第2章 「未来への設計図」(5)                   BACK | TOP | HOME




 会議室のドアが大きく開け放たれ、中から犬槙博士が荒々しい歩調で出てきた。
「まったく、なんてことだ!」
 彼はすぐ後ろにいるジョアン・ローレル博士を振り向きもせずに、長い廊下の壁のあちこちに向かって、ことばをぶつけている。
「なぜ今まで黙っていた。きみがこれから半年、この研究所に居座るだって」
「居座るだなんて人聞きの悪い。日本政府のたっての要請で仕方なく引き受けたのよ。日米共同研究プロジェクトチームをここで立ち上げて、半年で軌道に乗せてほしいって」
 ジョアンは反対に、くすくすと愉快そうに笑っている。
「どうせお互いの技術を交換する気もないのに、なにが共同研究だ。いったい何だって政府は、僕にそのチームの一員になれなんて要求するんだ」
「あなたがデートでサボってばかりで、ちっとも次世代型ロボットを完成させないからだって聞いたわよ」
「そんなこと、きみの口から言われたくない」
「心配しなくても、あなたのAR9型開発には、頼まれたって首をつっこみやしないわよ」
「あたりまえだ。僕をストレスで殺すつもりか!」
 その後ろからついてくるのは、心配そうな顔のセフィロト、そして、自分には何の関係もないとばかりに泰然としたシーダである。
 セフィロトには、目の前にいる犬槙博士が、いつもとまったく別人のような気がしてならなかった。いつも冷静で、周囲から一歩下がったような物の見方をする彼が、今日はあわてふためいている。
 どう考えても、ローレル博士が原因だ。人間とは、そばにいる相手によって本来持つ性格まで変わってしまうものらしい。
 そして、犬槙博士の体温や脈拍の変動を計測すると、彼は決して彼女を嫌っているのではないらしい。好きなのに毛嫌いするという心理の矛盾を解決するのに、セフィロトの人工知能はさっきからフル回転していた。そのせいで犬槙に呼ばれていたのに、一瞬気づくのが遅れた。
「セフィ……セフィロト」
「は、はい。なんでしょう」
 彼の創造者は、ようやくいつもの落ち着いたまなざしを取り戻したようだ。
「なんだか会議は予想もしない展開になってしまった。午後はその、【日米共同プログラム】とやらの打ち合わせに変更されるらしい。せっかく【すずかけの家】を休んでもらったが、きみは今日はお役御免だ」
「いいえ、それはちっともかまいません」
「送ってあげることもできないから、モノレールで帰ってくれないか」
「わかりました。……あ、ローレル博士」
 ロボットに呼びかけられるのは不慣れ、という怪訝な表情をして、彼女は頭をめぐらした。
「なに?」
「博士が日本に滞在されるということは、シーダもそのあいだ日本にいることになるのでしょうか?」
「そうなるわね」
「もし許可をいただけるなら、今からシーダに東京の街を案内してあげたいのですが」
 興味と驚き半々の感情が、刷毛で刷いたようにジョアンの美しい顔に現われた。
「どうして?」
「シーダは日本に来たのが初めてだと聞いたので、きっとあちこちへ行ってみたいと思ったのです。もちろん、シーダの気持ち次第ですが」
 笑いを噛み殺しているように拳を唇に当て、彼女は自らの創った白いロボットに振り向いた。
「シーダ。セフィロトに東京を案内してもらう?」
「はい。もしマスターが今わたくしをご入用でないなら、東京の街を調査しておくことは、わたくしにとって有益です」
「決まりね。セフィロト。よろしく頼むわ。シーダにいろいろと見せてあげてちょうだい」
「はい。では、何かあったときは報告を入れますので、通信をオープンにしておいてください。……じゃあ、行こう。シーダ」
 セフィロトはうれしそうに微笑むと、まるで幼い女の子に対するようにシーダの手を取って、研究所の玄関に向かった。
