞の再生だった。だが、これだけは困難を極めた。失敗を重ねるうちに彼の認知症は進み、ついには昨日書き留めたメモさえ理解できなくなった。

ロボット助手の助力を得て、ようやく最後の試作装置が完成した。成功の確率は五分と五分。定まらぬ意識の中、科学者は祈るような気持でスイッチを押した。

目覚めたとき、彼はぼんやりと呟いた。「オレハ、ダレダ?」
ロボットは、答えた。「やれやれ、これで三度目だよ」

そう、どうしても再生出来ないもの。それは『人格』。再生できたら、これも、もはや人間ではない。


第77回タイトル競作参加作品を改稿したものです。
提出した作品はこちら(かつて一度は人間だったもの23)
ノイズレス


(きゃあ、遅れる)
 私は南北問題の特別講演に滑りこんだ。

「…SN問題は」
(ふう、間に合った)
「世界的な…」
 しんとした会場では、マイクの雑音が目立つ。

「…Nの増加に対してSは対数 logN でしか増えない」
(マルサスの人口論ね。人口が爆発しても、食糧や資源はさほど増えない)
「…いかにSを…」
(さっそく本題ね)
「…温度を下げて…」
(食糧危機って地球温暖化のせい? あっ、投機の加熱って事か。確かに冷却が必要よ)
「…フィルター…」
(投機マネーをspamとして排除する訳ね)
「…サンプルを増やして…」
(品種を増やすってこと? そもそも代替燃料のせいでの食糧危機なのに)
「…Nを減らす…」
(げ、これは思わなかった。確かに少子化は地球には優しい。でも途上国の口減らしとなると……)
「…閾値を高くして切る…」
(ノイズとして殺すって事? …とすると、わざと食料を高騰させて、飢餓や内戦を煽り……悪魔!)

 思わず席を立ち上がると、回りは理系の奴らばかりだった。次第にホワイトノイズに支配される頭の中に微かにマイクの声が聞こえて来る。
「…N=サイト数、エントリー数、レス数、文字数…」
 はっとして、あらためて題目を見直す。
『情報学講座:ノイズレス設計 ―ネットのS/N比の改善に向けて』
 ――教室を間違えた!



第78回タイトル競作参加作品を改稿したものです。
提出した作品はこちら(ノイズレス13)。逆選王をいただきました。
ジャングルの夜


 大都会の一角に佇む大邸宅。ここの舞踏会は、最高の狩場、清楚なドレスと優雅な物腰で出陣する。門番Aを笑顔で落とし、Bに賄賂を渡し、Cには知り合いの女から話がつけてある。笑顔と賄賂も彼女の入れ知恵だ。

 会場に導かれると、ヤシの林立する庭園の後ろにタキシードの密林が開けた。ここに出席を許されるのは並の男じゃない。その樹液を少し吸うだけで、あたしのような蛾は別世界に舞い上がれる。

 長身の男たちの間をシャンパン片手にくぐり抜け、美味しそうな樹を捜し求める。密林は歩くのが難しい。
「お嬢さん、よろしいですか」
「是非、お相手を」
 群がってくる男たち。
 でも、なにかヘン。第六感が告げる胡散臭さ。警戒して男達を見ると、なによ、同類じゃないの。
 寄って来るのは紛い物ばっかし。良くて二高、中には上げ底靴を履いた三低まで。それどころか素性の怪しい寄生植物までいる。ここはジャングルなの? 

 そのとき私の目はひとりの男に釘付けになった。正真正銘の本物だ。狩人の本能がむくむくと湧き上がる。あたしは彼に最高の笑顔を送った。心臓が高鳴る。
 近づいてきた彼は、他の誰にも聞き取れない声で囁いた……。

「遅かったな」
「え?」
「『インカの秘宝』は書斎でなくバスルームだ。さっさとやるぞ」
「ええと、あのう…」
 秘宝って先月、大統領官邸から盗まれたアレ?
 こんなの想定外よ。ちょっと、ヤバいかも。
 その時、あたしのハンドバッグの隅っこに、小さな異物が目に留る。時を措かず、脳内に危険を告げる胡乱な声が渦巻いた。

