お知らせ

2013年7月30日

「小説家になろう」はじめました

相変わらず暑い日が続き、汗でメガネがずり落ち、小説を書くどころじゃない有様です。
でも、そんなことで文句を言ってられませんね。たいへんな豪雨の被害を受けた地域の方は、お見舞い申し上げます。

さて、表題のごとく、昨日から「小説家になろう」での活動を始めました。
数年前に、携帯サイトが読めないというお声をいただいてから、サイトの携帯・スマホ対応は、どうしたらいいか、あれこれ試行錯誤していたのですが、すべての機種で動作確認するわけにはいかず、投げ出していました。

つい最近、「なろう」のテンプレートが、携帯・スマホ・PC、どれにも対応できるものであることを知り、いっそ、そちらにも小説を転載すればよいのではないかと考えていました。

ところが、私は根っからのタグ打ち人間。ビルダーとかも使ったことがありません。ああいう便利なシステムにはかえって順応できないのですね。
「連載投稿のしかたがわからんーっ」、慣れている方には笑い話のようなところで、つまずいておりました。

HTMLでは、まず個々のページを作り、目次を作り、リンクでつなげて階層化するのですが、「なろう」では、まずタイトル、小説本文を投稿し、次話投稿で続きを書き、それらをサブタイトルでラベルづけしておけば、章管理で自動的につながってくれる……というわけだったのですね。目次を作る方法がわからなくて、二日くらい悩みっぱなしでした。

今回投稿したのは、二作品です。
まず、今連載中の「月の戦士」。
プロローグをはずして、第一章から始まっています。こちらのほうがわかりやすいというご指摘を受けたので、実験的にはずすことにしました。あとは、ほとんどサイトと変わりはありません。

「インビジブル・ラブ」はすでにサイトでは完結ずみですが、サブキャラとして「夜叉往来」のキャラではなく、独自キャラを入れています。その部分を改稿しながら、連載していきます。

当面は、この二作で進めますが、気が向いたら、ほかの作品も移植するかもしれません。
この数日、小説がちっとも進んでいないのは、このせいでしょうか。それともやっぱり、暑さのせいでしょうか。

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2013年7月12日

著作権延長は誰のためか

日本のTPP協定交渉への参加が決定しました。
7月15日から25日までマレーシア・コタキナバルで開かれる拡大会合で、日本はぎりぎりの初出席が予定されています。

TPPに関しては、多くのメリット・デメリットが議論されていますが、離陸してしまった以上、少しでも不備な部分を改善していくために、国民全体が活発に議論に加わる必要があると思います。


さて、TPP参加決定で懸念されているのが、著作権の問題です。
TPP交渉で、日本は著作権保護期間を現行の50年から70年程度に延長するように欧米から求められる懸念があるのです。

米国の著作権延長の圧力
アメリカは、ディズニーアニメなど息の長い映画作品を抱えており、日本にも著作権期間の延長を求めるとみられています。国際収支をみると、日本は著作権収支で年間5000億円の赤字国で、支出先の6割以上が米国です。

米国は、さらに法人著作権を95年に延長する法律を制定済みであり、これは「ミッキーマウス」の著作権切れを防ぐためだと言われていて、「ミッキーマウス保護法」と揶揄されるそうです。
米国はさらに、世界各国にも著作権を延長するよう圧力をかけていて、日本も映画著作物に関しては、著作権期間を70年に延長しました。

著作権期間の「個人の死後または法人の公表後50年」を維持している国は、日本のほかに、カナダ・ニュージーランド・中華民国があり、日本はそれらの国々と連携して、著作権問題にあたることが重要だと考えます。

電子書籍業界への打撃
吉川英治、柳田国男、室生犀星らの作品は、昨年末に著作権保護期間が切れ、今年から自由に使えるようになりました。
こうした著作権切れの古典の名作は、青空文庫などでテキストファイル化され、電子書籍の普及に大きく貢献しています。

しかし、これらの作品も、著作権期間が70年に延長されれば、また数十年先まで読めなくなることは必至で、せっかく軌道に乗ったばかりの電子書籍業界にも打撃を与えそうです。

