2014年1月 6日

読書メーター2013年11月・12月

2013年11月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1558ページ


火宅の人 (上巻) (新潮文庫)火宅の人 (上巻) (新潮文庫)感想
不倫という言葉など、まだない時代だったろう。四軒の家を持ち、妻以外の女性を持つ。おそろしく破滅的な生き方を選び、死に急いでいるように見えるのに、その生き方には、常識人には持ちえない、すがすがしい解放感を感じさせる。途方もない筆力に、ときおり震えが来る。
読了日:11月1日 著者:檀一雄

93番目のキミ93番目のキミ感想
合コンに連れて行って女の子にモテたいという動機でスマロボを購入した主人公。自分のことしか考えていない未熟な若者が、ロボットとの交流を通して、他人を思いやる心を持つまでの成長物語。ひとつの不祥事で全体が否定される結末が悲しい。今の社会がそうだから。作者についてよく耳にする、「小学生の作文程度の筆力」と取るか、平易で簡潔な文章と取るかは、読む者によって意見が分かれるだろう。
読了日:11月11日 著者:山田悠介

政と源政と源感想
三浦しをんの小説には、よく元気な爺さんが出てくるが、彼らが主人公だと、こんな話ができあがるのだ。いつものように、楽しくてハチャメチャで、でも心のどこかでいつも死や永遠を考えている老人たち。「来年の桜を見られるのか、俺たちは」というつぶやきは切ない。ふたりの若いころのイラストにちょっと萌えました。
読了日:11月26日 著者:三浦しをん

火宅の人 (下) (新潮文庫)火宅の人 (下) (新潮文庫)感想
読み終わって浮かぶのは、「旅」という言葉だ。主人公はいつも旅をしている。家への帰り方を忘れたかのように、がむしゃらに居場所を変え、食べることを追い求めている。家庭というシステムに馴染めなかったのだろう。絶対的な孤独の中に沈み込むラスト。自由と孤独は表裏一体のものなのだ。「天然の旅情」という言葉が頭に残る。
読了日:11月28日 著者:檀一雄

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:743ページ

光感想
過去におかした罪という絆があまりにも強すぎて、目の前にいる人を愛せない登場人物たち。ついに暴力から救われることはない結末は、暗い海の底に沈んでいくようだ。もし、その底に一筋の光が射し込んでいるとすれば、椿の咲く情景。夫の過去を知った妻が、彼を理解できる日は来るのか。愛することができず、愛するふりをして生きている人は、この世界にはとても多いのかもしれない。
読了日:12月6日 著者:三浦しをん

ほろびぬ姫ほろびぬ姫感想
自分の死期を知った夫は、生き別れになっていた一卵性双生児の弟を探し出してきて、若き妻を託す。「あなた」という二人称が兄なのか弟なのか。判断するには、舐めるように文章をたどるしかないという仕掛けの中に、読者は妻の混乱を共有する。夫の愛情の裏に、妻に楔をうちこむように自分の存在を遺そうとする死にゆく者の執着が見えてくる。結局、男たちに女の幸せを決めてもらう必要などないのだ。
読了日:12月9日 著者:井上荒野

ローマ帝国愚帝列伝 (講談社選書メチエ)ローマ帝国愚帝列伝 (講談社選書メチエ)感想
時間がなくて全部は読めなかった。時系列ではなく、テーマごとに数人ずつをまとめてあるので、歴史書としては読めないかもしれないが、読み物として面白い。ローマ帝国について俯瞰的な記述も随所にはさみ、なかなか図表資料も豊富。
読了日:12月22日 著者:新保良明

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2014年1月 3日

オンライン文化祭2013が終わりました

新年あけましておめでとうございます。

年末は、もういろいろなことに力尽きてしまって、何も告知のないまま、本サイト、携帯サイトともにお休みに入ってしまいました。

「オンライン文化祭2013 ―帰―」の感想ツイートだけは、かろうじて間に合いましたが、いただいたメールへの返信はできずに、会期が終了してしまいました。

このブログの末尾に感想への返信を載せていますので、メールで感想をくださった皆様はご覧くださいますように。

このお祭りに、BUTAPENNは、小説部門に「ただいま!」、メディアミックス部門に「たねや植えけん」で参加しました。
もし、まだお読みでないかたは、どうぞ。併せて、会場や感想まとめページにもお越しください。

