絵板合作 『掌編集』続編
二重虹+絵師

(これは絵描き掲示板に絵師の皆さんが独自のアピールを持って書いて下さった
絵の数々に対し、別のイマジネーションで絵のアップから数時間以内に
即興物語を付けたものです。絵は絵として、文は文としてお楽しみ下さい)





夜野 月 ●●●秋の虫が

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、悪名高い地動説で科学の敵と誤解されているが、当時にあって先進的科学者であって、少なくとも現代の理論家・・・別名『こじつけに基づいて将来を煽動する善人』・・・よりは遥かに考察が深かった。そういう偉大さ故に、古代王家と同じく、彼にも『アリストテレスの後継者』を勝手に僭称する者が多い。第253代自称アリストテレスもまたそんな一人だった。
 自称哲学者であれば、猛暑を避けて涼しい森で思索をする振りをするのも自然な行動だ。その日も、彼は新しい森に行った。
『うん、ここはなかなか涼しい」
 そう言って自称アリストテレスは木陰に腰を下ろした。自称哲学者だから理論家であり、理論家だから、当たりを観察する事はない。涼しければ良いのだ。
 だから木の下に木が育ち、枝が蛇になり損ねた髪の毛で構成され、岩が舌の成れの果てである事をに気付く蓮が無かった。それに気付いたのは、先入観を持たない猫だけである。
 かくて、第253代自称アリストテレスもまた森に飲まれて失踪してしまった。次にその場に現れたのは、第254代自称ソクラテスだった。


夜野 月 ●●● そんな昼下がり


現在、ぺんキンオリンピック開催のためのぺんギンくじを発売中です。

1等はぺんキンにご招待。ぺんキンを堪能してください。特に、ぺんキン五輪で特に世界の注目を集めているものは以下の3種目のチケット付きですので、心行くまでお楽しみ下さい。
100m障害:如何にアザラシを避けて飛び込み直後のスタートダッシュをするか
3000m障害:網にかからないように日本漁船の合間をくぐり抜ける
高飛び:陸に上がる時にジャンプ
・・・あの、勘違いなさらないで。オリンピックは、参加する事に意義があると言いますから、もちろん参加して頂きます・・・

2等は雉の代理として、桃二郎と一緒に、人ヶ島へ、ヒト退治ツアーにご招待。もちろんその際には棍棒を差し上げます
・・・もちろん、棍棒で殴って差し上げるのですわ・・・

3等は金太郎の跡を受けて銀二郎が白熊と特訓に興じたというまさかりです
・・・あら、いやだ、歯の方を差し上げたら、警察沙汰になってしまいますわ。だから峰打ちで・・・

4等はこのあたしです。だから・・・金を出せっちゅうの!


プチトマト ●●● ポーラベアの

大の柄杓と小の柄杓は大熊と小熊。
銀河の回転は星座の形を少しずつ変えて、動物達の動く様を再現する。30万年前に白い世界に起き上がった子熊は、ゆっくり起き上がり、歩き始め、やがては狩りをして新鮮な肉に舌鼓を打つ。
その魚は魚座から?
そう尋ねると
いんにゃ、これは龍のしっぽに食らいついていた奴さ
北の空で、熊は龍をいつも見つめていた。


Copyright(c) 2007 Nijuniji, Yoruno Tsuki, Petit Tomato.
Template by HY