「正体を現したな。盗聴器に気付かぬとは、馬鹿なスパイ共だ」
 これが門番Bだとしたら……賄賂を受け取るとき、私のバッグに盗聴器をつけたのかも。

 ヤシの樹上に微かな光が見えた。望遠カメラ? 再び怪しい声が突き刺さった。
「諜報員なんてちょろいものよ。ダミーにひっかかった隙に、秘宝はこっちのもの」
 門番にコネをつけてくれた女! あいつなら言い兼ねない。あたしも諜報員も、まとめて騙してくれたわけね。

 慌てて意識をゲートに向けると、今度は呟きを感じる。
「二重スパイってわけか。泳がせただけの事はあったな。よし、踏み込むぞ。スパイもろとも一網打尽だ」
 門番Aって警察だったの? あたしの笑顔に落ちたふりをして……。

 ああ、もうこんがらがって来ちゃった。えっと、Bが実は盗賊で、スパイに罠を仕掛けた主催者って事かしら。そのスパイは2人いて、あたしを仲間だと思ったイイ男と、門番Cを紹介した女で、しかも女は二重スパイ。もしかしたら、面白いかも。

 そう考える暇こそあらば、最後にとどめのテレパシー。
「ジャングルジム作戦発動」
 ぐらぐらっと地面が動く。
 星空に無数の円盤が現れ、大邸宅ごと吊り上る。
「成功!」
 にんまり笑った。
 あたしは面白いものは根こそぎ奪う主義なのよ。



第79回タイトル競作参加作品を改稿したものです。提出した作品はこちら(ジャングルの夜13)
たまねぎ


「たまねぎに気をつけろ」
 鬼船長は突然そう言った。
 意味不明。だが、恐くて訊き返せない。とりあえず厨房に行く。
「せ、船長が言ったのか?」
 料理長は蒼ざめて過去のメニューを調べ始めた。最高でない料理は一つもなかったのに。
 倉庫番に訊くと、
「鼠!」
 あわてて猫型ロボットを取りに行く。
 医務長は薀蓄を傾ける。
「血栓を予防し、睡眠を促し、便秘に効く。大昔は壊血病予防にも……」
 延々と続くので、途中で逃げ出した。
 庶務のオールドミスは、
「なによ、私の髪がタマネギだって? え、船長がそう言ったの? ふふ、私って罪作りね」
 誰もがこんな調子だ。船長が鬼になるのも仕方あるまい。
 嘆息していたら副船長に叱られた。
「混乱を撒き散らす場合か!」
 そうだった。地球着陸まであと半日、誰もが大変な時だ。私だって最後の船外活動が迫っている。正直にわかりませんと言って殴られるべきだった。
 ブリッジに戻ると、鬼船長が放射線モニタの前にいた。強く反応しているのはバン・アレン帯。宇宙服なぞ役に立たぬ危険地帯だ。地球を幾重にも包むようなその姿は、ドーナツ状と言うより……
「バカ、たまねぎも知らないのか」
 だが、口調は優しい。乗船して初めて胸が熱くなった。



第80回タイトル競作参加作品を改稿したものです。提出した作品はこちら(たまねぎ31)
そこはかとなく、「ギャラクシー」の三神船長のイメージです。


黒い羊


正しい教育によって国際競争における日本の位置を高める事は、国および関係諸機関の果たすべき最大の使命である。教師の資質の問われる昨今、学級経営と学力指導の両方を一教師に求める事は困難であろう。学校の評価が試験結果並びに進路に強く依存している事を考えるならば、教師は学力指導に専念すべきで、故に学級経営の簡易化が急務である。
特定生徒に対する徹底的差別により集団が鎮静化する事は、経験的に広く知られている。弱者に人権は存在しない。

……公には存在しない通達だな。校長以上で、しかも真意を理解出来る者しか読んではいけない。君のように読解力の無い教師は特にね。
 学力なんてどうでも良いんだ。欲しいのは、企業や政府にとって善良な羊となる生徒だ。黒い羊を白く染める調教、その為の独裁教育なんだよ。だからスケープゴートは白羊から選ばなくちゃならん。白を黒と言いくるめてこそ秩序が保たれる。
 君は愚かなことをした。本物の黒い羊を選んでしまったんだからな。マスコミ沙汰となり、皆が困っている。心的傷害も立派な傷害罪だ。
 まあ一度の失敗にめげないで頑張ってくれ。今度は君が黒い羊だ。檻の中を経験すれば立派な教師になれると言うぜ。 ……もっとも、教師の口が有ればだがな。



