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2013年11月 7日

読書メーター2013年9月・10月


天冥の標4: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)天冥の標4: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)の感想
アクション満載の前巻から一転して、感覚や観念の世界に深く埋没していくような、哲学的な章。ある意味、求道者が宗教的高みを究めているような趣きだ。作者は、とまどい呆れている読者の顔を想像して、ほくそえんでいるに違いない。前巻の主人公たちの息吹が感じられて、ほっとする。
読了日: 9月4日 著者:小川一水

月下上海月下上海の感想
多江子の好きになる男性は、不埒な男、不運な男、不実な男ばかり。それでもなお凛として立つ彼女の魅力は、美貌でも才能でも男まさりな性格でもなく、その聖母性にあるのかもしれない。彼女はきっと、牢屋に手作り弁当を運ぶときが、一番幸せな恋愛をしていたのだろう
読了日: 9月9日 著者:山口恵以子

神去なあなあ夜話神去なあなあ夜話の感想
何も特別なことが起こったわけではないが(本当は過去の悲劇とかあわや遭難とか、いろいろあるのだけれど)、淡々とした日常の中で、神去村の一員として受け入れられている勇気の姿にほっとした。方言というのは、字面にすると頭に入ってこないことが多いけれど、しをんさんの書く方言は、音まで伝わってきて、温かい。そして、シゲ婆ちゃんがすごかった。
読了日: 9月13日 著者:三浦しをん

ローマ人の物語 (10) すべての道はローマに通ずローマ人の物語 (10) すべての道はローマに通ずの感想
「インフラの父」と呼ばれているローマ人。彼らはインフラを「人間が人間らしい生活を送るために必要な大事業」として、皇帝のなすべき大切な責務と位置付けていたのだった。道路、橋、上下水道。これらを三十万のローマ軍兵士が作り上げた。軍団、兵站、情報のすみやかな移動システムが、とりもなおさず帝国内に住むすべての人の安全を保障することになった。巻末の美麗なカラー写真を見ると、彼らの成し遂げたことの壮大さに胸がつまる。
読了日: 9月19日 著者:塩野七生

天涯の楽土 (単行本)天涯の楽土の感想
「野性時代フロンティア文学賞」受賞作。審査員が書いていることだが、弥生時代の久慈(九州)が舞台というのは既存の作品に例がなく、ジャンルの創設に等しいという。なじみのある地が、壮大なファンタジーの舞台となって広がるのは、得も言われぬ爽快感がある。 村が戦に敗れ、奴隷となって苦役を強いられる隼人。友をかばって自分がいじめの標的にされるが、おりおりに助けてくれる冷たい目をした敵の剣奴・鷹士に対して、あこがれを抱く。自分が「異」なるものであるという孤独。人が人を慕うせつないまでのひたむきさに引き込まれる。
食物、衣服、武器や食器に至るまで、生活描写は、ドラマの考証にも匹敵する細やかさだ。欲を言えば、冒険に旅立ってからのエピソードをもっとたくさん読みたかったが、さらなる旅の続きを予感させるラストに、読者はそれぞれの想像をつむいでいくはずだ。
読了日:9月24日 著者:篠原悠希

ローマ人の物語 (11) 終わりの始まりローマ人の物語 (11) 終わりの始まり感想
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの不運には泣ける。ほんとにまじめな人だったのに。彼も軍人皇帝セヴェルスも、不肖の息子を持ったことが一番の悲劇だったが、彼ら自身にも原因はあったのだ。 元老院と軍の不可分な関係がいよいよ崩れてきたことも、ローマの崩壊を加速する。
読了日:10月2日 著者:塩野七生

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
コリコリと珈琲を挽きながら謎解きする女性バリスタと常連客の、殺人のない日常系ミステリ。ミステリと言っても、話者の説明にいろいろ仕掛けがあるという、いわゆる叙述系トリックなので、フラストレーションはたまるが、それなりに楽しめる。
読了日:10月6日 著者:岡崎琢磨

古代ローマの食卓古代ローマの食卓感想
著名な食物史研究家の記した、古代ローマ人の食卓模様。前半は「卵に始まり林檎に終わる」と言われる正餐のメニュー、食事のマナー、ワインや香辛料について。食器やテーブルなども図入りで紹介されて、興味深い。後半は膨大なレシピ集。
読了日:10月13日 著者:パトリックファース

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2013年10月26日

山仙さんに会ってきました

ごぶさたしております。一か月以上ブログも更新せず、トップのカウンターが200万ヒットになった記念もせず、BUTAPENNは何をしているのかといぶかる方もおられたでしょうが、生きております。