 その後姿を見送りながら、ジョアンは大きなため息をついた。
「今のは、あなたの入れ知恵?」
「いいや、彼ひとりの思いつきだよ。まったくあいつらしい」
「いったい、どういう人工知能のアルゴリズムで、ああいう突拍子もない提案が出てくるわけ?」
 犬槙は、肩をすくめる。
「まあ、好奇心かな。自分と同じ自律改革型に会うのははじめてだからね。シーダのことをとても知りたがってる。とは言え、主成分は純粋な好意。あとはちょっぴりスパイスとして、お兄さんぶりたいという優越感。まあそんなものの集合体だな」
「信じられない。いつかセフィロトのプログラムをのぞいてみたいわ」
「AR計画には、首をつっこみやしないんじゃなかったんですかね」
 そう言いながら犬槙は心の中で、しみじみと勝利の余韻にひたるのだった。


 シーダに切符を買ってやり、自分はIDカードを改札機に通す。
『どこへ行くの』
 モノレールが駅にすべりこんできたとき、シーダがロボット用汎用言語を使って訊いた。
「原宿といって、東西南北4つの新都心の中のひとつだよ。
……シーダ。お願いがあるんだけど、これからは英語を使って話してもいいかな」
「別にかまわないけど、どうしてそんな面倒くさいことをするの?」
「デジタル音声で話しているときのわたしは、回りから見ると、とても恥ずかしい表情をしてるみたいなんだよね」
 セフィロトは照れ隠しに、人差し指でしきりに頬のあたりをぽりぽり掻いた。
 シーダはその動作を、不思議そうにじっと見ている。
「……顔の人工皮膚に異常でもあるの?」
 【原宿西新都心】、略して【西都(さいと)】は、前世紀で言えば、新宿・原宿・渋谷あたりがひとつの都市となったエリアだ。応用科学研究所と、胡桃とセフィロトが住んでいるベイエリアの、ほぼ中間地点に当たる。
 モノレールの窓からは、さまざまな種類の広葉樹林が広がっているのが見える。今は春まだ浅く冬枯れのままの景色だが、もう1ヶ月もすれば若葉が萌え出し、見渡すかぎり、あざやかな新緑に変わるだろう。
 208X年、国連で全会一致で採択され、その五年後に発効された【地球温暖化防止条約】。
 各国のCO2削減目標基準が一律に定められ、しかも基準に達しない場合は巨額の罰金を納めるという、強制力を伴うものだった。
 その基準を満たすための【全国一斉再開発】後、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の大都市圏の中では、ごくまれな例外を除いては、一戸建て住宅が建てられなくなった。東京圏の住民はすべて政府発行の権利証と引き換えに土地を没収され、4つの新都心を取り囲む住居エリアに建てられた高層ビルの地上または地下に移転することになり、それを嫌う人々は他の地方都市へ移り住んでいった。跡地はすべて植林されて巨大な森林帯と変わった。
 植物を好む古洞樹博士が、「手遅れぎりぎりで間に合った」と評していた大改革だ。
 15分ほど経つと、モノレールの行く手に太陽光パネルの高層ビル群が、きらきらと水晶の城のようにそびえ立っているのが見えてくる。
 【西都(さいと)】だ。
 原宿という名前の街は、21世紀には若者の好む町だったと言われていて、今もその面影を残している。
 授業の終わる夕方ともなると、近くの寄宿舎から学生たちが集まり始め、道端でひょうきんな歌を歌う大道芸ロボットや、最新の車やファッションを紹介するホログラフィー広告に見入ったり、中央広場の回りのテラスで、流行のバブルシェイクを飲んだりしている。
「楽しい街だろ?」
 セフィロトは、やや自慢げに言った。
「仕事から家に帰る途中、ときどきここに寄りたくなるんだよ。ここで遊んでいる人々の様子が面白くて、時間の経つのを忘れる」
「興味深い街であることは確かね」
 シーダが無感動に答えた。