第81回タイトル競作参加作品を改稿したものです。提出した作品はこちら(黒い羊21)
この短編の発想の経緯については、BUTAPENNが「黒い羊」というタイトルでブログ記事を書いたことがあり、そこに書いた事件を根底としています。
→ →ブログの記事「黒い羊」へ


スクリーン・ヒーロー


 主役を誰にするかで妖怪たちが騒いでいる。
『やっぱり俺様だろ?』
 分身術が得意なクローン・ヒーロー、研究と称して受精卵をでっちあげる博士より正直な嘘つき猿。
『食べ物を大切にする事にかけちゃ一番だぜ』
 残飯も平気で食べるクリーン・ヒーロー、賞味期限の名の元に食物を廃棄するエコ貴族より地球に優しい化け猪。
『地球の3分の2は海だって知らないのか?』
 水中を護衛するスクリュー・ヒーロー、守るはずの漁船にぶつかる護衛艦よりも安全な人食い河童。
『水を司れば世界も意のまま』
 人の傲慢に天災で応報するスコール・ヒーロー、水循環を破壊するダムより野山を潤す白馬の竜。
 そこに乱入するは、
『熱を抑える者こそ未来を制す』
 火炎山を制御して五穀を育てる干支魔王、省エネと言いつつ牛肉を食す輩より無駄の少ないグリーン・ヒーロー。
『なんでもお見通し』
 最後に現われたのはスクリーニング・ヒーロー、手紙で済む申請を出頭しないと受け付けない役所より話の早い観音様。

 騒ぎの陰で、
『私を忘れないでおくれ』
 馬上の人は早くもカメラに捕われて、逃げる事もままならず、まさにすくえーん男!
 そう、今はヒーローよりも無能な美形がスクリーンに選ばれる時代だ。



第82回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(スクリーン・ヒーロー7)


頭蓋骨を捜せ


「頭蓋骨が消えています」
 医師が俺のX線写真を指差して言った。「最近、高齢者に多いんですよ」
 付き添いの娘は眉を吊り上げ、食ってかかる。
「どこに隠したの」
「な、なぜ俺のせいにする?」
「いろんなものを隠して失くすくせに。こないだなんかクッキーの缶がトイレの棚から出てきたのよ」
「ぬれぎぬだ!」
 その日から、家族あげての大捜索が始まった。
 押し入れの奥をひっくり返す。
「あ、へその緒だ」「ボクの乳歯」
 物置をのぞき回る。
「こんなところに婚約指輪が」「ヤバい、昔の通知表だ」「きゃー!」
 息子は垣根の中に昔隠したガラクタを見つけ、孫は屋根裏で海賊マンガを読みふける。まるで、わが家はタイムマシンだ。懐かしくて、うきうきしてくる。
 気がつくと、俺の手に頭蓋骨が握られていた。
「どこで見つけたのよ?」
 本当に覚えがないのだ。
 ともかく病院に持って行き、埋め戻してもらった。それ以来すこぶる頭が冴えて調子が良い。
 騒動を忘れかけたある日、博物館から電話があった。標本室で見つかった頭蓋骨がDNA鑑定の結果俺のものだとわかったそうだ。
「それがですね、代わりに北京原人の頭蓋骨が消えているんですよ。心当たりありませんか」



第83回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(頭蓋骨を捜せ27)
合作しているうちに三つのバージョンができ、最終的にはこれを採用しました。ほかの2バージョンは、こちらでご覧になれます。