認知症の家族が骨折で二か月入院しておりまして、案の定歩けなくなって、認知症も進んで家に戻ってきました。
まず車に乗れない、家に戻っても、ひとりでトイレに行けない、ひとりで食卓に座れない、ひとりでベッドに寝られない。すべて歩行器を使いながら家族が介助しなければなりません。
体重が軽い人なので大丈夫と高をくくっていましたが、二日目に背中が痛み出し、将来の見えない不安に夜も寝られず、へとへとになりました。
幸いにして、親身になってくださるケアマネさんやデイサービスのスタッフの協力もあり、また本人自身の底力もあって、かなり歩けるようになってきましたが、まだまだ気が抜けません。

全国の自宅介護中の家族のみなさま。本当にお疲れさまです。

さて、タイトルの話に入ります。
実は以前から、仕事で関西に来る予定だった山仙さんと京都で会う約束をしていたのですが、そんなこんなで、しかも台風が接近する最悪のタイミングと重なり、無理ではないかとあきらめかけていましたが、ぎりぎり天候も回復し、なんとか今朝、無事に実現の運びとなりました。

小説サイトを開いてもう11年以上になりますが、ネット作家さんとのオフ会は、まだ二度目です(第一回は、聖天音さん)。
数えれば、山仙さんとももう10年近くの付き合いになります。「猫祭り」や「ペンギンフェスタ」の発起人や共同主催をしていただいたこともあり、今も「500文字の心臓」に「ぶた仙」という名で共作を続けています。

ご存知の方もおられると思いますが、山仙さんは第一線の科学者さんでもあって、「ギャラクシーシリーズ」や「魔王ゼファー」でも科学者の視点でアドバイスをくださり、私がなんとかSFと標榜するものを書くことができるのも、彼の協力があってこそでした。
よく文系、理系と言いますが、山仙さんはその両方を兼ね備えている稀有な方だと思います。

私よりやや年下の五十代前半。なんとなくお茶の水博士みたいな感じをイメージしていたのですが(笑)、お会いしたら、年の割にはなかなか引き締まった体で、けっこうハンサムな方でした(ヒゲさえなければ、ねえ)。
初めてお会いするのに、ずっと以前から何度も会っているような不思議な気分です。SF小説の構想から、私の介護の相談まで二時間おしゃべりして、京都駅の新幹線の改札のところで別れました。

また明日からは文字だけの交流に戻りますが、これからは文字の向こうにちゃんと顔が見えるのでしょうね。
新しい力を分けていただいた気分で、私もあらたな気持ちで執筆に取り組みたいと思います。

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2013年9月22日

「Antivirus Professional」の削除方法

「Antivirus Professional」など、さまざまな名を持つ偽セキュリティ対策ソフトが猛威をふるっているようです。
yahooやGoogleなどで検索して、たまたまクリックしたサイトが、たまたまこのウィルスに汚染されていたら、それだけで、このソフトが強制ダウンロードされてしまうという、いわゆる「トロイの木馬」系のウィルスです。

感染すると、いきなり英語オンリーの画面が立ち上がり、「このコンピュータは、これこれのウィルスに汚染されています」と脅されて、ウィルスを駆除するために、対策ソフトを買うように強要する。ウィルス駆除ソフトを装った悪辣な仕掛けなのです。

悪質なのは、いくら「閉じる」ボタンを押しても、何度でも現れることです。自分が消されることを防ぐために、あらゆる手段を使ってパソコンの管理ツールも妨害してきます。英語だし、わけがわからなくなり、ウィルスを駆除するためならと、つい買ってしまう人も多いそうです。

夫のパソコンが、このソフトにやられてしまい、ゆうべは夜中の二時までかかって駆除するハメになりました。
ほんとに腹が立つので、みなさまに注意していただくためにも、私のとった対策方法をメモしておくことにします。

参考にしたサイトさまは、こちら→ 「Disk Antivirus Professional」の簡単削除手順

まず、一番オーソドックスな対処方法です。、

1)パソコンをセーフモードにする。
電源をONしたときに、F8ボタンを長押しすれば、セーフモードになります。

2)デスクトップに現れた「Antivirus Pro」のショートカットアイコンを右クリック → プロパティをクリック →
「ファイルの場所を開く」をクリック → ファイルの入っているフォルダごと削除

というものです。

ところが、パソコンをセーフモードにしたとたん、パソコンが自動的にシャットダウンしてしまう!
これぞ、悪質ソフトの仕業。自分を消されないために、最新型には、再起動を妨害する機能が付け加えられたらしいのです。

このやり方では、もはや対処できない。では、次の対処方法です。

参考サイトさまは、こちら → Antivirus Security Proウイルス駆除 セーフモードに入ると再起動の妨害!?