書籍のデジタル化が遅れる
著作権の延長によって、「著作権の所在が不明な「孤立作品」を人為的に大量発生させただけだ」と言う批判も、米国内で起こっています。

日本の国会図書館では明治期の本の著者のうち70%強が権利者の没年や連絡先が不明といわれていて、期間延長によって、図書館の蔵書デジタル化がさらに遅れることが懸念されているそうです。

(以上のソース:日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54918090R10C13A5TCJ000/、
ウィキペディア「著作権延長法」))

ジェネリック薬も危機
同じ、知的財産の保護に関連して、ジェネリック薬の製造・販売が妨げられる恐れもあります。
このことに対して、「国境なき医師団」は強い懸念を表明しています。途上国でジェネリック薬を利用している数百万人の患者の治療に影響が出る恐れがあるというのです。
(国境なき医師団日本 http://www.msf.or.jp/news/2013/07/6133.php)

TPP交渉参加に関する意見募集
さて、TPP交渉に関連する業界団体への説明会などが活発に行われているようですが、説明会に招待されなかった団体にも、メールで意見を提出する方法があります。

TPP政府対策本部・TPP関連情報
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo.html

〆切は7月17日(水)までです。
団体名を記入する必要がありますが、TPPに関して意見をおもちの方は、ぜひこの機会を活用なさってください。
【7/13追記】個人でもメールを送れるそうです(青空文庫の掲示板を参照)。


【7/13追記】
いくつか有用な記事をリンクしておきます。

青空文庫 「著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名」 (署名運動自体は終わっています)
山仙さんの、「著作権は誰のため」
朝日新聞デジタル「WEBRONZA」 「著作権保護期間の延長は科学研究を阻害する」

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2013年7月 1日

読書メーター2013年6月


そろそろ暑さが増してきて、更年期三年目の今年も絶不調に陥ってしまうかと思うと、恐怖の季節です。
すっかり読書メーター専用と化してしまったブログですが、もうちょっとなんとかしたいとは思っているのですよ。

さて、6月の読書も、小川一水さん一色となってしまいました。SFは図書館の順番待ちもなく借りやすいのです。そろそろローマものに戻ろうと思います。やはり、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読まなきゃ始まらないとは思うのですが、文庫本で43冊ともなると、うっかり手を出せないなあ。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1964ページ

妙なる技の乙女たち妙なる技の乙女たち感想
近未来の設定だが、雰囲気は現代の東南アジアの都市。多民族多文化の異国で働く日本人女性たちの信念をもって突き進む姿がいい。ぱっと見はSFぽくはないが、軌道エレベータや宇宙移民の話が出てきたり、登場人物が互いに関係があったり、読み進めていくうちに、どっぷり未来都市リンガ島の生活感にひたっている。
読了日:6月6日 著者:小川 一水

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)感想
人間の存在の定義とは何なのか。エイリアンに改造されたら、植物状態なら、不老不死なら、人との接触を拒否したら。人間はどこまで人間たりうるのかということを問いかける短編集。宇宙パイロットのニッチビジネスを描いた『Slowlife in Starship』には、まさかのはやぶさ登場。「時砂の王」のスピンオフもあり、うれしいオーたちとの再会だった。
読了日:6月8日 著者:小川 一水

コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)感想
未来の人間の危機を救うために、どうするべきか。時間生物の助けを受けつつ、試行錯誤のすえに送られたギフトは、細く長い楔となって時空を超えていく。楔とは人間の持つ可能性の力でもある。小川一水の時間SFはやはりいい。当人たちが歴史のリセットを覚えている結末もGood。
読了日:6月13日 著者:小川 一水

リカーシブルリカーシブル感想
血のつながりのない家族との暮らし、引っ越した土地の学校で細心の注意をはらって行動する主人公には、音をさせぬように階段を踏む息苦しさが絶えずつきまとう。淡々と微細な日常の描写が続くが、最後で急転、弟を思うハルカの強さと行動力が爆発する。読み終わってタイトルの意味を考えたら、じわりと来る。
読了日:6月17日 著者:米澤 穂信