納得できない


 生物学や地質学の多くの証拠が、世界がかつて一体だった事を示唆している。だが、マントル対流すら知られていなかった当時、大陸を具体的に動かすメカニズムをウェーゲナーは完璧には説明できなかった。理論と証拠の両方が揃ってこその学説である。学会の重鎮たちは彼の説を馬鹿にし、不自然な辻褄合わせで説明した。納得できない彼は自説を本として出版し、新しい証拠を集めては改訂を重ねた。その執念が実り、彼の死の数十年後に大陸移動説は甦った。
 量子力学は逆のケースだ。ボーアやハイゼンベルクといった学会の巨星たちがアインシュタインを何度論破しても、「神がサイコロを振るとは信じられない」と言い切ったこの大科学者を納得させるのは不可能だった。ボーアはそれでも良しとした。というのも、碩学が最後まで立ちはだかったからこそ量子力学は堅固な学問となったのだから。
 第三のパターンもある。バイオ先端企業に勤めるA子は、もう何年も進化論に関する実験を重ねている。
 自分に相応しい最高のパートナーを求めているのに、選んでしまうのはハズレばかりだそうだ。
「種に保存本能があるなんて絶対信じないワ」
 彼女を納得させる男は現われるだろうか。



第84回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(納得できない25)


たぶん好感触


 同胞の存亡を一身に担って、A国との会談に臨む。
「我が国は常に君たちの味方だ」
 バーボン同様に口当たりは良いが、我々をただの金づると見ているだけ。だが背に腹は替えられない。
 次のF国とはワインをがぶ飲みして終わった。死の商人の出る幕がないせいだろう。
 幸先よいと思った瞬間、意識がすっと遠くなる。
 そうだ、今は博士の新しい催眠治療装置の試験中だった。点滴と電磁刺激の組み合わせで悪夢を快夢に変えるという画期的発明。助手の私は強制的に起こされては、状況を報告して夢に戻る。
「君たちの目的は、決議かそれとも共存か。米越が事実上和解した歴史を勉強し給え。正義を振り回すのは馬鹿のやる事だ」
 原則論のR国とも、ウォッカを十本空けた挙句に意気投合。「我が領土と権益が守られる限り静観する」との譲歩を引き出す。
 最後の強敵は鍵を握るC国。失敗続きで、諦め半分に設けた会食で大逆転した。杯を交わすごとに相手の理解度が良くなり、経済特区の要人と会う頃には大歓迎を受けた。紹興酒で乾杯し食卓につく。
「広東名物、蛇の唐揚げです」
「ぎゃあっ」
 八つの口から泡を吹いてぶっ倒れた。遠くで博士の声が聞こえる。
「こいつめ、ウワバミだったのか」



第86回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(たぶん好感触10)


シンクロ


 潮の香りが心地よい。
 わずかに残った日輪を見上げながら、僕は隣にいる彼女の肩をきつく抱き寄せる。でも、今見ている世紀のイベントと同じく刹那的なシンクロ。天照大神と月読命が結ばれることはありえない。
 闇が訪れた。待ちに待った望遠鏡を覗くと、明るい点がコロナの近くに見えていた。望遠鏡の一点に留まるその光源は、西へ動く陰陽の重なりに呑み込まれる。静止衛星? この緯度にはないはずだが。
 UFOかと思った瞬間、頭の中にうめき声が聞こえてきた。
「く、苦しい」
 誰かの意識がどっと流入してくる。
「最高神は、わたしたちをお見捨てになったの?」
「違う! 最後まであきらめるな」
 頭がくらくらするのは酸素不足か無重力のせいか。宇宙船がトラブルを起こしているのだ。息苦しさが窮まり、意識が朦朧となった時、僕の手にはらはらと恋人の涙が落ちた。
 太陽と月と船が一直線に並び、僕と恋人は見知らぬ生命とひとつの意識で結ばれる。僕たちはいつしか唇を重ねて空気を与え合っていた。
 コロナが燃え立つ。太陽と月の許されぬ恋は引き返せない地点を越えた。

 2日遅れて家に帰ると、あれほど可愛がっていたグッピー二匹が藻だらけの水槽で重なるようにして浮いていた。



第87回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(シンクロ10)