「アメリカの街も、こんな感じ?」
「これほどの人間はいないわ。60年前のテロリストたちの核攻撃で都市部の人口はずいぶん減ってしまったままだから。それにロボットも、ほとんどみかけない。街で見るのは清掃ロボットくらいね」
「じゃあ、寂しいね」
「それは、見解の相違ね。私は静かで動きやすいと思ってる」
「ひとりで、町を歩くことはあるの? それとも、外出はローレル博士といっしょのときだけ?」
「単独で歩くことは、あるわ。たいていはマスターの用事で必要なものを買ったり、フィルを遊びに連れて行ったり」
 シーダはそのとき、唐突に口を閉じて会話を終わらせた。セフィロトの目にはなぜか、彼女が悲しみのあまり言葉をなくしてしまったように思えた。
「フィルというのは、ローレル博士の息子さんの名だね。どんな子ども?」
「そんなことをあなたに話す必要を感じないわ」
 彼女は急に高飛車な物言いに戻る。こんなところが、シーダはジョアン博士にそっくりだなと、セフィロトは思ったとたんに可笑しくなった。ロボットとマスターというのは、やっぱり似てくるのかもしれない。自分と胡桃も似ているのかな。
「AR8型セフィロト。なぜ、唐突に笑い出したの?」
「思い出し笑いだよ」
「記憶が脈絡なく再生されて感情プログラムを刺激するなんて、どこかにバグがあるに違いないわ」
 彼女が有無を言わせず断定するので、余計に可笑しくなる。
「ごめんね。そばから見てると、いきなり笑い出すってヘンだよね」
 セフィロトは、涙をぬぐう仕草をした。「さあ、せっかく来たんだから、どこかの店に入ろう。どんなところに行きたい?」
 シーダはまた口を閉じてしまった。頑なに答えようとしない彼女を見て、セフィロトは訝った。
「どうしたの?」
「私は、その【なにかをしたい】という意識が理解できないの」
「え?」
「それは、ロボットの意識ではない。ロボットは、【なにをすべきか】と思考することはあっても、【なにをしたいか】と思考することはないわ」
「そうなのかい?」
 セフィロトはますます戸惑った。
「わたしは、これまでそうしてきたから、それがロボットとしておかしいとは考えたことがなかった。いつも【なにかをしたい】という気持ちにしたがって、自分の行動を決めてきたから」
 見たい。聞きたい。どこかへ行きたい。胡桃を喜ばせたい。胡桃の考えていることを知りたい。ずっとずっと、そうやって自分の好奇心を満たそうとしてきた。
「それは人間の行動パターンだわ。あなたはロボットなのに、人間になろうとしている。人間と同じ思考パターンに従い、人間に似せた動作をすることにプログラム改変の優先順位を置いている。なぜなの?」
「なぜって……」
 セフィロトが口ごもっていると、ちょうどそのとき、舗道を歩いていたふたりの少年がこちらに近づいてくるのに気づく。彼らはシーダを眺めると、顔を見合わせてニヤニヤした。
「すげえ、よくできたロボットだな。ちゃんとぺらぺらと英語をしゃべってるよ」
「へえ、女性タイプだよな。あっちのほうもOK?」
 ふたりは卑猥な冗談を言いながら、大声で笑った。
 だらしのない服装。派手な装飾品。寄宿舎の舎章をつけていないので、【迂回学生】だとひと目でわかる。
 働かない若者が社会問題となっていた21世紀。宝石のように貴重な若い人的資源を確実に産業に送り込むために、教育は今の制度に形を変えた。単純労働はすでにロボットが担う時代となりつつあったため、授業は創造的思考力・知識の統合力を開発するプログラムが主となった。
 その分野ですぐれた才能を発揮した者には、高等教育に進む道が開かれ、それ以外の者は、ロボットには習得することが不可能な、熟練技能を学ぶための職業教育に進ませる。