影法師影法師感想
文武両道にすぐれた彦四郎はなぜ転落し、惨めな最期を遂げたのか。その謎を解き明かすことで進む筋立ては、「永遠の0」を思い出させる。宮部と同じく、次第に浮き彫りにされていく彦の真の姿はなんと男らしいことか。おそらく、勘一への友情だけでなく、みねへの報われぬ想いゆえに、彼は己を犠牲にする道を選んだ。恋愛の描写はなくとも、百田作品はまぎれもなく根底は恋愛小説なのだと思う。
読了日:6月22日 著者:百田 尚樹



天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)感想
化石燃料と金属のない植民惑星が舞台。のどかな牧羊の風景、港町の赤ひげ先生。領主の圧政に反発する「海の一統」、政治の腐敗に悩む女性議員。人間の性の捌け口であるアンドロイド。そして惑星固有の生物たち。彼らの思惑が複雑に絡み合う動乱前夜だが、話全体がビジュアル重視でわかりやすかった。…ベンクト、やはり死んじゃったのかな(涙)。
読了日:6月24日 著者:小川 一水

ダース・ヴェイダーとルーク(4才)ダース・ヴェイダーとルーク(4才)感想
ダース・ヴェイダーのあのマスクが、口をへの字に曲げて困っている顔に見えてきた。子どもってどうして体をよじりながらも、おしっこじゃないと言い張るの? 自分の子育てのときを思い出しながら、ほんわかしんみりしました。次にSWの映画見たときは、泣いちゃうかも。
読了日:6月26日 著者:ジェフリー・ブラウン


読書メーター

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2013年6月 3日

読書メーター2013年5月

先月は、インフルエンザにかかって一週間ほど寝込んでいたり、さんざんな月でした。
読書のほうは、久々にSFにはまりました。「天涯の砦」を皮切りに、小川一水さんを片っ端から借りています。
小川一水さんは、まだ三十代の方ですが、SF界の旗手として、次々と本格SFを発表しておられる方。
文章は読みやすく、キャラも魅力的で、テーマも壮大。読み終わって、やっぱりSFはいいなあと思える読後感です。短編ならSFマガジン読者賞を受賞した短編集「老ヴォールの惑星」がおすすめ。
5月の読書、もうひとつのキーワードは、「ハードボイルド」。心の奥底に傷をかかえつつ、孤独の中で己を厳しく律する男に、ノックアウトされまくりでした。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3735ページ

ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)感想
自分の存在が周囲の人にとってボトルネックであることを知る絶望は想像以上だ。そこに届く正反対の声がふたつ。リョウはどちらを選ぶのか、結末は読者にゆだねられる。できれば、未来を選び取ってほしい。「昨日できなかったことも、今日はわからない」のだから。
読了日:5月3日 著者:米澤 穂信

シリーズ絵解き世界史3 ローマ帝国と皇帝たちシリーズ絵解き世界史3 ローマ帝国と皇帝たち感想
前半はカエサル中心。帝政後期の皇帝たちについては、ほとんど記述がないのが残念。ローマ市民の生活や軍隊、奴隷などにも触れている。収録されている絵画や写真が美麗。奴隷に売られるフォルトゥナタや、カエサルに投降したウェルギンゲトリクスの腕組みポーズは一見の価値あり。
読了日:5月8日 著者:ニック・マッカーティ
密偵ファルコ 白銀の誓い (光文社文庫)密偵ファルコ 白銀の誓い (光文社文庫)感想
紀元一世紀の古代ローマを舞台にした冒険活劇。主人公のファルコは、摩天楼に事務所を構えるアメリカの私立探偵そのもので、古代ローマとハードボイルドの組み合わせは、妙に似合う。市街の描写やブリタニアの銀山に命がけで潜入する顛末は迫力があった。作者は「歴史ミステリー御三家」のひとりと呼ばれる存在だそうだ。
読了日:5月11日 著者:リンゼイ デイヴィス

