お知らせ

2014年4月10日

読書メーター2014年3月

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1680ページ


倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)感想
大戦末期という時代の中にあり、学徒動員や空襲に翻弄されながらも、学校というのは、やはり密室なのだなと思う。リレー小説と手記が交互に来る構成で、妄想と現実が分かちがたく蔓のように絡まり合う。甘美で退廃的で、次の瞬間には脆くも崩れ去ってしまう砂糖菓子のようなはかなさの中で、「べー様」のたくましさが物語を最後までつなぎとめる。個人的には戦時下のミッションスクールのエピソードが興味深かった。
読了日:3月3日 著者:皆川博子

カエサル『ガリア戦記』―歴史を刻む剣とペン (書物誕生―あたらしい古典入門)カエサル『ガリア戦記』―歴史を刻む剣とペン (書物誕生―あたらしい古典入門)感想
本書は大きく二部に分けられる。まず最初にガリア戦記が同世代と後代に与えた影響、また歴史書、文学書としての価値の評価から始まり、文民統制、戦争における慎重な手続き、境界線と国家のありかたなど、ローマを形作る基本的な理念まで話はおよぶ。第二部では、カエサルがガリア戦記において、それらの手続きを踏みつつ、常にガリアの蛮勇に対比してローマ的武勇、つまり作戦と自制と忍耐をもって勝利を収めたことを描いていることを明らかにする。
読了日:3月6日 著者:高橋宏幸

優雅でみだらなポンペイ―古代ローマ人とグラフィティの世界優雅でみだらなポンペイ―古代ローマ人とグラフィティの世界感想
ヴェスヴィオの大噴火により一夜にして火山灰に埋もれてしまった古代ローマの町ポンペイ。この町の壁に残された落書きに注目して、選挙、見世物、恋愛模様など、当時の人々の生活風景を描き出す試みが興味深い。エピローグの古代ローマ人の識字率など、やや学術的な論文が、気軽な読み物と混在している。
読了日:3月15日 著者:本村凌二

シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))感想
原作はチベットの民話だそうだ。貧しい国の王子が国民を救うために、苦難の旅の果てに神人から麦の種を盗む。しかしそのことにより罰を受けてしまい…。カラー絵が柔らかく美しい。主人公たちの容姿はナウシカやアスベルを思い出させるほか、その後の宮崎アニメにつながる要素がいっぱい。
読了日:3月15日 著者:宮崎駿

ローマの道 遍歴と散策―道・水道・橋ローマの道 遍歴と散策―道・水道・橋感想
古代ローマの史跡を訪ねて、ヨーロッパの各都市をめぐる旅紀行。道、橋、水道橋、都市建設などに関する豊富な知識を披歴しつつ、ほほえましい夫婦模様や食べ歩きのメニューが織り込まれている。これだけ多くの現代の都市にローマの遺跡が保存され、ときには住人がまったく存在を知らないまま住んでいるのが印象的。
読了日:3月21日 著者:藤原武

ピカルディの薔薇 (ちくま文庫)ピカルディの薔薇 (ちくま文庫)感想
読んでからシリーズものだと知った。鼠や寄居蟲などの生き物の話はグロテスクなのだが、不思議に嫌悪感は感じさせない。もの悲しく、ひやりと冷たく、夢と現のはざまをさまようような文章に酔いしれる。あとがきどおり、「真珠」のような佳品ぞろい。前作も読んでみたい。
読了日:3月29日 著者:津原泰水

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2014年3月 1日

読書メーター2014年1月・2月

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:980ページ

剣闘士スパルタクス剣闘士スパルタクス感想
女パトロンの不興を買って、命がけで脱走した美貌の剣闘士スパルタカス。いつのまにかローマ版図を揺るがす脱走奴隷の大叛乱へと膨れ上がる。ローマを振り向かせたい、本気にさせたいと願い、剣闘士の美学に最後までこだわるのは、故郷を奪われ、アイデンティティをローマに奪われた奴隷ゆえの悲劇か。「もしや」と思わせるエピローグにカエサルまで登場して、この話は「カエサルを撃て」にそのまま引き継がれていく。
読了日:1月5日 著者:佐藤賢一