 ただ、高等教育や職業教育に進んだあと適応に失敗した一部の青年は、【迂回路(ディートゥア)】と呼ばれる再教育機関に身をゆだねることになる。そういう学生の多くは新しい進路に進むことができるが、中には学ぶ意欲をなくし、徒党を組んで反社会行動をとる者たちがいた。
 胡桃の父親である桐生直人博士が日本の教育省にいたとき改革に着手し、最終的な目標として挙げていたのは、この【迂回学生】たちの可能性の幅を広げることだった。だが、それは20年経った今でも完全に成功しているとは言えない。
「ねえ、俺たちとちょっとデートしよっか」
 手を握られたシーダは、平然として答えた。
「いいえ、お断りします。わたくしには、あなたたちとデートするという任務は与えられておりませんので」
 彼らはそれを聞いて、また大笑いした。
「じゃあ、オレたちがその任務を与えてやるよ。人間の言うことには逆らえないだろ?」
 たまりかねて、セフィロトが間に入ろうとする。
「あの、すみません。やめてくださいませんか」
「なんだよ。こいつ、おまえのロボット?」
 彼らは、胡散臭そうな目でにらみつけてきた。セフィロトのことを、自家用ロボットを持つ金持ちのお坊ちゃんとでも思ったのだろうか。
(いいえ、違います。わたしも彼女と同じロボットです)
 と言おうとした。しかしことばは喉につまって、そこから出てこようとしない。
 口を閉ざすことを選択させたのは、「AR8型の存在がまだ公には秘密である」という、しごく正当な理由だ。だが、それだけではなかった。
 セフィロトは、その本当の理由を知るために自分の思考回路の根底をのぞいて驚愕した。そこには【劣等感】という小さな黒い塊があって、その塊が真実を言わせないのだ。
 一方、シーダはいたって冷静に、無作法な相手に対応している。
「『任務中のロボットを妨げてはならない』という条項が、日本の【ロボットの使用に関する法律】第24条の1にあります。私の行く先を邪魔なさるようであれば、軽犯罪として処罰の対象となります。今すぐここで警察に通報してもよいのですが」
「ちぇっ。くだらねえ」
 そのことばに気勢をそがれたのか、ふたりの少年は捨て台詞を吐いて、すぐに往来の中に消えていってしまった。
「もう行ったわよ」
 シーダの声でセフィロトは我に返った。自分の対処能力のなさに、ほとほと呆れる。
「ごめん、シーダ。何もできなくて」
「あなたの助けが要るほどのことでもなかったわ」
「いやな気分になった? こんなことで日本を嫌いにならないでね。ああいう人たちは少数なんだ」
 シーダはそのことばを聞いて、むしろ不思議そうに口を開いた。
「いやな気分? 全然感じないわ。なぜ、そんなふうに思うの?」
「だって……」
 セフィロトはにわかに口ごもる。「シーダはロボットだから、そのせいでからかわれたんだよ。そういうのって、自分を差別されたみたいに思うんじゃないかって」
「いいえ。だってロボットはロボットですもの。人間と同じに扱ってもらおうなんて思わない。差別されて当然よ」
「え?」
 セフィロトは混乱して、視界がくらくらと回るような気がした。
「さっきの話の続きだけど」
 シーダはまっすぐに射抜くようなクリスタルの目で、彼を見た。
「ロボットは人間と違うわ。同じになる必要はない。ロボットはロボットの役割があり、それは人間を助けること。だから人間と同等でないことは、何も恥ずかしいことはない。
あなたは、自分がロボットであることが恥ずかしいの、AR8型セフィロト?」
 最後のことばは、少なからぬ衝撃を与えた。
「……わからない」


 夕方、家に帰ってきた私を出迎えたセフィロトは、心なしかしょんぼりしているようだった。
「今日は、原宿エリアを歩いていたんです」
 と、元気のない声で報告してくれる。
「へえ、どうして? 今日は一日会議だと言っていたのに」
「実は」と、ジョアンとシーダが半年間、日本に滞在することになったと説明してくれる。私にとっては初耳の情報だった。