名前はまだない


 それを何と呼ぶのか知らない。その名を尋ねるべき相手もいない。ただわかっているのは、それが人から愛でられていることと、私の最も古い記憶において、既に百本を越えていたということのみだ。
 人は枝と呼んでいるようだが、意思で動かせるものを枝とは言わない。だからといって何かを触る為に動かすわけではないのだから、触手でもない。腕が一番近いと思うが、言葉の誤用のような気もする。
 手っ取り早いのは自分で命名することだ。どんな名前をつけてもクレームが出るはずはないが、その前にまず私自身の名前を決めるべきだろう。それすらしていないのは、意思疎通の出来る同胞のいない状態で、名前に意味があるかが疑問だからだ。
 せめて私を認識する者がいるなら話も変わろう。だが、唯一の希望たる人間ですら見込みは薄い。ニューラルネットワーク以外の非線形フィードバックシステムである知能回路をいまだ知らぬ連中に、私が思念を持ち得るという仮説を望んではいけない。
 人が私に気づくのはいつのことだろう?
 人が私の体の全てに名前をつけてくれるのは、いつのことだろう?



第88回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(名前はまだない10)


笑い坊主


 地下五十メートルの地層を発掘中に、今はなき石油由来製の箱から21世紀の古文書が出土した。さる結社の一員の手になるものらしく、古語を専門とする私が解読を依頼された:

「○○が人を幸せにすることは多くの研究に詳らかにされているが、そのための坊を起こしたのは、偉大なる我が師が初めてであろう。教えは専ら西方(浄土を意味する)の言葉でなされた。東の一部に公開された坊には続々と志願者が集い、厳しい修行ののち認められた者は伝道師(高僧の謂か?)として電波を発し、教えをあまねく伝えて民衆の心を満たした。伝道師の生命は多くは一年しか持たなかった(苦行のゆえか?)が、道を究めることによって新しい命を得た。また民意によって、ある者は政治を司り、ある者は報道(道を報せる意?)の上位を獲得した。この国を治めることを得た坊は、エンターテインメント(奥義の名か)を極めるため、上場から去り密教化した。師の目標は○○によってアジア並びに世界を制覇すること。それこそ全人類に幸福を与える道であろう」

 ○○は翻訳不能な語である。古代人の顔面運動もしくは情動の一を指すと思われるが、高度に発達した現代文明にはもはや存在しない。



第89回タイトル競作参加作品です。会場は
こちら(笑い坊主15)


もう寝るよ。


 ねってはねかし、ねかしてはねる。そんな作業の繰り返しで夜が更けて行く。
 この工房を開いてかれこれ十年。同期の多くが既に廃業・休眠している中にあって、いつしか老舗と呼ばれるようになった。なんとなくむず痒い。こうなると20年後、30年後に工房を訪れた人に、今と変わらぬ、いやもっと洗練されたものを提供したくなる。その研鑽のために日々睡眠時間を削る。いや、寝ないのは顧客サービスをやり過ぎるからかもしれない。
 マンネリに堕することなく今の味を守ることはむずかしい。知らず知らずのうちに客の好みに合わせ、最近は十分に熟成させずに仕上げている気がする。

 でも。
 今日だけは違う。私は今、まったく新しい素材を使って準備をしている。過去の経験なぞ役に立たない。だが今の私には、これが必要なのだ。
 ねってはねかし、ねかしてはねる。一世一代の大勝負。
 その時だった。
 もう寝るよ。
 突如、手の中のものが宣言したのだ。
 まさか、自分から勝手に熟成を始めたのか。
 どうすることもできず、私は呆然と立ち尽くすのみ。発酵が過ぎると、ごく一部の人間しか楽しめないレアものとなってしまうのに。
 十杯目のコーヒーが冷え切ったころ、夜が明ける。



第90回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(もう寝るよ。13)


