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The New Chronicles of Thitos

新ティトス戦記


Chapter 18



 床に倒されたジュスタンは、四肢を封じられたまま、口に布きれを押し込まれた。魔法を封じるための【くつわ】だった。
 エリアルはうつぶせにころがされ、紐で後ろ手に縛り上げられた。
「やめろ、何をする!」
 叫んでも、異様な目の光を放った子どもたちの耳には届いていない。数人がかりとは言え、たかが六、七歳の子どもの力。跳ね返すことは容易なはずなのに、どうしても跳ね返せないのだ。
 それはルギドも同じだった。かろうじて立っていたものの、両手両足を数人ずつの子どもに組みつかれ、身動きすることもできない。
 ゼルは、まだやっと仲間入りを許されたばかりに見える一番幼い子どもに両手で腹をつかまれ、ばたばたとむなしく翼を広げている。
 ラディクだけが難を逃れることができたのは、いわば偶然だった。一番離れたところに立っていた上に、すぐ目の前に天井から鎖が垂れていたからだ。
 それは、香炉を吊り下げるための鎖で、祭りのときに、祝福のための香炉が会衆の頭の上をゆっくりと振り子のように移動しながら、香を振りまく。
 彼はとっさに、その先に飛びついて、鎖をよじ登った。
 そのあとを追おうとして背丈が足りない子どもたちが、罵声を上げながら悔しげに見上げている。
 ラディクはさらに天井近くまで登ってから、四方を見渡した。ここまで来たものの、壁際まで移動できるような足場はどこにもない。
 高窓の外では炎が激しく燃えていた。
 ここにいる子どもたち以外に、村にはまだ人間が隠れていたのだろう。こっそりと手分けして、外に積み上げたおいたチップか何かに火をつけたに違いない。
 【ウル】。
 ルギドがつぶやいた言葉を思い出したラディクは、すっと臓腑が冷えるのを感じた。
 彼がウルと言うときは、いつも火薬を意味していたのではないか。
 この建物のどこかに、爆発物が仕掛けられている?
「冗談じゃねえ」
 建物のたとえ一箇所でも爆破されれば、天井も壁も一気に崩れ、中にいるものは全員その下敷きになってしまう。
 奴らは、【ガルバの虐殺】を自分たちの手で再現するつもりなのか。しかも、帝国の皇女を巻き添えにして。
 焦ったラディクは、片足に二三度鎖を巻きつけて身体を固定すると、腰の武器を抜いた。
 ナイフの細い柄を指のあいだに挟み、眼下の誰かに狙いをつけようとする。
「ラディク!」
 子どもたちにすがりつかれた状態のまま、ルギドが彼のほうを見て叫んだ。
 【やめろ】。彼と同じ紅い瞳がそう告げている。
「けど」
 じゃあ、どうすればいい。
 組みついてくる子どもたちを片っ端から引き剥がして外に逃れるのも、彼らを引きずったまま外に脱出するのも、ともに不可能に近い。
 このまま、彼らとともに死を迎えるとでもいう気なのか。
 その無言の問いに答えるように、ルギドの視線はラディクのさらに上に向かって注がれた。
「天井裏?」
 火薬の箱は、天井裏に積まれているというのか? だが、あそこまでは、どうやったって行けない。
 ラディクは切羽つまった気持で、背中の竪琴を袋から取り出した。
 弦を鳴らす指が震えている。
 刻一刻とせまってくる死への恐怖が、怒りが、焦りが、気持の集中を妨げているのだ。
「俺も、情けねえな」
 ラディクは、竪琴を持つ手をさらに鎖に固定すると、上を見上げて祈るように目を閉じた。


 長身の魔族に渾身の力で抱きついていた少年少女たちは、びりっと鋭い痺れに身体を貫かれ、思わず手を放した。彼の体の回りには、薄い蒼色の膜のようなものが見えた。この男を取り巻く魔力の防壁が、ほんの少し力を増したのだ。
「誰がおまえたちに、こうせよと命じたのだ?」
 問いかける声には、父親が子どもの枕元でささやくような穏やかさがあった。
「ここにいれば、自分たちも死ぬことをわかっているのか?」
 幼い者たちは一瞬たじろいだが、答えるなという命令を受けているので、何も答えない。
「死ぬとはどういうことか、わかっているのか?」
 ルギドとテアテラの子どもたちは、彫像のように静かに向き合って対峙した。