「ただいま!」
「たねや植えけん」(サウンドノベル・音声が出ます)
「オンライン文化祭2013 ―帰―」
オンライン文化祭2013―帰―感想まとめ togetter
「ただいま!」は、文化祭のテーマが「帰」だったことで、どうしても帰れない話をいろいろ考えて、最終的にこれになりました。前年の参加作品が非常に重い話だったので、今年は反対方向のコミカルにしようと決めていました。楠沢さんが「守備範囲が広い」とおっしゃってくださり、恐縮です。
招夏さんの「魔王ゼファーの息子じゃないよなー」は、まさに当たりで、雪羽の設定では書けない「父子バトル」の未来を書きたくなってしまったのです。
また、koharuさんの「この帰宅バトルって、将来的に魔王を継ぐことになるかもしれない息子のレベルアップを願ったご両親の計略だった……なんてことはないですよね。」と、かなり核心にせまる鋭い指摘をしてくださいました。この父ちゃん母ちゃんはただものではありませんからね。

吉田ケイさんの「続編へ続きそうな感じ」は、まったくその通りで、実は続編を意識しています。
森戸玲さんの、「リョウの学校生活を読んでみたい」とのリクも、ありがたく頂戴しました。
山仙さんに見抜かれてしまったのですが、「小説家になろう」っぽい話を目指してもいました。いずれ構想が膨らんだら、長編化して連載したいと考えています。今はこれ以上連載を抱える気力があるか、疑問なのですが…。
いずれにせよ、猫さんが感想に書いてくださった、
「「人間である部分と魔族である部分が共存している。」のならば、そのままに――(中略)――「平和な時代」を導いて貰いたい」
を大切な中心テーマとして、書いていきたいと思っています。

「たねや植えけん」は、巻末資料にも記したとおり、読売新聞日曜版の「名言巡礼」という、宇喜多秀家に関する記事を見て、「これだ」とインスピレーションを受けて書き始めました。
サウンドノベル制作に関しては、資料集め → 八丈島の風景写真さがし → BGMさがしという順番で行い、ビデオ制作ソフト「AVS4YOU Video Editor」を使って作業しました。
作業の手順は、BGMの長さに合わせて、写真と文章をあてはめていくもので、音楽と場面転換をぴったり合わせるのに、一番神経を使いました。

複数の方に指摘いただいたのですが、文章のスクロールの速さが違い、場面によっては速すぎて読みにくい部分があったそうです。これは、限られた音楽の中に長い文章を無理に押し込んだためで、もっと文章を削るべきでした。これからの反省にしたいと思います。

梅(b^▽^)bさんと、招夏さんの感想にあったとおり、NHKの「歴史秘話ヒストリア」や、大河ドラマのエンディングの「〇〇紀行」のようなイメージでノリノリで(笑)作っていました。作りながら自分で泣いてしまうこともしばしばでした。音楽と映像の相乗効果は、つくづく偉大だと思いました。

実は、この話は、ひとつだけウソをついている部分があります。
このストーリーの流れでは、
「漂流した漁師から、岡山城主の名を聞き、「運のよいやつめ」とやっかみを見せる」、そのあとで「「徳川家の禄を食む気持ちはない」と、いさぎよく徳川の恩赦を蹴る」エピソードに続きますが、実際の歴史からいえば、後者のほうが若いときの話であり、前者のほうが老齢になってからのエピソードです。
時系列順に話を並べると、「達観したつもりでも、年老いてもなお忸怩たる思いがあったのか」という寂しい結論になってしまうようで、あえて順番を逆にしました。
でも、実際そうだったのだと思います。いさぎよく運命を受け入れて静かに過ごしつつも、故郷の城を元の家臣が治めていると知れば、心穏やかではいられない。その気持ちの揺れが波のように寄せては引いていく、それが、人間の心のありかたであるのでしょう。

豪姫の前田家が、明治になるまで援助を送り続けていたことや、八丈島に、ふたりの像が並べられていること。知らなかった歴史を、今回たくさん知ることができました。
今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」にも、宇喜多秀家が登場するかなと楽しみにしています。

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