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No. 13  あなたは弱い

  たったひとつの言葉で、人生は変わることがある。
  アメリカ留学途上の船の上で、「元初に神 天と地を創りたまへり」という旧約聖書・創世記
  の第1ページを読んで、クリスチャンになることを決意したのは、同志社大学創立者・新島襄。
  聖書には、そんな風に人を変える力がある。
  ここまでは、わが教会の牧師のメッセージ。

  ここからは私の体験談。
  私も学生の頃、少し変わった聖書の一文で大きな転換を経験した。
  私はあるグループのリーダーをしていた。大学4年のその年、私はある計画をみんなに諮り、
  その決定にしたがって宿舎などの予約もして、準備を進めていた。
  ところがその計画は、上の人の一声で完全に破棄されてしまった。

  私は表面上従ったが、自分の部屋で泣いた。
  それまでの準備。リーダーとしてのプライド。何もかもめちゃくちゃにされてしまった。
  そのとき読んだ聖書のことば。それは普段なら全く見過ごしにしていたような一文だった。

     もしあなたが苦難の日に気落ちしたら、あなたの力は弱い。
                                (箴言24:10)


  考えたら当たり前のようなことばだ。苦難のときに気落ちしない人がいるだろうか。
  生涯に一度も気落ちしたことのないような、強い人間がいるだろうか。

  でも不思議なことに、それを読んで怒りは溶け、心が満たされた。
  あなたは弱い。
  人間の目から見ても、神の目から見ても、あなたは弱い。
  でもそれでいい、と聖書から語りかけられているような気がしたのだ。
  その不思議な安心感は、自分は強くあらねばならないという気負いからの解放だった。
  そこに、私を愛してくれる人の眼差しを感じた。

  愛する人が、私の耳元で囁くひとこと。
  「ああ、きみは弱いなあ」
  何よりも私を力づける、魔法のことば。

  聖書はそのとき、私にとって神からのラブレターとなった。

     


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