お友だちからお願いしますお友だちからお願いします感想
いろいろな新聞や雑誌で連載したエッセイをまとめたものだそうだ。だから、寄稿先によって微妙に文章が違うような。少し気取ったエッセイが続く…と油断していたら、「マヤ、仮面をかぶるのよ」だし。読みながらの飲み物厳禁である。「夜景」に関するエッセイが心に残った。光を見るときに感じる、しんしんとした寂しさは、しをんさんの書くどの小説の底にも隠れているように思う。
読了日:1月7日 著者:三浦しをん

ローマ古代散歩 (とんぼの本)ローマ古代散歩 (とんぼの本)感想
地図や図版が豊富で、見ているだけで時間の経つのを忘れる。いつかローマの遺跡めぐりに行くときは、これを持っていこう。
読了日:1月7日 著者:小森谷慶子,小森谷賢二

聖夜の贈り物聖夜の贈り物感想
五編の短編のテーマは、「人生のやりなおし」。せめて聖夜だからこそ、懸命に生き続ける人に奇跡を起こしてあげたいと、読者が望むように物語は進む。人の一生のエッセンスを詰め込んだような「ケーキ」と「サンタクロース」が、一番心に残った。
読了日:1月13日 著者:百田尚樹



2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1674ページ


まほろ駅前狂騒曲まほろ駅前狂騒曲感想
行天の心の傷は癒されるし、娘のはるちゃん可愛いし、多田も想い人と結ばれるし、由良公も出てくるし、星さんと舎弟たちも存在感あるし、曽根田のおばあちゃんと岡のおじいちゃんは相変わらずいいところ持ってくし、もう大満足の一冊です。
読了日:2月3日 著者:三浦しをん

キリスト教の歴史〈1〉初期キリスト教~宗教改革 (宗教の世界史)キリスト教の歴史〈1〉初期キリスト教~宗教改革 (宗教の世界史)
読了日:2月5日 著者:
世界の歴史〈5〉ローマ帝国とキリスト教 (河出文庫)世界の歴史〈5〉ローマ帝国とキリスト教 (河出文庫)
読了日:2月5日 著者:弓削達

ローマ人の世界 (「知の再発見」双書)ローマ人の世界 (「知の再発見」双書)感想
古代ローマの歴史と文化について書かれた本だが、豊富なカラー図版には、古代の遺跡とともに後代の絵画が多く収録されているし、「ベン・ハー」「サテュリコン」などの古代ローマを扱った映画についても紙面を割いている。結語の「われわれはみな、ローマ市民だ」という言葉どおり、著者の意図は、むしろヨーロッパ文化の中に息づくローマを描くことにあったように思う。
読了日:2月15日 著者:ロジェアヌーン,ジョンシェード

本屋さんで待ち合わせ本屋さんで待ち合わせ感想
気の合う友だちの家に遊びに行って、本棚の前で話が止まらない。そんな幸せな気分になりました。苦手なジャンルでも片っ端から全部読みたくなるほど、しをんさんの営業力はすごい。とりあえず、気になるものは「読みたい本」にぶちこんだので、これから時間をかけて図書館で借りるつもりです。
読了日:2月17日 著者:三浦しをん

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2014年2月 3日

ブログが書けない

ブログが滞っていて、本当に申し訳ないです。

ときどき、昔(と言っても、ほんの二、三年前のこと)のブログ記事を読み返すのですが、よくもあれだけ、細かい身辺のことを取り上げて、いろいろ書いていたなあ、と驚きます。
花が咲いたと言っては書き、体重が減ったと言っては書き、オペラや音楽会を見に行ったと言っては書き。
今の私には、なぜか自分の近況を書きたいという気持ちが起こらないのです。何か特別なことがあったら筆を取る気になると思うのですが、花が咲いても、体重が増えても(おい)、オペラや音楽会に行っても、記事に起こす気にならない。
ツイッターも他の人のツイートを読んで、そっと閉じるだけ。

かと言って、毎日がつらいわけじゃない。
充実しているし、健康だし、やさしい人たちに囲まれているし、小説もゆっくりですが書きたい気持ちはいっぱいあるし。こんな小説でも読んでくれて、面白いと言ってくれる人がいる。幸せです。
それでも、今の私には、自分の近況や、自分の考えたことや、何か新しい話題を発信する言葉が出てこない。すごく、すごくしょうもないことに思えてしまう。