謎ワイン


 ブドウは全滅だった。新世界から持ち込まれた害虫が大発生したのだ。
 頭を抱えていたある日、肩から大きなカバンをかけた風采のあがらない男が、私のワイナリーを訪れた。彼は一本の苗木と一本のワインを取り出した。
「これは、新種のブドウの苗木。これに接木すれば、虫害に強い品種となりましょう」
 差し出されたワインは、やや癖のある香りはあるものの、味は極上だ。
 接木した苗木はすくすくと育った。この苗木から出来たブドウでワインを作ったところ、記憶にある味と香りが再現された。これなら売れる。どのみち他の選択肢はない。
 数年後、はじめての本格的収穫を迎えた。発酵を終え、オーク樽の試飲口から注ぎ出される紅い液体。適度な酸味と芳醇な味わいだ。
 二樽目を開けると、さらに極上品の味がした。三樽目は天にも昇る心地だ。
 期待を込めて四樽目を開ける。すると、ワインの気泡と見えたものの中から例の害虫が姿を現わした。樽の中で孵化したのだ。慌ててすべての樽を開けると、あふれ出た虫たちが、いっせいに農場から飛び立った。
 それを為す術なく見送っていた私は、いつしか虫の飛んで行った方向へとふらふらと歩き始める。肩から大きなカバンを下げて。



第91回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(謎ワイン29)




水溶性


 温暖化の影響の中でもとりわけ問題なのが海水面の上昇だ。その膨大な対策費ゆえに、将来にわたって国家間紛争の火種になりかねない。そこでわが水曜会では対策を議論した。
 海底地層やマグマに水を吸収させる手法、塩以外の水溶物質で密度を高める手法などが議論されたあと、ひとりの優男風の海洋学者が席から立ち上がった。
「水妖精を用いるのはどうだろう」
 ウンディーネは愛を得て固化し、破局によって地下に閉じ込められたと言われる。そのメカニズムを解明すれば海水を自在に固化できる筈だと言うのだ。
「愛は地球を救う、か」
 長老格の地質学者がしごく真面目に呟き、その尻がむずがゆくなるような響きに一同は居心地悪そうに身じろぎした。
「しかし、ウンディーネなど、どこを捜せば見つかる?」
「それが……わが家の風呂場にいるんだ」
 そうむっつりと答えた件の海洋学者の家に、我々がさっそく駆けつけると、美しい女性が悲しげに瞳をうるませてバスタブから訴えた。
「夫の浮気性をなんとかしてくださらない? 液体になったり固体になったり忙しくって」



第92回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(水溶性30)


しっぽ


 小さいとき、沢庵のしっぽが私のおやつだった。巻き寿司は端から切り落とされる穴子のしっぽが一番好きだった。トランプの豚のしっぽが得意だった。
 美味しいばかりでない。謎と神秘も備え持つ。ほうき星のしっぽでは、太古のアミノ酸が蒸発しているという。狐狸が化けるのもしっぽの力だ。オーロラだって今でも狐の尻尾の仕業かも知れない。
そして何より機能的。塀の上の猫を易々と歩かせ、サルの序列と示し、トカゲの身を守り、オタマジャクシの動力を担い、馬からハエを追い散らし、アリクイに日陰を与えるのだ。だから犬もしっぽをふる。
 今でもしっぽは私の大好物だ。

 そろそろ急がないと。今晩は彼と二度目のデート。余裕の笑みの下に、どんなすごいのを隠しているのだろう。私のが食べられる前に、早くいただきたい。



第93回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(しっぽ13)


3丁目の女


 世界は鏡像のように左右対称だ。例えは粒子と反粒子。右利きと左利き。LアミノにDアミノ、それから出来る右螺旋と左螺旋。宇宙ジンだってそうだ。

 せっかく見つけた住処を爆発でなくした宇宙ジンは、子孫を残すべき新天地を求めて旅を続けた。一刻も早く次の理想郷を見つけなければならない。身を守る特殊素材が蒸発する前に。
 ようやくたどりついた新天地は、新しく出来たばかりの街だった。
 環境はかなり悪い。1丁目の工場は火をたくさん使う。2丁目の工場は硫酸垂れ流し。4丁目の工場は煤塵だらけ。3丁目の風呂屋の女だけが移民たちを癒してくれた。だから宇宙ジンが生き延びたのは3丁目。

 センセイは地球史の授業を次のように締めくくった。
「男女の別が子供を作る能力で定義される事を考えると、繁殖したのは右だけだったんでしょうねえ。だって、銭湯は女湯が右でしょ」



第95回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(3丁目の女20)