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)感想
面白かった。一気読みした。ステーションが大事故で爆発し、漂流を始めた残骸と宇宙船の中に取り残された極限状態のサバイバル。さまざまな年代、職業、それぞれに重い過去を持った人々、それにお約束どおり、正体が謎の人物も出てくる。生還率は高い。真空と無重力の描写には、原始的な恐怖に背筋がぞくぞくした。
読了日:5月15日 著者:小川 一水

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))感想
「環境と主体」をテーマにしたSF中編集。劣悪な環境に社会を作ることで立ち向かう「ギャルナフカの迷宮」と、穏やかな環境の中、社会から隔絶されて孤独と戦う「漂った男」は好対照をなしている。不屈の精神を持つキャラ、スリリングな展開、心地よい読後感。本を置くのが惜しくなる。
読了日:5月16日 著者:小川 一水

インビジブルレインインビジブルレイン感想
初の姫川ものだったが、彼女はほかのシリーズでも、こんな弱さを秘めているのだろうか。刑事としての信念と女性っぽさとがあやうく共存している。そして事件の結末は、警察という組織にひそむ狡猾さと高潔さがみごとに対比された。心の絆が今回はひとりの男に向けられてしまったが、本来は仲間の刑事たちと結ぶべきなのだろう。
読了日:5月18日 著者:誉田 哲也

バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード感想
「あのバス」の正体は読者の想像に委ねられるが、行先不明のバスというのは、どこか「死」を暗示しているように感じてしまう。付き合っていた女たちへの贖罪の旅をする罪人と死神のコンビ。生きる上でのしがらみや常識を完全に超越している姿には、ある種の爽快感がある。 読み進めるにつれ、彼らの人間味が増していく。ラストで必死な繭美の姿を見た上層部は、「こりゃ面白い」と言うに違いない。
読了日:5月26日 著者:伊坂 幸太郎

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)感想
異星侵略により人類が滅亡しつつある世界から送られ、時間を遡行しながらETとの絶望的な戦いを挑み続けるメッセンジャーたち。彼らの奮戦にも関わらず、いつも歴史は人類の滅亡に針を振れてしまい、ついに、最終防衛線として、邪馬台の時代へ。結局、その時代、その土地に生きている人が自ら立ち上がってこそ、はじめて歴史は動くのだろう。愛する人の喪失と孤独に耐えながら時空を超えて戦うオーと、身代わりと知りつつ彼に寄り添う卑弥呼の結びつきが、切ない。
読了日:5月27日 著者:小川 一水

ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)感想
それぞれの理由で死を前提に生きている男たちにとって、鳥は輝くばかりの生の象徴なのだろうか。厳しさと感傷、ストイックと孤高、まさにハードボイルドな男の生き方にしびれた。洗って乾いた服に着替えたり、RVのキッチンでカモ料理を作ったり。そんな何気ない日常の一文さえ、読んでいてわくわくしてしまう。
読了日:5月30日 著者:稲見 一良

ないもの、ありますないもの、あります感想
次は何が出てくるだろうと、わくわくしながらページをめくる楽しみがある。堪忍袋の緒、転ばぬ先の杖、左うちわ…便利な道具ほど、おそろしい制約がある。結局不便なくらいが、ちょうどいい人生なのだと思える、そんな絵本。
読了日:5月31日 著者:クラフト・エヴィング商會

読書メーター

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2013年5月 1日

読書メーター2013年4月

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3212ページ

ほとんどの本は、図書館から借りているのですが、私の行く図書館には、「返却本棚」というのがあって、返ってきたばかりの本は、いったんそこに置かれます。
これが、けっこう役に立つのです。「誰かが借りて読んだ」ということだけを手掛かりに、けっこう好みの本に出会えたりします。

ケルトとローマの息子ケルトとローマの息子の感想
再読。最初読んだときは、悲惨なエピソードの連続に読んでいて息が苦しくなったが、今回はどんな過酷な運命にあっても、自分の良心を貫く主人公の潔い生き方に胸を打たれた。荒れた海原にもみくちゃに翻弄されながら、針路を見誤らなかった主人公の最後の幸福は、決して偶然ではないのだ。