1)迷惑ソフトの起動画面で「Buy Full Edition」をクリックします。つまり、いったん買うふりをするのです。
2)$79.99などの選択肢が示されますが、それは無視して、画面の左下にある「I already have activation key」をクリック
3) コードを入力するように要求されるので、下記のサイト(英語版)に「copy paste this code」と記されている赤い文字列を入力
http://siri-urz.blogspot.jp/2013/08/antivirus-security-pro.html
4) インストールされ、スキャンが始まりますが、気にせずに、
Windowsのスタートメニュー → [すべてのプログラム] → [Antivirus Security Pro] → [Uninstall Antivirus Security Pro] でアンインストールできます。
もし、デスクトップにアイコンが残っていたら、右クリックで削除します。

これで、うちは削除完了しました。
レジストリキーも削除したほうがよいようですが、うちはしていません。
さっそく、正規のセキュリティソフトを最新版に更新して、チェックスキャンしました。

もともと、今回のトラブルは、あたりまえの対策をとっていれば、防げたものだそうです。私も夫のパソコンにまで気が回らず、忙しさにかまけて、つい不注意になっていました。

あたりまえの対策とは、

・セキュリティソフトをきちんと入れ、いつも最新版に更新しておく。
・WINDOWS UPDATE は定期的に実施
・Java、Adobe Reader、Flash Player などのソフトは、いつも最新状態にしておく。

こういう悪質なソフトにひっかかるのは、時間の無駄、ストレスのもとです。みなさまも、ぜひお気を付けくださいますように。

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2013年9月 4日

読書メーター2013年8月+宣伝

近畿は、このところ雨続きの毎日です。やんだかなと思って外に出ると、どわっと降られる。傘なんぞ、役に立ちません。まさに亜熱帯のシャワーです。

さて、8月は何かと忙しく、読書は4冊という有様。
だからというわけではないのですが、このところ、私のリンクさせていただいているネット小説家のお仲間たちが、次々と出版なさっていますので、遅ればせながら、その宣伝をしたいと思います。

まず、新しいところから挙げると、「星宿海」の篠原悠希さんの、「第四回野性時代フロンティア文学賞」受賞作「天涯の楽土」が角川書店より刊行されました。
いやあ、もう楽しみです。書店に行って「わあ、これ今話題の本だ」とかなんとか叫びながら、買おうと思ってます。かえって怪しいか。


ミルキーポピンズ(PN 上月美青)さんは、電子書籍でロマンス小説を何作も出版しておられますが、このたび「コッツウォルズの春」がコミカライズされて、「甘く残酷な結婚」というタイトルで、ロマンスコミックスから出版されました。


sleepdog(PN 青砥十)さんは、「後輩書記シリーズ」で一大ブームを巻き起こし、「ゆるふわ妖怪作家」としての人気を不動のものにしておられますが、シリーズ最新作がこれです。
公式サイトはもちろん、ドラマCD、オリジナルグッズと多方面に展開中です。


そして、もちろん忘れてはならないのが、葉嶋ナノハさんの、「金曜日はピアノ」
しっとりした雨の日に思い出して、読み返したくなるような名作です。まだの方はぜひぜひ。


さて、肝心のタイトル「読書メーター8月」分ですが、折りたたんでおきましたので、どうぞ、興味のある方は「続き」をクリックしてください。

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続きを読む "読書メーター2013年8月+宣伝"

2013年8月 2日

読書メーター2013年7月

7月の読書は、何と言っても、ウェルキンゲトリクス(ヴェルチンジェトリクス)月間でした。
ヴェルチンは紀元前一世紀、カエサルと戦ったガリアの英雄です。

かっこええです。もう、惚れました。佐藤賢一描く、偉大な父から引き継いだガリア部族の統一という重荷を背負わされつつ、母の愛に飢え、残虐で好色で、ひとりで服を着られない誇り高いヴェルチンも好きだし、「アグリッパ」でヤキュウムやスモウムに興じるヴェルチンも好きだーっ。
「月の戦士」で、セヴァンがガリア戦記を読んでヴェルチンに魅せられ、ローマとの戦いを決意するシーンが早く書きたいです。

それ以外は、小川一水の大河長編シリーズを読み始めました。
夫が「半沢直樹」の原作をごっそり買ってきたので、8月の休暇シーズンは、それを読むのも楽しみです。

2013年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2232ページ

陽だまりの彼女陽だまりの彼女感想
甘い新婚生活に忍び寄る崩壊の予感。なぜ彼女は去らねばならないのかという謎の料理法に、合理的な説明を期待していた人には失望の結末だろう。しかし、いちゃいちゃとベタ甘な恋愛描写が続くのに、不思議と辟易しない、この仕掛けには異論があるはずはない。
読了日:7月6日 著者:越谷 オサム