本当に、どうしたんでしょう。年のせいですかねえ。

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2014年1月 6日

読書メーター2013年11月・12月

2013年11月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1558ページ


火宅の人 (上巻) (新潮文庫)火宅の人 (上巻) (新潮文庫)感想
不倫という言葉など、まだない時代だったろう。四軒の家を持ち、妻以外の女性を持つ。おそろしく破滅的な生き方を選び、死に急いでいるように見えるのに、その生き方には、常識人には持ちえない、すがすがしい解放感を感じさせる。途方もない筆力に、ときおり震えが来る。
読了日:11月1日 著者:檀一雄

93番目のキミ93番目のキミ感想
合コンに連れて行って女の子にモテたいという動機でスマロボを購入した主人公。自分のことしか考えていない未熟な若者が、ロボットとの交流を通して、他人を思いやる心を持つまでの成長物語。ひとつの不祥事で全体が否定される結末が悲しい。今の社会がそうだから。作者についてよく耳にする、「小学生の作文程度の筆力」と取るか、平易で簡潔な文章と取るかは、読む者によって意見が分かれるだろう。
読了日:11月11日 著者:山田悠介

政と源政と源感想
三浦しをんの小説には、よく元気な爺さんが出てくるが、彼らが主人公だと、こんな話ができあがるのだ。いつものように、楽しくてハチャメチャで、でも心のどこかでいつも死や永遠を考えている老人たち。「来年の桜を見られるのか、俺たちは」というつぶやきは切ない。ふたりの若いころのイラストにちょっと萌えました。
読了日:11月26日 著者:三浦しをん

火宅の人 (下) (新潮文庫)火宅の人 (下) (新潮文庫)感想
読み終わって浮かぶのは、「旅」という言葉だ。主人公はいつも旅をしている。家への帰り方を忘れたかのように、がむしゃらに居場所を変え、食べることを追い求めている。家庭というシステムに馴染めなかったのだろう。絶対的な孤独の中に沈み込むラスト。自由と孤独は表裏一体のものなのだ。「天然の旅情」という言葉が頭に残る。
読了日:11月28日 著者:檀一雄

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:743ページ

光感想
過去におかした罪という絆があまりにも強すぎて、目の前にいる人を愛せない登場人物たち。ついに暴力から救われることはない結末は、暗い海の底に沈んでいくようだ。もし、その底に一筋の光が射し込んでいるとすれば、椿の咲く情景。夫の過去を知った妻が、彼を理解できる日は来るのか。愛することができず、愛するふりをして生きている人は、この世界にはとても多いのかもしれない。
読了日:12月6日 著者:三浦しをん

ほろびぬ姫ほろびぬ姫感想
自分の死期を知った夫は、生き別れになっていた一卵性双生児の弟を探し出してきて、若き妻を託す。「あなた」という二人称が兄なのか弟なのか。判断するには、舐めるように文章をたどるしかないという仕掛けの中に、読者は妻の混乱を共有する。夫の愛情の裏に、妻に楔をうちこむように自分の存在を遺そうとする死にゆく者の執着が見えてくる。結局、男たちに女の幸せを決めてもらう必要などないのだ。
読了日:12月9日 著者:井上荒野

ローマ帝国愚帝列伝 (講談社選書メチエ)ローマ帝国愚帝列伝 (講談社選書メチエ)感想
時間がなくて全部は読めなかった。時系列ではなく、テーマごとに数人ずつをまとめてあるので、歴史書としては読めないかもしれないが、読み物として面白い。ローマ帝国について俯瞰的な記述も随所にはさみ、なかなか図表資料も豊富。
読了日:12月22日 著者:新保良明

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2014年1月 3日

オンライン文化祭2013が終わりました

新年あけましておめでとうございます。

年末は、もういろいろなことに力尽きてしまって、何も告知のないまま、本サイト、携帯サイトともにお休みに入ってしまいました。

「オンライン文化祭2013 ―帰―」の感想ツイートだけは、かろうじて間に合いましたが、いただいたメールへの返信はできずに、会期が終了してしまいました。

このブログの末尾に感想への返信を載せていますので、メールで感想をくださった皆様はご覧くださいますように。

このお祭りに、BUTAPENNは、小説部門に「ただいま!」、メディアミックス部門に「たねや植えけん」で参加しました。
もし、まだお読みでないかたは、どうぞ。併せて、会場や感想まとめページにもお越しください。