読了日:4月2日 著者:ローズマリ サトクリフ,Rosemary Sutcliff

硝子のハンマー硝子のハンマー感想
前半は、女弁護士と現役泥棒(?)のコンビが、密室殺人のあらゆる可能性について検討し合い、後半は犯人の倒叙、という二部構成で成り立っている。読み応えはあったが、介護サルの話など、やや豪華な要素をつめこみすぎた感もあり。犯人はこの若さの素人にしては天才すぎて、嘘っぽい。
読了日:4月5日 著者:貴志 祐介

星月夜の夢がたり星月夜の夢がたり感想
本文カラー挿絵つきの、絵本風の装丁の掌編集。昔話のパロディあり、星新一風あり、O・ヘンリー風あり。もちろん切なくやさしい恋物語もありと、バラエティに富んでいて楽しめた。「天馬の涙」は、「イオニアの風」でギリシャ神話の話を上梓された方だけあって、一番読みごたえがあった。
読了日:4月7日 著者:光原 百合

闇の女王にささげる歌闇の女王にささげる歌感想
イケニ族が母系社会であるという事実を知ったことが、サトクリフの執筆の背景にあったことを作者のあとがきで知った。歴史書に書かれている一文でも、彼女の手になれば、自然の息吹を感じさせる臨場感ある物語になる、若き武官であったアグリコラの手記が交互にはさまれ、ローマ帝国側の視点を伝えてくれる。
読了日:4月11日 著者:ローズマリー サトクリフ

吉祥寺の朝日奈くん吉祥寺の朝日奈くん感想
あの著者の別PNだと知って、あわてて読み漁っている。なるほど人物造形が魅力的で、それっぽい。日記を利用した展開や、一人称の語りにひそむミステリ的手法も面白い。恋愛色が強いが、ラストはいずれもはっきりと結ばれずに終わる。この切なさとさわやかさが青春ものというジャンルに必須なのだろう。
読了日:4月15日 著者:中田 永一

I love youI love you感想
男性作家ばかり6人の恋愛短編。アンソロジーは、好みの作家を発掘するときに役立つ。未読のふたり、中村航の「突き抜けろ」が描くのは、恋愛と並走する男同士の友情、本多孝好の「Sidewalk Talk」は、破局に瀕する夫婦の再生。このふたつが一番面白かった。
読了日:4月17日 著者:伊坂 幸太郎,石田 衣良,市川 拓司,中田 永一,中村 航,本多 孝好

山羊座の腕輪(ブレスレット)―ブリタニアのルシウスの物語山羊座の腕輪(ブレスレット)―ブリタニアのルシウスの物語感想
女王ボウディッカの反乱から、ローマ軍がブリタニアを去っていくまでの三百年あまりの歴史を、ひとりの百人隊長の一族を通して描く。サトクリフのローマン・ブリテンの連作を一冊の書物にしたような趣きがある。長い時間をかけて、敵対していたローマとブリテンの血が混じり合い、やがて子孫は部族の中に戻っていく。ローマの記憶は腕輪にしか残されず、長城の廃墟に狼が住み着いたというラストには、歴史の雄大さと寂寥感が胸にしみた。
読了日:4月20日 著者:ローズマリ サトクリフ

おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)感想
就職皆無の中で将来への不安。嫉妬と自分の才能への絶望と。音大生をめぐる現実を直視しながら、それでも音楽を追い求める熱情を描いている。ミステリは添え物。バイト先でのトラブル、東海豪雨など、詰め込み過ぎてやや散漫になりがちな筋立てだが、演奏シーンの迫力でカバーしている。
読了日:4月22日 著者:中山 七里

永遠の0 (ゼロ)永遠の0 (ゼロ)感想
「戦争に行った人たちが歴史の舞台から消えようとしている」(第八章より)。この事実を今書かなければならないという著者のジャーナリスト魂を感じた。臆病者と呼ばれた男の真実の姿に迫るにつれ、読者はいつのまにか、あの時代の空気を吸っている。これでもかと見せつけられる、生と死、崇高さと愚かさ。日本人がどれほどの覚悟と想いを持って死んでいき、また戦後を生き抜いたかは、なんとしてでも語り継がねばならない。
読了日:4月29日 著者:百田 尚樹