カエサルを撃てカエサルを撃て感想
ガリア戦記の二大英雄が佐藤賢一にかかるとこうなるのか。神のごとき美貌の巨漢ウェルキンゲトリクスと、禿げの中年男カエサルとの戦いは、若者と中年、蛮勇と秩序、野性と老獪との戦いでもある。壮絶な戦いのすえ敗北したガリアの英雄の獣性は、カエサルにのりうつり、後のローマの歴史を変えていく。結局、真の勝者はどちらだったのだろう。
読了日:7月10日 著者:佐藤 賢一

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)感想
これは個人の物語ではなく、種族の物語なのだということが、なんとなくわかりつつある。主人公たちの生死は、壮大な叙事詩にとっては些末なことなのだ。読者は、キャラに必要以上に感情移入しないように覚悟して読むべきかもしれない。
読了日:7月18日 著者:小川 一水

ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫)感想
連続殺人事件をこれでもかと残虐に描いたことで、それに立ち向かう警察組織の内部事情も、強引な捜査も、ゆるせてしまう。ガンテツが主人公かと思えてしまうくらいカッコいい。姫川の対極に彼を置いたことで、彼女の弱さがきわだってしまった感じ。読んでいて首筋がぞわぞわするのには困った。
読了日:7月20日 著者:誉田 哲也

ガルキスの王子 (創元推理文庫―七つの砦)ガルキスの王子 (創元推理文庫―七つの砦)感想
「七つの砦」四部作野第一巻。ファンタジーの醍醐味である、異世界の美しい描写という点で、目を見張るものがある。主人公の異母兄弟の心が通じ合っていないため、ややイライラさせられる。このあとの彼らの成長に期待したいところだが、絶版のうえに最後の巻が翻訳されていないので、続きを読むのは覚悟がいる。
読了日:7月29日 著者:ジェラルディン ハリス

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)感想
いきなり現代のアジアに戻ってきた。冥王斑という言葉で、かろうじて?とのつながりを保ちつつ、迫力あるパンデミックものにのめりこむ。東京でアウトブレイクが起きたら、ほぼ、これと同じ政策が取られるだろうという説得力。 救世群が、これからどういう組織になっていくのか。冥王斑をもたらしたものの正体は。ラストで移植を果たしたフェオドール・ダッシュは、人類とどうかかわっていくのか。これらを留意しつつ、第三楽章へ。
読了日:7月31日 著者:小川 一水

読書メーター

「アグリッパ」も紹介しておきます。
ヴェルチンが主人公なのに、なぜタイトルが「アグリッパ」なのか。その理由は第4巻まで読むとわかります。続編が出ることを、せつに希望します。

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2013年7月30日

「小説家になろう」はじめました

相変わらず暑い日が続き、汗でメガネがずり落ち、小説を書くどころじゃない有様です。
でも、そんなことで文句を言ってられませんね。たいへんな豪雨の被害を受けた地域の方は、お見舞い申し上げます。

さて、表題のごとく、昨日から「小説家になろう」での活動を始めました。
数年前に、携帯サイトが読めないというお声をいただいてから、サイトの携帯・スマホ対応は、どうしたらいいか、あれこれ試行錯誤していたのですが、すべての機種で動作確認するわけにはいかず、投げ出していました。

つい最近、「なろう」のテンプレートが、携帯・スマホ・PC、どれにも対応できるものであることを知り、いっそ、そちらにも小説を転載すればよいのではないかと考えていました。

ところが、私は根っからのタグ打ち人間。ビルダーとかも使ったことがありません。ああいう便利なシステムにはかえって順応できないのですね。
「連載投稿のしかたがわからんーっ」、慣れている方には笑い話のようなところで、つまずいておりました。

HTMLでは、まず個々のページを作り、目次を作り、リンクでつなげて階層化するのですが、「なろう」では、まずタイトル、小説本文を投稿し、次話投稿で続きを書き、それらをサブタイトルでラベルづけしておけば、章管理で自動的につながってくれる……というわけだったのですね。目次を作る方法がわからなくて、二日くらい悩みっぱなしでした。

今回投稿したのは、二作品です。
まず、今連載中の「月の戦士」。
プロローグをはずして、第一章から始まっています。こちらのほうがわかりやすいというご指摘を受けたので、実験的にはずすことにしました。あとは、ほとんどサイトと変わりはありません。

「インビジブル・ラブ」はすでにサイトでは完結ずみですが、サブキャラとして「夜叉往来」のキャラではなく、独自キャラを入れています。その部分を改稿しながら、連載していきます。

当面は、この二作で進めますが、気が向いたら、ほかの作品も移植するかもしれません。
この数日、小説がちっとも進んでいないのは、このせいでしょうか。それともやっぱり、暑さのせいでしょうか。