「ただいま!」
「たねや植えけん」(サウンドノベル・音声が出ます)
「オンライン文化祭2013 ―帰―」
オンライン文化祭2013―帰―感想まとめ togetter
「ただいま!」は、文化祭のテーマが「帰」だったことで、どうしても帰れない話をいろいろ考えて、最終的にこれになりました。前年の参加作品が非常に重い話だったので、今年は反対方向のコミカルにしようと決めていました。楠沢さんが「守備範囲が広い」とおっしゃってくださり、恐縮です。
招夏さんの「魔王ゼファーの息子じゃないよなー」は、まさに当たりで、雪羽の設定では書けない「父子バトル」の未来を書きたくなってしまったのです。
また、koharuさんの「この帰宅バトルって、将来的に魔王を継ぐことになるかもしれない息子のレベルアップを願ったご両親の計略だった……なんてことはないですよね。」と、かなり核心にせまる鋭い指摘をしてくださいました。この父ちゃん母ちゃんはただものではありませんからね。

吉田ケイさんの「続編へ続きそうな感じ」は、まったくその通りで、実は続編を意識しています。
森戸玲さんの、「リョウの学校生活を読んでみたい」とのリクも、ありがたく頂戴しました。
山仙さんに見抜かれてしまったのですが、「小説家になろう」っぽい話を目指してもいました。いずれ構想が膨らんだら、長編化して連載したいと考えています。今はこれ以上連載を抱える気力があるか、疑問なのですが…。
いずれにせよ、猫さんが感想に書いてくださった、
「「人間である部分と魔族である部分が共存している。」のならば、そのままに――(中略)――「平和な時代」を導いて貰いたい」
を大切な中心テーマとして、書いていきたいと思っています。

「たねや植えけん」は、巻末資料にも記したとおり、読売新聞日曜版の「名言巡礼」という、宇喜多秀家に関する記事を見て、「これだ」とインスピレーションを受けて書き始めました。
サウンドノベル制作に関しては、資料集め → 八丈島の風景写真さがし → BGMさがしという順番で行い、ビデオ制作ソフト「AVS4YOU Video Editor」を使って作業しました。
作業の手順は、BGMの長さに合わせて、写真と文章をあてはめていくもので、音楽と場面転換をぴったり合わせるのに、一番神経を使いました。

複数の方に指摘いただいたのですが、文章のスクロールの速さが違い、場面によっては速すぎて読みにくい部分があったそうです。これは、限られた音楽の中に長い文章を無理に押し込んだためで、もっと文章を削るべきでした。これからの反省にしたいと思います。

梅(b^▽^)bさんと、招夏さんの感想にあったとおり、NHKの「歴史秘話ヒストリア」や、大河ドラマのエンディングの「〇〇紀行」のようなイメージでノリノリで(笑)作っていました。作りながら自分で泣いてしまうこともしばしばでした。音楽と映像の相乗効果は、つくづく偉大だと思いました。

実は、この話は、ひとつだけウソをついている部分があります。
このストーリーの流れでは、
「漂流した漁師から、岡山城主の名を聞き、「運のよいやつめ」とやっかみを見せる」、そのあとで「「徳川家の禄を食む気持ちはない」と、いさぎよく徳川の恩赦を蹴る」エピソードに続きますが、実際の歴史からいえば、後者のほうが若いときの話であり、前者のほうが老齢になってからのエピソードです。
時系列順に話を並べると、「達観したつもりでも、年老いてもなお忸怩たる思いがあったのか」という寂しい結論になってしまうようで、あえて順番を逆にしました。
でも、実際そうだったのだと思います。いさぎよく運命を受け入れて静かに過ごしつつも、故郷の城を元の家臣が治めていると知れば、心穏やかではいられない。その気持ちの揺れが波のように寄せては引いていく、それが、人間の心のありかたであるのでしょう。

