閉ざされた未来
篁頼征
我等の糧は遠くへと持ち去られた
その大半は十分に活用されることなく
ゴミとなり消えていく
子は餓えてなき
我等は子を十分に育てることすら出来ぬまま
衣を替える季節を迎えて
子を放置して次の季節に備える
海は澱んだ暗い油を浮かべて
我等の動きを妨げる
水を切るこの翼も
あの暗い油の前には為す術もない
棲み処とした森は既に消え失せた
同じ場所へと辿り着いた筈だったのに
あの森は草は木は
最早二度と見られない
生きていく場所がない
生きる為の食糧がない
生命を繋ぐ子は
生き延びてさえくれない
我等に糧を
―――生き延びる為に
我等に森を
―――生きて未来を繋ぐ為に
我等に未来を
―――いま閉ざされつつある未来を