ペパーミント症候群


 そや、後味や。最後をペパーミントよろしく爽やかに終えるのがプロちゅうもんや。
 かく言う俺かて、昔はとろけるような甘さにつられて買い、大きく買い足すと味が薄うなって、挙げ句にどかんと大損して慌てて売ったもんや。甘く始まって苦く終わる。そないな繰り返し。
 でも俺はついとった。ほんまもんの穴リストに出会うたんやから。いや投資アナリストやないで。相場の穴リスト。
「ウインウインの関係なんて夢を見たらあきまへん」
「自分が儲かるには、他人を損させなはれ」
 その言葉に、俺ははっと目覚めた。こりゃ、待っとったらあかん。
 さっそく空売りの集中砲火。一時の売り損で皆を奈落へ道連れて、底値で買う。巨大利益で、後味すっきり。

 ところが、金融危機で、同じ穴の狢が蔓延した。バンクから無尽蔵に税金を借りられて、一時の損が怖うない。しかも儲けが全てこっちのものとくりゃ、誰もがマネするに決まっとる。ドバイ、ギリシャ、スペイン。この分やと、確実に這い上がるはずの株まで、底を抜けて紙屑になるやないか。ほんま悪夢や。
 けど、この味は中毒性。誰もが禁断症状に震えながら次を狙うとる。ぐずぐずしてる場合やあらへん。ほな、次の危機を仕掛けるで。



第97回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(ペパーミント症候群5)


あおぞらにんぎょ


 透き通る冬空に雲のメッセージがぽっかり浮かんだ。
「フク ムリョウハイフ」
 さっそく出掛けたところ、福々しい男は「もう福は残ってないねん、服で我慢してくれや」と言って、下半身魚の着ぐるみを舟から放り投げた。おれは男だぞ。まあ男の人魚がいたっていいか。
「オープン ブンコ」
 男に教えられた呪文を唱えると、着ぐるみは俺を青空へいざなった。
「気持ちいい。これぞまさしくオープンスカイだ」
 声を出したのが失敗だった。いきなり小槌で叩かれる。
「電波でまき散らすのは、おやめ」
 見ると美しい女が柳眉を逆立てて俺を睨んでいた。その向うでは好々爺が何人か集まり「ゲホゲホ、飛行機が増えてかなわんわ」と喚く。
 しぶしぶ海辺に戻った俺は、今度は白波のメッセージを発見した。
「△×◎ リークス」
 メッセージの主らしき白髪の男が富士をバックに嵐を従えている。何だろうかと思う隙もあればこそ「敵はホークスだ!」という怒号と共に大風が吹いて、茄子で出来た7体のにんぎょうが宝船と共にバラバラと落ちて来た。

 うん、良い初夢を見た。今年の運は開けそうだ。



第101回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(あおぞらにんぎょ29 ) 逆選王をいただきました。


ドミノの時代


 全ての言動が狩られる時代、始めることは常に難しい。巷には閉塞感が満ちている。だからこそ誰かが最初の一歩を踏み出さなければならない。
 そこで俺は、空港カウンターで僕の後ろに並んでいた女に振り向いた。
「好きだ。結婚してくれ」
「あんた誰よ」
 女は俺から逃げ出すと、別の便のキャンセルを見つけて行ってしまった。
「申し訳ありません。今のが最後のお席でしたので」
 女の直後に飛び込んで来た男は飛行機に乗れずに、デートをすっぽかすハメになり、彼の恋人は怒って、不細工な上司とのデートをOKした。
 上司は鼻息も荒く、妻に離婚をつきつけ、慰謝料をもらった妻は「こんな金、宇宙の塵にしてやる」と火星に土地を買った。
 妻が火星を望遠鏡で覗いていると、植民のため飛来した宇宙船が宇宙ゴミとぶつかる様子が、ちょうど映った。
「大変!」
 妻の通報でさっそく救助ロケットが差し向けられ、八本と二本の手は固く結ばれ、宇宙戦争は未然に防がれた。宇宙人たちが地球人に次々と恋してしまったからだ。

 この話の教訓は、要するに、誰だって世界の運命を変えられるってことだ。
 そして、この話の最も不幸な点は、俺が今でも独身のままだってことだ。



第102回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(ドミノの時代17 )


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