「それならば、シーダに東京を案内してあげようと思って」
「シーダとふたりで【西都】に行ったの?」
 私の脳裡に、互いを恋人のように見つめあいながら、人間には聞こえない声でたくさんのことを語り合うセフィロトとシーダのむつまじい姿が、ホログラムのように浮かび上がってきた。
「そこで、シーダのことをからかう人たちに出会ったんですけど、わたしは、自分もシーダと同じロボットであることを言えませんでした。それで、シーダに『ロボットであることが恥ずかしいの』と問われてしまって。わたしはその問いに答えられなかったんです」
 セフィロトがせっかく悩みを打ち明けているのに、そのときの私はまったく別のことを考えながら、バッグの中の教材を出し入れして整理するふりをしていた。
「で、シーダと歩いて楽しかったの?」
「は?」
 ようやく彼も、私がうわの空で聞いていることがわかったらしい。
「それは、楽しいと言えば楽しかったです」
「そう。よかったわね。意気投合する相手ができて」
「胡桃、……もしかして、怒っているんですか?」
「怒ってなんかいないわ」
「だって、今日の胡桃は変です。声の調子が上ずって平坦で、とても意地悪な言い方に聞こえます」
「そんなこと……」
 と、言いかけて私はどきっとしてしまった。自分でも気づいていなかったが、本当に私は意地悪な気持ちになっている。
「……まさか、胡桃」
「なによ」
 彼の追及に思わずそらしてしまった私の目を、セフィロトはのぞきこむ。
「ヤキモチを焼いている、なんてことはないです?」
「え。え?」
 とたんにセフィロトは、いかにも意味あり気な微笑を浮かべた。
「白状してください。昨日からシーダとわたしのことをしきりに気にしているというのは、ヤキモチなんですか?」
「まさか。そんなの、違うわよっ。ただ私は――」
 黙らせるように、彼は私の唇を人差し指でちょんとつついた。
「嘘は、いけないんですよ。胡桃」
「……」
 真っ赤になって押し黙ってしまった私に、セフィロトはくすくすと笑い始めた。
「うれしいです。胡桃が恋愛小説の主人公みたいに、ヤキモチを焼いてくれるなんて。本当に愛されてるという気がします」
 宝物をこっそり引き出しに隠している子どもみたいに、ひとりで楽しそうに笑っている。
 自分でも気づかなかったほどにあいまいな私の心理を、表情や声色から推し量ることができるなんて。それだけ彼自身が複雑な心理の発達を遂げたからにちがいない。
 落ち込んだり喜んだり、短時間のあいだにいろんな感情を見せてくれるセフィロト。シーダには、ううん、世界のどんなロボットにだって、絶対にできないことにちがいない。
 そのことに大きな感動を感じながらも、私はそれをわざと隠して、うんとすっとぼけた声を出した。
「あら、ヤキモチなんて、全然おかどちがいだわ。セフィとシーダはロボット同士でとてもお似合いだと思ってたの。私も心からふたりを祝福するから、これからもずっと仲良くしてくれていいのよ」
「ええっ、そ、そんな……」
「うーん、やっぱりまだまだね」
 情けない声をあげたセフィロトが愛しくて、私はそのまま彼に飛びついて唇を合わせた。


 でも、セフィロトとシーダのふたりだけの映像は、私の記憶に思った以上に深く強く根を下ろしていたのだ。そしてセフィロトの中でも、ロボットと人間についての重要な命題が芽生え始め、ちくちくとした痛みを伴って彼を悩ませ続けることになる。
 希望一色に塗られた未来への設計図に小さな点のようなシミが現われたことに、そのときの私たちはまだ気づいていなかった。
 


                      第2章 終


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