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2013年7月12日

著作権延長は誰のためか

日本のTPP協定交渉への参加が決定しました。
7月15日から25日までマレーシア・コタキナバルで開かれる拡大会合で、日本はぎりぎりの初出席が予定されています。

TPPに関しては、多くのメリット・デメリットが議論されていますが、離陸してしまった以上、少しでも不備な部分を改善していくために、国民全体が活発に議論に加わる必要があると思います。


さて、TPP参加決定で懸念されているのが、著作権の問題です。
TPP交渉で、日本は著作権保護期間を現行の50年から70年程度に延長するように欧米から求められる懸念があるのです。

米国の著作権延長の圧力
アメリカは、ディズニーアニメなど息の長い映画作品を抱えており、日本にも著作権期間の延長を求めるとみられています。国際収支をみると、日本は著作権収支で年間5000億円の赤字国で、支出先の6割以上が米国です。

米国は、さらに法人著作権を95年に延長する法律を制定済みであり、これは「ミッキーマウス」の著作権切れを防ぐためだと言われていて、「ミッキーマウス保護法」と揶揄されるそうです。
米国はさらに、世界各国にも著作権を延長するよう圧力をかけていて、日本も映画著作物に関しては、著作権期間を70年に延長しました。

著作権期間の「個人の死後または法人の公表後50年」を維持している国は、日本のほかに、カナダ・ニュージーランド・中華民国があり、日本はそれらの国々と連携して、著作権問題にあたることが重要だと考えます。

電子書籍業界への打撃
吉川英治、柳田国男、室生犀星らの作品は、昨年末に著作権保護期間が切れ、今年から自由に使えるようになりました。
こうした著作権切れの古典の名作は、青空文庫などでテキストファイル化され、電子書籍の普及に大きく貢献しています。

しかし、これらの作品も、著作権期間が70年に延長されれば、また数十年先まで読めなくなることは必至で、せっかく軌道に乗ったばかりの電子書籍業界にも打撃を与えそうです。

書籍のデジタル化が遅れる
著作権の延長によって、「著作権の所在が不明な「孤立作品」を人為的に大量発生させただけだ」と言う批判も、米国内で起こっています。

日本の国会図書館では明治期の本の著者のうち70%強が権利者の没年や連絡先が不明といわれていて、期間延長によって、図書館の蔵書デジタル化がさらに遅れることが懸念されているそうです。

(以上のソース:日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54918090R10C13A5TCJ000/、
ウィキペディア「著作権延長法」))

ジェネリック薬も危機
同じ、知的財産の保護に関連して、ジェネリック薬の製造・販売が妨げられる恐れもあります。
このことに対して、「国境なき医師団」は強い懸念を表明しています。途上国でジェネリック薬を利用している数百万人の患者の治療に影響が出る恐れがあるというのです。
(国境なき医師団日本 http://www.msf.or.jp/news/2013/07/6133.php)

TPP交渉参加に関する意見募集
さて、TPP交渉に関連する業界団体への説明会などが活発に行われているようですが、説明会に招待されなかった団体にも、メールで意見を提出する方法があります。

TPP政府対策本部・TPP関連情報
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo.html

〆切は7月17日(水)までです。
団体名を記入する必要がありますが、TPPに関して意見をおもちの方は、ぜひこの機会を活用なさってください。
【7/13追記】個人でもメールを送れるそうです(青空文庫の掲示板を参照)。


【7/13追記】
いくつか有用な記事をリンクしておきます。

青空文庫 「著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名」 (署名運動自体は終わっています)
山仙さんの、「著作権は誰のため」
朝日新聞デジタル「WEBRONZA」 「著作権保護期間の延長は科学研究を阻害する」

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2013年7月 1日

読書メーター2013年6月


そろそろ暑さが増してきて、更年期三年目の今年も絶不調に陥ってしまうかと思うと、恐怖の季節です。
すっかり読書メーター専用と化してしまったブログですが、もうちょっとなんとかしたいとは思っているのですよ。

さて、6月の読書も、小川一水さん一色となってしまいました。SFは図書館の順番待ちもなく借りやすいのです。そろそろローマものに戻ろうと思います。やはり、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読まなきゃ始まらないとは思うのですが、文庫本で43冊ともなると、うっかり手を出せないなあ。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1964ページ

妙なる技の乙女たち妙なる技の乙女たち感想
近未来の設定だが、雰囲気は現代の東南アジアの都市。多民族多文化の異国で働く日本人女性たちの信念をもって突き進む姿がいい。ぱっと見はSFぽくはないが、軌道エレベータや宇宙移民の話が出てきたり、登場人物が互いに関係があったり、読み進めていくうちに、どっぷり未来都市リンガ島の生活感にひたっている。
読了日:6月6日 著者:小川 一水