豪姫の前田家が、明治になるまで援助を送り続けていたことや、八丈島に、ふたりの像が並べられていること。知らなかった歴史を、今回たくさん知ることができました。
今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」にも、宇喜多秀家が登場するかなと楽しみにしています。

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2013年11月 7日

読書メーター2013年9月・10月


天冥の標4: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)天冥の標4: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)の感想
アクション満載の前巻から一転して、感覚や観念の世界に深く埋没していくような、哲学的な章。ある意味、求道者が宗教的高みを究めているような趣きだ。作者は、とまどい呆れている読者の顔を想像して、ほくそえんでいるに違いない。前巻の主人公たちの息吹が感じられて、ほっとする。
読了日: 9月4日 著者:小川一水

月下上海月下上海の感想
多江子の好きになる男性は、不埒な男、不運な男、不実な男ばかり。それでもなお凛として立つ彼女の魅力は、美貌でも才能でも男まさりな性格でもなく、その聖母性にあるのかもしれない。彼女はきっと、牢屋に手作り弁当を運ぶときが、一番幸せな恋愛をしていたのだろう
読了日: 9月9日 著者:山口恵以子

神去なあなあ夜話神去なあなあ夜話の感想
何も特別なことが起こったわけではないが(本当は過去の悲劇とかあわや遭難とか、いろいろあるのだけれど)、淡々とした日常の中で、神去村の一員として受け入れられている勇気の姿にほっとした。方言というのは、字面にすると頭に入ってこないことが多いけれど、しをんさんの書く方言は、音まで伝わってきて、温かい。そして、シゲ婆ちゃんがすごかった。
読了日: 9月13日 著者:三浦しをん

ローマ人の物語 (10) すべての道はローマに通ずローマ人の物語 (10) すべての道はローマに通ずの感想
「インフラの父」と呼ばれているローマ人。彼らはインフラを「人間が人間らしい生活を送るために必要な大事業」として、皇帝のなすべき大切な責務と位置付けていたのだった。道路、橋、上下水道。これらを三十万のローマ軍兵士が作り上げた。軍団、兵站、情報のすみやかな移動システムが、とりもなおさず帝国内に住むすべての人の安全を保障することになった。巻末の美麗なカラー写真を見ると、彼らの成し遂げたことの壮大さに胸がつまる。
読了日: 9月19日 著者:塩野七生

天涯の楽土 (単行本)天涯の楽土の感想
「野性時代フロンティア文学賞」受賞作。審査員が書いていることだが、弥生時代の久慈(九州)が舞台というのは既存の作品に例がなく、ジャンルの創設に等しいという。なじみのある地が、壮大なファンタジーの舞台となって広がるのは、得も言われぬ爽快感がある。 村が戦に敗れ、奴隷となって苦役を強いられる隼人。友をかばって自分がいじめの標的にされるが、おりおりに助けてくれる冷たい目をした敵の剣奴・鷹士に対して、あこがれを抱く。自分が「異」なるものであるという孤独。人が人を慕うせつないまでのひたむきさに引き込まれる。
食物、衣服、武器や食器に至るまで、生活描写は、ドラマの考証にも匹敵する細やかさだ。欲を言えば、冒険に旅立ってからのエピソードをもっとたくさん読みたかったが、さらなる旅の続きを予感させるラストに、読者はそれぞれの想像をつむいでいくはずだ。
読了日:9月24日 著者:篠原悠希

ローマ人の物語 (11) 終わりの始まりローマ人の物語 (11) 終わりの始まり感想
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの不運には泣ける。ほんとにまじめな人だったのに。彼も軍人皇帝セヴェルスも、不肖の息子を持ったことが一番の悲劇だったが、彼ら自身にも原因はあったのだ。 元老院と軍の不可分な関係がいよいよ崩れてきたことも、ローマの崩壊を加速する。
読了日:10月2日 著者:塩野七生

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
コリコリと珈琲を挽きながら謎解きする女性バリスタと常連客の、殺人のない日常系ミステリ。ミステリと言っても、話者の説明にいろいろ仕掛けがあるという、いわゆる叙述系トリックなので、フラストレーションはたまるが、それなりに楽しめる。
読了日:10月6日 著者:岡崎琢磨

