2012年5月12日

ペパーミント症候群

 そや、後味や。最後をペパーミントよろしく爽やかに終えるのがプロちゅうもんや。
 かく言う俺かて、昔はとろけるような甘さにつられて買い、大きく買い足すと味が薄うなって、挙げ句にどかんと大損して慌てて売ったもんや。甘く始まって苦く終わる。そないな繰り返し。
 でも俺はついとった。ほんまもんの穴リストに出会うたんやから。いや投資アナリストやないで。相場の穴リスト。
「ウインウインの関係なんて夢を見たらあきまへん」
「自分が儲かるには、他人を損させなはれ」
 その言葉に、俺ははっと目覚めた。こりゃ、待っとったらあかん。
 さっそく空売りの集中砲火。一時の売り損で皆を奈落へ道連れて、底値で買う。巨大利益で、後味すっきり。

 ところが、金融危機で、同じ穴の狢が蔓延した。バンクから無尽蔵に税金を借りられて、一時の損が怖うない。しかも儲けが全てこっちのものとくりゃ、誰もがマネするに決まっとる。ドバイ、ギリシャ、スペイン。この分やと、確実に這い上がるはずの株まで、底を抜けて紙屑になるやないか。ほんま悪夢や。
 けど、この味は中毒性。誰もが禁断症状に震えながら次を狙うとる。ぐずぐずしてる場合やあらへん。ほな、次の危機を仕掛けるで。

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第97回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(ペパーミント症候群5)

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