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)感想
人間の存在の定義とは何なのか。エイリアンに改造されたら、植物状態なら、不老不死なら、人との接触を拒否したら。人間はどこまで人間たりうるのかということを問いかける短編集。宇宙パイロットのニッチビジネスを描いた『Slowlife in Starship』には、まさかのはやぶさ登場。「時砂の王」のスピンオフもあり、うれしいオーたちとの再会だった。
読了日:6月8日 著者:小川 一水

コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)感想
未来の人間の危機を救うために、どうするべきか。時間生物の助けを受けつつ、試行錯誤のすえに送られたギフトは、細く長い楔となって時空を超えていく。楔とは人間の持つ可能性の力でもある。小川一水の時間SFはやはりいい。当人たちが歴史のリセットを覚えている結末もGood。
読了日:6月13日 著者:小川 一水

リカーシブルリカーシブル感想
血のつながりのない家族との暮らし、引っ越した土地の学校で細心の注意をはらって行動する主人公には、音をさせぬように階段を踏む息苦しさが絶えずつきまとう。淡々と微細な日常の描写が続くが、最後で急転、弟を思うハルカの強さと行動力が爆発する。読み終わってタイトルの意味を考えたら、じわりと来る。
読了日:6月17日 著者:米澤 穂信

影法師影法師感想
文武両道にすぐれた彦四郎はなぜ転落し、惨めな最期を遂げたのか。その謎を解き明かすことで進む筋立ては、「永遠の0」を思い出させる。宮部と同じく、次第に浮き彫りにされていく彦の真の姿はなんと男らしいことか。おそらく、勘一への友情だけでなく、みねへの報われぬ想いゆえに、彼は己を犠牲にする道を選んだ。恋愛の描写はなくとも、百田作品はまぎれもなく根底は恋愛小説なのだと思う。
読了日:6月22日 著者:百田 尚樹



天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)感想
化石燃料と金属のない植民惑星が舞台。のどかな牧羊の風景、港町の赤ひげ先生。領主の圧政に反発する「海の一統」、政治の腐敗に悩む女性議員。人間の性の捌け口であるアンドロイド。そして惑星固有の生物たち。彼らの思惑が複雑に絡み合う動乱前夜だが、話全体がビジュアル重視でわかりやすかった。…ベンクト、やはり死んじゃったのかな(涙)。
読了日:6月24日 著者:小川 一水

ダース・ヴェイダーとルーク(4才)ダース・ヴェイダーとルーク(4才)感想
ダース・ヴェイダーのあのマスクが、口をへの字に曲げて困っている顔に見えてきた。子どもってどうして体をよじりながらも、おしっこじゃないと言い張るの? 自分の子育てのときを思い出しながら、ほんわかしんみりしました。次にSWの映画見たときは、泣いちゃうかも。
読了日:6月26日 著者:ジェフリー・ブラウン


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2013年6月 3日

読書メーター2013年5月

先月は、インフルエンザにかかって一週間ほど寝込んでいたり、さんざんな月でした。
読書のほうは、久々にSFにはまりました。「天涯の砦」を皮切りに、小川一水さんを片っ端から借りています。
小川一水さんは、まだ三十代の方ですが、SF界の旗手として、次々と本格SFを発表しておられる方。
文章は読みやすく、キャラも魅力的で、テーマも壮大。読み終わって、やっぱりSFはいいなあと思える読後感です。短編ならSFマガジン読者賞を受賞した短編集「老ヴォールの惑星」がおすすめ。
5月の読書、もうひとつのキーワードは、「ハードボイルド」。心の奥底に傷をかかえつつ、孤独の中で己を厳しく律する男に、ノックアウトされまくりでした。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3735ページ

ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)感想
自分の存在が周囲の人にとってボトルネックであることを知る絶望は想像以上だ。そこに届く正反対の声がふたつ。リョウはどちらを選ぶのか、結末は読者にゆだねられる。できれば、未来を選び取ってほしい。「昨日できなかったことも、今日はわからない」のだから。
読了日:5月3日 著者:米澤 穂信