古代ローマの食卓古代ローマの食卓感想
著名な食物史研究家の記した、古代ローマ人の食卓模様。前半は「卵に始まり林檎に終わる」と言われる正餐のメニュー、食事のマナー、ワインや香辛料について。食器やテーブルなども図入りで紹介されて、興味深い。後半は膨大なレシピ集。
読了日:10月13日 著者:パトリックファース

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2013年10月26日

山仙さんに会ってきました

ごぶさたしております。一か月以上ブログも更新せず、トップのカウンターが200万ヒットになった記念もせず、BUTAPENNは何をしているのかといぶかる方もおられたでしょうが、生きております。

認知症の家族が骨折で二か月入院しておりまして、案の定歩けなくなって、認知症も進んで家に戻ってきました。
まず車に乗れない、家に戻っても、ひとりでトイレに行けない、ひとりで食卓に座れない、ひとりでベッドに寝られない。すべて歩行器を使いながら家族が介助しなければなりません。
体重が軽い人なので大丈夫と高をくくっていましたが、二日目に背中が痛み出し、将来の見えない不安に夜も寝られず、へとへとになりました。
幸いにして、親身になってくださるケアマネさんやデイサービスのスタッフの協力もあり、また本人自身の底力もあって、かなり歩けるようになってきましたが、まだまだ気が抜けません。

全国の自宅介護中の家族のみなさま。本当にお疲れさまです。

さて、タイトルの話に入ります。
実は以前から、仕事で関西に来る予定だった山仙さんと京都で会う約束をしていたのですが、そんなこんなで、しかも台風が接近する最悪のタイミングと重なり、無理ではないかとあきらめかけていましたが、ぎりぎり天候も回復し、なんとか今朝、無事に実現の運びとなりました。

小説サイトを開いてもう11年以上になりますが、ネット作家さんとのオフ会は、まだ二度目です(第一回は、聖天音さん)。
数えれば、山仙さんとももう10年近くの付き合いになります。「猫祭り」や「ペンギンフェスタ」の発起人や共同主催をしていただいたこともあり、今も「500文字の心臓」に「ぶた仙」という名で共作を続けています。

ご存知の方もおられると思いますが、山仙さんは第一線の科学者さんでもあって、「ギャラクシーシリーズ」や「魔王ゼファー」でも科学者の視点でアドバイスをくださり、私がなんとかSFと標榜するものを書くことができるのも、彼の協力があってこそでした。
よく文系、理系と言いますが、山仙さんはその両方を兼ね備えている稀有な方だと思います。

私よりやや年下の五十代前半。なんとなくお茶の水博士みたいな感じをイメージしていたのですが(笑)、お会いしたら、年の割にはなかなか引き締まった体で、けっこうハンサムな方でした(ヒゲさえなければ、ねえ)。
初めてお会いするのに、ずっと以前から何度も会っているような不思議な気分です。SF小説の構想から、私の介護の相談まで二時間おしゃべりして、京都駅の新幹線の改札のところで別れました。

また明日からは文字だけの交流に戻りますが、これからは文字の向こうにちゃんと顔が見えるのでしょうね。
新しい力を分けていただいた気分で、私もあらたな気持ちで執筆に取り組みたいと思います。

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2013年9月22日

「Antivirus Professional」の削除方法

「Antivirus Professional」など、さまざまな名を持つ偽セキュリティ対策ソフトが猛威をふるっているようです。
yahooやGoogleなどで検索して、たまたまクリックしたサイトが、たまたまこのウィルスに汚染されていたら、それだけで、このソフトが強制ダウンロードされてしまうという、いわゆる「トロイの木馬」系のウィルスです。

感染すると、いきなり英語オンリーの画面が立ち上がり、「このコンピュータは、これこれのウィルスに汚染されています」と脅されて、ウィルスを駆除するために、対策ソフトを買うように強要する。ウィルス駆除ソフトを装った悪辣な仕掛けなのです。

悪質なのは、いくら「閉じる」ボタンを押しても、何度でも現れることです。自分が消されることを防ぐために、あらゆる手段を使ってパソコンの管理ツールも妨害してきます。英語だし、わけがわからなくなり、ウィルスを駆除するためならと、つい買ってしまう人も多いそうです。