金曜日はピアノ金曜日はピアノ感想
音楽がテーマではあるが、静かな物語だと思った。雨の重み、しのびよる夕暮れ、蝉の声、花々の咲く丘。深い苦しみを内に秘めて体を寄せ合う主人公たち。ページを繰るにつれて、研ぎ澄まされていく読者の五感に、清冽なピアノの音色が響いてくる。
読了日:4月30日 著者:葉嶋 ナノハ

読書メーター

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2013年4月 2日

読書メーター2013年2月・3月

ごぶさたしております。ツイッターも感想のご返信も放り出してしまい、プチひきこもり状態です。
なんだか、いろいろありまして、心身ともに余裕がない状態でした。少しずつ戻ってきていますので、ご安心ください。
いただいた感想は、全部読ませていただき、本当に感謝しています。ただ今は、時間と力があれば一文字でも多く小説を書きたいと思っていますので、ご返事は保留させてください。OPPもまだ全部感想書いてない状態で、申し訳ありません。
本は、資料と自分の創作意欲につながっていますので、せっせと読んでいます。
2月と3月の「読書メーターまとめ」をお借りしました。


2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:732ページ

プラチナデータプラチナデータ感想
結局、巨悪に対しては正義の鉄槌を下すことなく終わる。けれど、この話の主眼はそこではなく、個人の救いにある。父親の死をきっかけに二重人格になった神楽は、人間をデータとみなして利用する社会から脱却し、父を受け入れて新しい人生を踏み出す。スズランの存在もまた、人間の魂の奥深さを暗示しているように思えた。
読了日:2月3日 著者:東野 圭吾

きみはポラリスきみはポラリス感想
「恋愛をテーマにした短編を依頼されることが多い」というしをんさんの、恋愛短編集。 同性愛、近親愛、死者への愛…と禁断の愛の形が多かった。けれど、結ばれないゆえに、冷たい塊の中に永遠に燃えるものが残る。遠くから自分を見守っている存在を感じて生きることができる――まるで星のように。「私たちがしたこと」の壮絶な愛情が心に残った。
読了日:2月11日 著者:三浦 しをん

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1671ページ

インシテミルインシテミル感想
七日間絶対に外に出られないという実験。破格の時給に魅かれた参加者たちに与えられた、それぞれ種類の違う武器。主催者のしかけたルールは極悪だ。次々と起こる殺人事件の中、へたれだと思っていた主人公は大化けする。はたして彼は次はどうするんだろう。
読了日:3月4日 著者:米澤 穂信

古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活感想
時空を超えて古代ローマの雑踏に立つ臨場感。ちょうど、テレビで放映している街歩きの番組を見ているようだった。生産をすべて奴隷にまかせた生活は、家電を使って余暇を得る現代人に通じるものがある。あと、やっぱり風呂好きなんだな。
読了日:3月8日 著者:アルベルト・アンジェラ

海のかなたのローマ帝国―古代ローマとブリテン島 (世界歴史選書)海のかなたのローマ帝国―古代ローマとブリテン島 (世界歴史選書)感想
サトクリフ好きの私には、たまらない一冊。ローマにとってブリテンが辺境だったのと同じく、ブリテンにとってもローマは果てしなく遠い国だったのだというのがタイトルのココロ。イギリス人のローマ史観が大英帝国の歴史に引きずられて変遷した様子が興味深い。
読了日:3月12日 著者:南川 高志

さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)感想
日常の何気ないできごとの中にミステリを見つける筋立ては、「氷菓」シリーズとよく似ているが、背景にユーゴスラヴィア紛争が浮かび上がる。マーヤはどこから来たか、それがこの書の最大のミステリ。その謎解きが終わったとき、絶望的な運命が予測できる。無関心で、ひたすら無力な自分への主人公の慟哭は、遠い国の戦争を傍観していた、あの頃の自分に通じていった。
読了日:3月18日 著者:米澤 穂信