シリーズ絵解き世界史3 ローマ帝国と皇帝たちシリーズ絵解き世界史3 ローマ帝国と皇帝たち感想
前半はカエサル中心。帝政後期の皇帝たちについては、ほとんど記述がないのが残念。ローマ市民の生活や軍隊、奴隷などにも触れている。収録されている絵画や写真が美麗。奴隷に売られるフォルトゥナタや、カエサルに投降したウェルギンゲトリクスの腕組みポーズは一見の価値あり。
読了日:5月8日 著者:ニック・マッカーティ
密偵ファルコ 白銀の誓い (光文社文庫)密偵ファルコ 白銀の誓い (光文社文庫)感想
紀元一世紀の古代ローマを舞台にした冒険活劇。主人公のファルコは、摩天楼に事務所を構えるアメリカの私立探偵そのもので、古代ローマとハードボイルドの組み合わせは、妙に似合う。市街の描写やブリタニアの銀山に命がけで潜入する顛末は迫力があった。作者は「歴史ミステリー御三家」のひとりと呼ばれる存在だそうだ。
読了日:5月11日 著者:リンゼイ デイヴィス

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)感想
面白かった。一気読みした。ステーションが大事故で爆発し、漂流を始めた残骸と宇宙船の中に取り残された極限状態のサバイバル。さまざまな年代、職業、それぞれに重い過去を持った人々、それにお約束どおり、正体が謎の人物も出てくる。生還率は高い。真空と無重力の描写には、原始的な恐怖に背筋がぞくぞくした。
読了日:5月15日 著者:小川 一水

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))感想
「環境と主体」をテーマにしたSF中編集。劣悪な環境に社会を作ることで立ち向かう「ギャルナフカの迷宮」と、穏やかな環境の中、社会から隔絶されて孤独と戦う「漂った男」は好対照をなしている。不屈の精神を持つキャラ、スリリングな展開、心地よい読後感。本を置くのが惜しくなる。
読了日:5月16日 著者:小川 一水

インビジブルレインインビジブルレイン感想
初の姫川ものだったが、彼女はほかのシリーズでも、こんな弱さを秘めているのだろうか。刑事としての信念と女性っぽさとがあやうく共存している。そして事件の結末は、警察という組織にひそむ狡猾さと高潔さがみごとに対比された。心の絆が今回はひとりの男に向けられてしまったが、本来は仲間の刑事たちと結ぶべきなのだろう。
読了日:5月18日 著者:誉田 哲也

バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード感想
「あのバス」の正体は読者の想像に委ねられるが、行先不明のバスというのは、どこか「死」を暗示しているように感じてしまう。付き合っていた女たちへの贖罪の旅をする罪人と死神のコンビ。生きる上でのしがらみや常識を完全に超越している姿には、ある種の爽快感がある。 読み進めるにつれ、彼らの人間味が増していく。ラストで必死な繭美の姿を見た上層部は、「こりゃ面白い」と言うに違いない。
読了日:5月26日 著者:伊坂 幸太郎

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)感想
異星侵略により人類が滅亡しつつある世界から送られ、時間を遡行しながらETとの絶望的な戦いを挑み続けるメッセンジャーたち。彼らの奮戦にも関わらず、いつも歴史は人類の滅亡に針を振れてしまい、ついに、最終防衛線として、邪馬台の時代へ。結局、その時代、その土地に生きている人が自ら立ち上がってこそ、はじめて歴史は動くのだろう。愛する人の喪失と孤独に耐えながら時空を超えて戦うオーと、身代わりと知りつつ彼に寄り添う卑弥呼の結びつきが、切ない。
読了日:5月27日 著者:小川 一水

ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)感想
それぞれの理由で死を前提に生きている男たちにとって、鳥は輝くばかりの生の象徴なのだろうか。厳しさと感傷、ストイックと孤高、まさにハードボイルドな男の生き方にしびれた。洗って乾いた服に着替えたり、RVのキッチンでカモ料理を作ったり。そんな何気ない日常の一文さえ、読んでいてわくわくしてしまう。
読了日:5月30日 著者:稲見 一良

ないもの、ありますないもの、あります感想
次は何が出てくるだろうと、わくわくしながらページをめくる楽しみがある。堪忍袋の緒、転ばぬ先の杖、左うちわ…便利な道具ほど、おそろしい制約がある。結局不便なくらいが、ちょうどいい人生なのだと思える、そんな絵本。
読了日:5月31日 著者:クラフト・エヴィング商會

読書メーター

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2013年5月 1日

読書メーター2013年4月

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3212ページ

ほとんどの本は、図書館から借りているのですが、私の行く図書館には、「返却本棚」というのがあって、返ってきたばかりの本は、いったんそこに置かれます。
これが、けっこう役に立つのです。「誰かが借りて読んだ」ということだけを手掛かりに、けっこう好みの本に出会えたりします。

ケルトとローマの息子ケルトとローマの息子の感想
再読。最初読んだときは、悲惨なエピソードの連続に読んでいて息が苦しくなったが、今回はどんな過酷な運命にあっても、自分の良心を貫く主人公の潔い生き方に胸を打たれた。荒れた海原にもみくちゃに翻弄されながら、針路を見誤らなかった主人公の最後の幸福は、決して偶然ではないのだ。