夫のパソコンが、このソフトにやられてしまい、ゆうべは夜中の二時までかかって駆除するハメになりました。
ほんとに腹が立つので、みなさまに注意していただくためにも、私のとった対策方法をメモしておくことにします。

参考にしたサイトさまは、こちら→ 「Disk Antivirus Professional」の簡単削除手順

まず、一番オーソドックスな対処方法です。、

1)パソコンをセーフモードにする。
電源をONしたときに、F8ボタンを長押しすれば、セーフモードになります。

2)デスクトップに現れた「Antivirus Pro」のショートカットアイコンを右クリック → プロパティをクリック →
「ファイルの場所を開く」をクリック → ファイルの入っているフォルダごと削除

というものです。

ところが、パソコンをセーフモードにしたとたん、パソコンが自動的にシャットダウンしてしまう!
これぞ、悪質ソフトの仕業。自分を消されないために、最新型には、再起動を妨害する機能が付け加えられたらしいのです。

このやり方では、もはや対処できない。では、次の対処方法です。

参考サイトさまは、こちら → Antivirus Security Proウイルス駆除 セーフモードに入ると再起動の妨害!?

1)迷惑ソフトの起動画面で「Buy Full Edition」をクリックします。つまり、いったん買うふりをするのです。
2)$79.99などの選択肢が示されますが、それは無視して、画面の左下にある「I already have activation key」をクリック
3) コードを入力するように要求されるので、下記のサイト(英語版)に「copy paste this code」と記されている赤い文字列を入力
http://siri-urz.blogspot.jp/2013/08/antivirus-security-pro.html
4) インストールされ、スキャンが始まりますが、気にせずに、
Windowsのスタートメニュー → [すべてのプログラム] → [Antivirus Security Pro] → [Uninstall Antivirus Security Pro] でアンインストールできます。
もし、デスクトップにアイコンが残っていたら、右クリックで削除します。

これで、うちは削除完了しました。
レジストリキーも削除したほうがよいようですが、うちはしていません。
さっそく、正規のセキュリティソフトを最新版に更新して、チェックスキャンしました。

もともと、今回のトラブルは、あたりまえの対策をとっていれば、防げたものだそうです。私も夫のパソコンにまで気が回らず、忙しさにかまけて、つい不注意になっていました。

あたりまえの対策とは、

・セキュリティソフトをきちんと入れ、いつも最新版に更新しておく。
・WINDOWS UPDATE は定期的に実施
・Java、Adobe Reader、Flash Player などのソフトは、いつも最新状態にしておく。

こういう悪質なソフトにひっかかるのは、時間の無駄、ストレスのもとです。みなさまも、ぜひお気を付けくださいますように。

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2013年9月 4日

読書メーター2013年8月+宣伝

近畿は、このところ雨続きの毎日です。やんだかなと思って外に出ると、どわっと降られる。傘なんぞ、役に立ちません。まさに亜熱帯のシャワーです。

さて、8月は何かと忙しく、読書は4冊という有様。
だからというわけではないのですが、このところ、私のリンクさせていただいているネット小説家のお仲間たちが、次々と出版なさっていますので、遅ればせながら、その宣伝をしたいと思います。

まず、新しいところから挙げると、「星宿海」の篠原悠希さんの、「第四回野性時代フロンティア文学賞」受賞作「天涯の楽土」が角川書店より刊行されました。
いやあ、もう楽しみです。書店に行って「わあ、これ今話題の本だ」とかなんとか叫びながら、買おうと思ってます。かえって怪しいか。


ミルキーポピンズ(PN 上月美青)さんは、電子書籍でロマンス小説を何作も出版しておられますが、このたび「コッツウォルズの春」がコミカライズされて、「甘く残酷な結婚」というタイトルで、ロマンスコミックスから出版されました。


sleepdog(PN 青砥十)さんは、「後輩書記シリーズ」で一大ブームを巻き起こし、「ゆるふわ妖怪作家」としての人気を不動のものにしておられますが、シリーズ最新作がこれです。
公式サイトはもちろん、ドラマCD、オリジナルグッズと多方面に展開中です。


