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 あとがき


 2005年の四月から開始した「セフィロトの樹の下で」第二部の連載が終了いたしました。
 これで、このお話の全編が完結したことになります。第一部から親しんでくださり、応援してくださった皆様には、本当に感謝いたします。

 執筆の動機などについては、第一部のあとがきのほうにくわしく書いてあるので省きますが、予定していた第一部を書き終えたとき、すぐさま第二部の構想が浮かんでいました。
 それは、セフィロトの成長が、第一部が終わった時点ではまだ70%ほどだったこと。
 ふたりが愛情を育んで結ばれるには、もっと困難な道筋が待っているだろうことが、わかっていたからです。
 このお話には、多少なりとも私のクリスチャンとしての信仰がこめられています。そういう意味でも、書き足りなかった部分を書き継ぎたいという思いが与えられ、すぐに第二部の連載を決めました。
 途中で更新をストップした時期もあって、結果的に二年半もかかってしまい、完結までお待たせしてしまったことは申し訳ありません。

 この作品を書いていて、作者が一番楽しんだことは、近未来の世界を描くことでした。
 今から約百二十年後、果たして世界はどうなっているか。科学技術はどれくらい進んでいるか。あれこれ想像をふくらまし、またネットサーフィンで調べることは、SF好きな私にとって、とても楽しい時間でした。
 そのうちのいくつか、たとえば「静脈認証」や「飲酒運転防止のハンドル自動ロック装置」などは、連載開始時にはまだ一般にはあまり知られていなかった技術でしたが、連載中に広く実用化されてしまい、技術の進歩の速さには驚くばかりです。
 この場所を借りて、「セフィロト版22世紀の大予言」なるものを書き留めておきます。果たして、このうちいくつが実現するでしょうか(実現したら困るものもありますが)。


【政治・経済】
*アメリカ合衆国は、20XX年のテロリストによる核攻撃で主要都市が壊滅。国力を失った米国により、「日米安保条約」は破棄された。
*中国が米国の代わりに世界第一の大国となり、政治・軍事・経済で世界のリーダーとなった。「日米安保条約」の代わりに、日本は中国と「極東安保条約」を結んだ。
*日本は、22世紀になってようやく憲法第九条の改正にこぎつけたが、平和路線を取る政党が政権を維持しているため、軍国主義化は免れている。
*日本は、円の通貨単位を百分の一に切り下げるデノミを断行した。ちなみにセフィロトの充電代は、月額五百円、胡桃の年収は六万円。


【科学・技術】
*「産業ロボット化推進10ヵ年計画」により、日本の単純労働のほとんどをロボットが担うことになる。
*在宅介護のほとんどを、政府から貸与される介護ロボットが担っている。
*近視・遠視は手術で治るようになったため、眼鏡をかけている人はほとんどいない。
*エネルギー削減対策のため、首都高速道路は偶数日と奇数日に割り振って、車を規制。完全自動走行システムで、行き先を入力すれば運転は不要。
*紙はほとんど使われなくなり、本はすべてコンピュータファイルに、書類も薄い電磁板が使われるようになった。
*各家庭に「ホームステーション」と呼ばれるコンピュータシステムが備えつけられ、住居・財政・住人の健康、通信・娯楽を、コンピュータが一括管理することになる。


【社会】
*日本は、超高齢社会に突入。人口は七千万人、その三分の一は、65歳以上。
*208X年国連で「地球温暖化防止条約」が発効。大都市圏では一戸建て住宅が建てられなくなり、高層住居以外はすべて緑化地区となる。
*人間が死ぬと、三千度の高温で分子レベルまで分解される。お骨が残らない代わりに、故人の身体成分を抽出したメダルが遺族に渡される。
*IDカードが、パスポートやお金の代わりを果たす。
*人工子宮による出産が許可され、人工受精児が誕生。その養育のための国立施設が整った。
*学校教育は、五・四・五制になり、9歳から、すべての子どもは家庭を離れて寮に入る。
*教職志願者は教育大学で三年学び、そのあと教育実習を一年受けてから採用試験を受ける必要がある。
*21世紀中ごろから、英語が世界公用語として認められる。学校の授業のほとんどが、バイリンガルで教えられる。
*ショッピングはほとんどが宅配。マーケットはなく、レジャーセンターを兼ねた大型ショッピングモールが点在している。
*日本の国技である相撲は21世紀末に廃止され、今は「江戸ミュージアム」のホログラフィーで見られるだけ。
*21世紀中盤に、東京都営の総合娯楽施設「カジノシティ」がオープン。


 「夜叉往来」に続いて、またひとつの長編が完結したことに、寂しさと安堵を感じています。
 このお話に関しては、「ロマンス」と呼んでいただいたこともあり、作者自身がびっくりしたのですが(笑)、読者の方々の感想や励まし、あるいは推薦掲示板の紹介文などによって、プロットの構想に大きな広がりを得られたことを感謝しています。
 あらためて、この場をお借りして、お礼を申し上げます。

 続編については、今のところまったく考えておりません。リクエストがあれば番外編の形で、後日談あるいは過去編を書くかもしれません。

2007.11.  BUTAPENN





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