閉ざされた未来
篁頼征


我等の糧は遠くへと持ち去られた
その大半は十分に活用されることなく
ゴミとなり消えていく


子は餓えてなき
我等は子を十分に育てることすら出来ぬまま
衣を替える季節を迎えて
子を放置して次の季節に備える


海は澱んだ暗い油を浮かべて
我等の動きを妨げる
水を切るこの翼も
あの暗い油の前には為す術もない


棲み処とした森は既に消え失せた
同じ場所へと辿り着いた筈だったのに
あの森は草は木は
最早二度と見られない


生きていく場所がない
生きる為の食糧がない
生命を繋ぐ子は
生き延びてさえくれない


我等に糧を
―――生き延びる為に
我等に森を
―――生きて未来を繋ぐ為に
我等に未来を
―――いま閉ざされつつある未来を


Copyright(c) 2007 Yoriyuki Takamura.
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