そして、もちろん忘れてはならないのが、葉嶋ナノハさんの、「金曜日はピアノ」
しっとりした雨の日に思い出して、読み返したくなるような名作です。まだの方はぜひぜひ。


さて、肝心のタイトル「読書メーター8月」分ですが、折りたたんでおきましたので、どうぞ、興味のある方は「続き」をクリックしてください。

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2013年8月 2日

読書メーター2013年7月

7月の読書は、何と言っても、ウェルキンゲトリクス(ヴェルチンジェトリクス)月間でした。
ヴェルチンは紀元前一世紀、カエサルと戦ったガリアの英雄です。

かっこええです。もう、惚れました。佐藤賢一描く、偉大な父から引き継いだガリア部族の統一という重荷を背負わされつつ、母の愛に飢え、残虐で好色で、ひとりで服を着られない誇り高いヴェルチンも好きだし、「アグリッパ」でヤキュウムやスモウムに興じるヴェルチンも好きだーっ。
「月の戦士」で、セヴァンがガリア戦記を読んでヴェルチンに魅せられ、ローマとの戦いを決意するシーンが早く書きたいです。

それ以外は、小川一水の大河長編シリーズを読み始めました。
夫が「半沢直樹」の原作をごっそり買ってきたので、8月の休暇シーズンは、それを読むのも楽しみです。

2013年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2232ページ

陽だまりの彼女陽だまりの彼女感想
甘い新婚生活に忍び寄る崩壊の予感。なぜ彼女は去らねばならないのかという謎の料理法に、合理的な説明を期待していた人には失望の結末だろう。しかし、いちゃいちゃとベタ甘な恋愛描写が続くのに、不思議と辟易しない、この仕掛けには異論があるはずはない。
読了日:7月6日 著者:越谷 オサム

カエサルを撃てカエサルを撃て感想
ガリア戦記の二大英雄が佐藤賢一にかかるとこうなるのか。神のごとき美貌の巨漢ウェルキンゲトリクスと、禿げの中年男カエサルとの戦いは、若者と中年、蛮勇と秩序、野性と老獪との戦いでもある。壮絶な戦いのすえ敗北したガリアの英雄の獣性は、カエサルにのりうつり、後のローマの歴史を変えていく。結局、真の勝者はどちらだったのだろう。
読了日:7月10日 著者:佐藤 賢一

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)感想
これは個人の物語ではなく、種族の物語なのだということが、なんとなくわかりつつある。主人公たちの生死は、壮大な叙事詩にとっては些末なことなのだ。読者は、キャラに必要以上に感情移入しないように覚悟して読むべきかもしれない。
読了日:7月18日 著者:小川 一水

ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫)感想
連続殺人事件をこれでもかと残虐に描いたことで、それに立ち向かう警察組織の内部事情も、強引な捜査も、ゆるせてしまう。ガンテツが主人公かと思えてしまうくらいカッコいい。姫川の対極に彼を置いたことで、彼女の弱さがきわだってしまった感じ。読んでいて首筋がぞわぞわするのには困った。
読了日:7月20日 著者:誉田 哲也

ガルキスの王子 (創元推理文庫―七つの砦)ガルキスの王子 (創元推理文庫―七つの砦)感想
「七つの砦」四部作野第一巻。ファンタジーの醍醐味である、異世界の美しい描写という点で、目を見張るものがある。主人公の異母兄弟の心が通じ合っていないため、ややイライラさせられる。このあとの彼らの成長に期待したいところだが、絶版のうえに最後の巻が翻訳されていないので、続きを読むのは覚悟がいる。
読了日:7月29日 著者:ジェラルディン ハリス

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)感想
いきなり現代のアジアに戻ってきた。冥王斑という言葉で、かろうじて?とのつながりを保ちつつ、迫力あるパンデミックものにのめりこむ。東京でアウトブレイクが起きたら、ほぼ、これと同じ政策が取られるだろうという説得力。 救世群が、これからどういう組織になっていくのか。冥王斑をもたらしたものの正体は。ラストで移植を果たしたフェオドール・ダッシュは、人類とどうかかわっていくのか。これらを留意しつつ、第三楽章へ。
読了日:7月31日 著者:小川 一水

読書メーター

「アグリッパ」も紹介しておきます。
ヴェルチンが主人公なのに、なぜタイトルが「アグリッパ」なのか。その理由は第4巻まで読むとわかります。続編が出ることを、せつに希望します。

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