読了日:4月2日 著者:ローズマリ サトクリフ,Rosemary Sutcliff

硝子のハンマー硝子のハンマー感想
前半は、女弁護士と現役泥棒(?)のコンビが、密室殺人のあらゆる可能性について検討し合い、後半は犯人の倒叙、という二部構成で成り立っている。読み応えはあったが、介護サルの話など、やや豪華な要素をつめこみすぎた感もあり。犯人はこの若さの素人にしては天才すぎて、嘘っぽい。
読了日:4月5日 著者:貴志 祐介

星月夜の夢がたり星月夜の夢がたり感想
本文カラー挿絵つきの、絵本風の装丁の掌編集。昔話のパロディあり、星新一風あり、O・ヘンリー風あり。もちろん切なくやさしい恋物語もありと、バラエティに富んでいて楽しめた。「天馬の涙」は、「イオニアの風」でギリシャ神話の話を上梓された方だけあって、一番読みごたえがあった。
読了日:4月7日 著者:光原 百合

闇の女王にささげる歌闇の女王にささげる歌感想
イケニ族が母系社会であるという事実を知ったことが、サトクリフの執筆の背景にあったことを作者のあとがきで知った。歴史書に書かれている一文でも、彼女の手になれば、自然の息吹を感じさせる臨場感ある物語になる、若き武官であったアグリコラの手記が交互にはさまれ、ローマ帝国側の視点を伝えてくれる。
読了日:4月11日 著者:ローズマリー サトクリフ

吉祥寺の朝日奈くん吉祥寺の朝日奈くん感想
あの著者の別PNだと知って、あわてて読み漁っている。なるほど人物造形が魅力的で、それっぽい。日記を利用した展開や、一人称の語りにひそむミステリ的手法も面白い。恋愛色が強いが、ラストはいずれもはっきりと結ばれずに終わる。この切なさとさわやかさが青春ものというジャンルに必須なのだろう。
読了日:4月15日 著者:中田 永一

I love youI love you感想
男性作家ばかり6人の恋愛短編。アンソロジーは、好みの作家を発掘するときに役立つ。未読のふたり、中村航の「突き抜けろ」が描くのは、恋愛と並走する男同士の友情、本多孝好の「Sidewalk Talk」は、破局に瀕する夫婦の再生。このふたつが一番面白かった。
読了日:4月17日 著者:伊坂 幸太郎,石田 衣良,市川 拓司,中田 永一,中村 航,本多 孝好

山羊座の腕輪(ブレスレット)―ブリタニアのルシウスの物語山羊座の腕輪(ブレスレット)―ブリタニアのルシウスの物語感想
女王ボウディッカの反乱から、ローマ軍がブリタニアを去っていくまでの三百年あまりの歴史を、ひとりの百人隊長の一族を通して描く。サトクリフのローマン・ブリテンの連作を一冊の書物にしたような趣きがある。長い時間をかけて、敵対していたローマとブリテンの血が混じり合い、やがて子孫は部族の中に戻っていく。ローマの記憶は腕輪にしか残されず、長城の廃墟に狼が住み着いたというラストには、歴史の雄大さと寂寥感が胸にしみた。
読了日:4月20日 著者:ローズマリ サトクリフ

おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)感想
就職皆無の中で将来への不安。嫉妬と自分の才能への絶望と。音大生をめぐる現実を直視しながら、それでも音楽を追い求める熱情を描いている。ミステリは添え物。バイト先でのトラブル、東海豪雨など、詰め込み過ぎてやや散漫になりがちな筋立てだが、演奏シーンの迫力でカバーしている。
読了日:4月22日 著者:中山 七里

永遠の0 (ゼロ)永遠の0 (ゼロ)感想
「戦争に行った人たちが歴史の舞台から消えようとしている」(第八章より)。この事実を今書かなければならないという著者のジャーナリスト魂を感じた。臆病者と呼ばれた男の真実の姿に迫るにつれ、読者はいつのまにか、あの時代の空気を吸っている。これでもかと見せつけられる、生と死、崇高さと愚かさ。日本人がどれほどの覚悟と想いを持って死んでいき、また戦後を生き抜いたかは、なんとしてでも語り継がねばならない。
読了日:4月29日 著者:百田 尚樹

金曜日はピアノ金曜日はピアノ感想
音楽がテーマではあるが、静かな物語だと思った。雨の重み、しのびよる夕暮れ、蝉の声、花々の咲く丘。深い苦しみを内に秘めて体を寄せ合う主人公たち。ページを繰るにつれて、研ぎ澄まされていく読者の五感に、清冽なピアノの音色が響いてくる。
読了日:4月30日 著者:葉嶋 ナノハ

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