吸血鬼ハンター/アナザー 貴族グレイランサー (朝日ノベルズ)吸血鬼ハンター/アナザー 貴族グレイランサー (朝日ノベルズ)感想
主人公は、人間に興味を持たぬ吸血鬼〈貴族〉でありながら、人間世界を守る〈良き領主〉という矛盾した性格をはらんでいる。その矛盾は、不老不死であるがゆえに種的衰退の道をたどる〈貴族〉と、短命ながら情愛に殉ずることをいとわぬ〈人間〉との、種の葛藤なのかもしれない。2011年1月初版。まだまだこれから続くシリーズになりそうだ。
読了日:3月25日 著者:菊地 秀行

読書メーター

これ以外は、「テルマエ・ロマエ」の一巻と二巻を電子書籍で読みました。おもしろかったー。

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2013年3月25日

チェルノブイリの翻訳が公表されました

日本学術会議より、「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録」が今朝公表されました。
2011年の原発事故直後に立ち上がった翻訳プロジェクトで、山仙さんも末端で関わっておられたため、当ブログでも翻訳ボランティアの呼びかけを行い、ここからお手伝いに応募してくださった方もおられました。

あれから二年、膨大な翻訳が、とうとう形になったのですね。
森林の放射能汚染や、放射性プルームや、汚染が降雨に左右されることなど、知っていたら有益な情報が、ここにはたくさんありました。
今からでも決して遅くはありませんが、それでも、もし前もってこれが翻訳され、多くの人の目に触れていたら、事故後の対応は少しは変わっていたでしょうか。

ともあれ、たくさんの方々の労苦が実ったことをお祝いしたいと思います。
山仙さんも、どうもお疲れ様でした。

お読みになりたい方は、次の手順で手に入れてください。

日本学術会議のHP
トップニュース
「チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録を公表いたしました。(平成25年3月25日) → 本文はこちら」
から入る。

日本学術会議「記録」のページに入り、第三部2013-03-25 「原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会 チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録」


いずれも、PDF形式です。

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2013年2月 2日

読書メーター2013年1月

特にブログに書くこともないので、せっかくなので読書メーターさまの提供してくれる、毎月の「読書メーターまとめ」という機能を使わせていただくことにしました。
読んだ本を日付とともに読了報告するだけで、毎月の読書記録を、表にしてまとめてくださいます。便利。

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2255ページ

氷菓 (角川文庫)氷菓 (角川文庫)感想
若者たちが正義を信じて社会と戦い、皆が叫んでいた60年代。「斗争」の文字が校内のあちこちにあふれていた。部誌を介してタイムトリップし、叫びの意味を受け継いだ現代の若者たちは、生き方を変えていくのだろうか。まどろっこしいほど大げさな筆致が、このノスタルジイのためだったとしたら、作者の演出は見事。
読了日:1月30日 著者:米澤 穂信
神去なあなあ日常神去なあなあ日常感想
林業のシビアな現実の中に、ちょっぴり不思議な、トトロのような世界が見え隠れする。千年杉のジェットコースターは、ジブリのアニメで見てみたいスピード感だった。しをんさんは、若者の成長を書くのがうまい。爺さんたちを書くのもうまい。
読了日:1月23日 著者:三浦 しをん
海賊の息子海賊の息子感想
海賊船の描写を期待したが、それよりもマダガスカルでの生活の描写がメイン。主人公が牧師の息子だけあって、キリスト教と現地の土着の宗教との葛藤にページを割いていて、このあたりは日本の子どもには退屈だろうと思う。島に残ることを選ぶ妹の自立の過程が一番共感できる部分かもしれない。
読了日:1月19日 著者:ジェラルディン マコックラン
1ポンドの悲しみ1ポンドの悲しみ感想
都会の高層マンションに住む中流の上の生活感。ちょっと素敵な服を着て、、横文字の職業に就いて、小洒落た店の常連で、一昔前のトレンディドラマに出てくるような主人公たちの話だなと思った。さりげなく胸にしみ、ふわりと着地できる、ストレスのない読書を楽しみたいときの短編集。
読了日:1月15日 著者:石田 衣良
百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)感想
劣等感のかたまりで人づきあいを避けている、いわゆる「人間レベルが低い」主人公が、陽のあたる場所にいる人たちに魅かれていく。せつなすぎる展開だが、そのハイレベルの人たちも皆ウソをかかえて生きているところに、逆転の物語が成立する。結末はどれも、光る未来を感じさせる。
読了日:1月7日 著者:中田 永一
18091809感想
仏軍占領下のウィーン。仮設橋架橋にたずさわる仏軍工兵隊大尉バスキは、殺人事件を皮切りに、ナポレオン暗殺計画に否応なしに巻き込まれていく。破壊の欲望に身をゆだねるウストリツキ公爵と、冷静さの仮面の下に熱く自滅的な衝動をかかえているバスキは、ひとつの魂の裏表のようだ。
読了日:1月6日 著者:佐藤 亜紀
新世界より 下新世界より 下感想
何か判然としないまま、人間が呪力を持つ世界をあたりまえのように受け入れて読んでいたが、ラストでやっと、この世界の歪みの理由がわかった。青春冒険ファンタジーと思っていたが、やっぱり貴志さんの書くものはホラーだった。せめて、瞬の魂が彼らを腐敗から引き戻してくれるだろうと願いつつ。
読了日:1月2日 著者:貴志 祐介

