2019年7月13日

「オン・ザ・タウン」を観てきました

レナード・バーンスタインの「オン・ザ・タウン」を兵庫県立芸術文化センターに見に行ってきました。
佐渡裕プロデュースオペラ第15作となる今作はミュージカル。バーンスタインは佐渡氏の師であり、今年生誕百周年を迎えました。
バーンスタインといえば「ウェストサイドストーリー」(1957年)が真先に思い浮かびますが、この「オン・ザ・タウン」は1944年、バーンスタインのブロードウェイデビュー作となった作品です。それにしても初演当時は第2次世界大戦の真っ最中。劇場には軍服姿の兵士たちが並んだと言います。戦争中にこれだけのポジティブさ、明るさを全面に押し出せるとは、さすがにアメリカ。1944年当時の日本の状況を考えると、やはり国力の上でもかなうわけがなかったなと改めて思いますね。

主要キャストはロンドンでオーディションを行って、1000人以上の応募者の中から選りすぐられました。白人がほとんどを占めていることが少し気になりましたが、これは当時の時代考証上、しかたのないところでしょう。演出は、「夏の夜の夢」でも演出を担当したアントニー・マクドナルド氏。

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さて、「オン・ザ・タウン」の舞台となるのは「ウェストサイド」と同じくニューヨーク。
一隻の軍艦から若き水兵3人が港に降り立ちます。ストーリーはごくシンプル。簡単に言えば、彼らの24時間の休暇中に起こるひとときの恋をめぐるドタバタ喜劇、というところでしょうか。

当然ながら、その恋は24時間で終わるもの。本物の恋にはなりえないわけですが、彼らは、ひたすら明るく、つかのまの恋に情熱を燃やそうとします。特に女性たちはエネルギッシュ。男たちは振り回されっぱなしです。

休暇が終われば男たちは軍艦に戻り、やがて戦地に赴く運命にある。エンドマークの向こう側にあるものに気づくとき、主人公の孤独を歌うせつない歌や、幻想的なダンスシーンが胸にしみてきます。

若者たちの恋と情熱と「楽しいことはいつか終わる」という人生のはかなさの対比。ひたすらハイテンポでコミカルな展開のところどころに、スチール写真のように目に焼き付く印象的な場面があり、緩急自在な演出の妙と言えるでしょう。

「ウェストサイド」のように口ずさめるほどの有名なメロディはないものの、バーンスタインらしい都会的で洗練された旋律が随所にちりばめられ、耳を喜ばせ目を喜ばせるというミュージカル本来の楽しみにあふれています。40年代の素敵なファッションをまとったキャストたちの、のびやかでキレのあるダンスシーンは見ているだけでうっとり。やはり外国人の足は長くてきれいだあ(笑)。

このミュージカルは、「踊る大紐育」という題でジーン・ケリー、フランク・シナトラ主演で映画化もされていて、往年のファンには知られているようです。

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