読書メーター


マンガはここには入れていません。今月読んだ中でおもしろかったマンガは、「ばらかもん」(1から6)と、「黒執事」(1から3)でした。
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2013年1月19日

11周年…でした

きのう1月18日は、当サイトABOUNDING GRACEがオープンしてから11周年目にあたる記念日でした。
くう、過去形で言わねばならないのが情けないです。
昨日は、若いとき以来あまり経験したことのない偏頭痛というやつに襲われまして、早々に寝てしまったのです。
十時間寝たので、元気になりました。ご心配なく。

予定していた新連載「月の戦士」のアップも今朝になってしまいました。悔しいから(笑)、更新日付は18日になっています。

「月の戦士」に関しては、もう何度も書いていますが、恋愛ファンタジー小説サーチさま主催の「第二回恋愛ファンタジーコンテスト」に出させていただいた短編がもとになっています。「第一回」に参加した「伯爵家の秘密」と、どちらを先に長編化するか迷って、アンケートまで取ったことがあります。
そのときのアンケートの結果、「伯爵家の秘密」を先に長編化することにし、「月の戦士」は、それが完結してからということに決めました。

しかし、いざとなると「伯爵家」の番外編がなかなか区切りがつかず、さらにオフの多忙さもあって、新連載に踏み切るまでに丸二年かかってしまいました。
11周年という区切りにあたって、いよいよ連載を開始することにします。
二の足を踏んでいたもうひとつの理由は、奴隷への暴力や戦争など、かなり暗いテーマを扱うことになることです。省くことのできないシーンもありますが、なるべく主人公の成長に焦点を当てて、明るいタッチを心がけたいと思います。
恋愛要素は、「伯爵家」より多めになると思います。

このところ、とみに体力に自信のないヘタレな作者ですが、完結までがんばりますので、応援よろしくお願いします。

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2013年1月16日

我が家の歌会始め

今日は皇居で新年の歌会始めが行われたそうですが、我が家でも、歌会始めがありました。
というのは、主人の母と、私の実家の父が週一回、同じ日に同じデイサービスに通っているのですが、そのデイサービスで通所者さんのつぶやきをスタッフが俳句・短歌にしてくださったのです。

不思議なものですね。ふたりとも中程度のアルツハイマー型・血管障害型の認知症なのですが、詠んだ歌(書きとるには、スタッフのかなりのご苦労があったと思います)には、ふたりのたどってきた人生が見事に表れています。


認知症をもってしても、今までたどってきた人生のすべてが失われているわけではないのだなと感じます。
このまま埋もれるにはしのびなく、許可は得ていませんが、勝手に転載させていただきます(著作権はどうかな)。

   お父さん お元気ですか 会いたいよ

   貿易 元気な日本が 長く続くよ(87歳 男)

   地域には 男性だけでなく 女性も必要

   会いにいく 地域の子ども まだおさない(84歳 女)


ちなみに、義母は地域の委員を三十年以上続け、実家の父は貿易商でした。

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