 ステンドグラスが、炎に焼け融け、飴のようにねじれ、あるいはひび割れていく。
 礼拝堂の中は異様な熱気に包まれ始めた。
 どこかで、かすかな爆発音がした。建物を取り巻いていた炎が天井裏まで回りこみ、仕掛けてあった火薬の一部が発火を始めたのだろう。それらが一気に誘爆を起こせば、アーチ型の天井は瞬時にして崩れ落ちる。
 ラディクは薄く目を開き、鎖に身体をつなげて天井を仰いだまま、歌い始めた。
 紅い瞳が恍惚とした光を帯びるにつれて、周囲の音も炎の轟音も、すべてが彼の耳から消えていった。

『  神よ、御身の民を救い
    永久(とわ)に 彼らを治めたまえ
   幼な子 御身を称え
    世々に聖名(みな)をあがめまつる。

   神よ あわれみたまえ
    あわれみたまえ 
   尽きせぬ光を 彼らの上に照らし給え  』

 その高く澄んだ、天使のような歌声は、地上にいる者たちに雨のように降り注いだ。


「この世に生まれてくるものには、すべて生きる義務はあるが、生きることを捨てる義務など、どこにもない」
 ルギドが小さく一歩近寄ろうとしたので、子どもたちはびくりと身体を震わせた。エリアルやジュスタンを捕らえている別のグループも、息を殺して見つめている。
「おまえたちは、命についてそう教わったことはないのか? それとも、つまらない敵を殺すために簡単に捨てることのできるほど、命とは安いものだと教わったのか」
 唇から紡がれることばに、飲み込まれそうになる。哀しげな光を宿した紅い目に吸い込まれそうになる。
 ひとりのローブ姿の少年が、はっと我に返り、目を吊り上げた。
「みんな、だまされるな!」
 すべては教え込まれたとおり。迷うことはゆるされない。
 頑なな調子で、なおも叫んだ。
「レイア女王さまの命令を忘れるな。僕たちはテアテラのために喜んで命を捨てると誓ったんだ」
「レイア?」
 ルギドの表情が、たちまち強ばった。
「――レイア女王だと?」
 銀色の髪がゆらりと動き、体全体が激しい燐光に包まれたかのようだ。その光は彼の怒りなのだ、と子どもたちは感じた。
「おまえたちは、レイアによって、命を捨てよと命じられたのか」
 叫びながら、彼は腰の剣を電光のように放った。
 圧倒的な恐怖が津波のように襲ってきて、幼い者はぺたんと床に崩れこみ、年長者も思わず顔を伏せた。
 彼らの目の前に立っているのは、礼拝堂のステンドグラスに描かれていた、口から剣を出した最後の審判者そのものだったからだ。
 彼の右手の中に、碧色の炎の球が現れた。その手を剣の柄に当てると、刀身全体が轟音をたてて同じ色に燃えさかる。
 彼はマントをひるがえすと、憤怒の導くままに会堂の壁にその剣を衝き立てた。
 高い建物が一瞬の静寂に包まれたかと思うと、すさまじい冷気を放ち始めた。壁のレンガひとつひとつが氷の塊になってしまったかのようだ。
 壁の周囲の空気は、内側も外側も急激に冷やされ、水蒸気が氷の細かい粒となって、甲高い悲鳴を上げながら、雨のように地上に降り注いだ。
 火勢を強めていた炎は、その氷霜を浴びて、みるみるうちに萎れていく。天井裏の火薬も爆発をやめた。
 礼拝堂の中は、りんと冴え渡るほどの冷気と静けさに包まれた。
 テアテラの少年少女たちは皆、今見たことのあまりの不思議さに、完全に戦意を失って床に座っていた。
 ルギドはすでに光を消した抜き身の剣を手に、全身に氷の粒をまとって立っていた。
「この地上の王に、おまえたちに命を捨てろと命じる資格のある者など、ひとりもいない」
 振り向いたとき、その紅い目は、明らかに氷ではない熱いしずくに濡れていた。
「王であろうと、たとえ神々であろうと、幼き者の命を奪う権利など、決して誰も持ってはならぬのだ!」


 それから後のことは、奇妙な沈黙と秩序の中におこなわれた。
 縛めを解かれて、すぐに外に飛び出たジュスタンは、今回のできごとの発案者であるらしきふたりの上級生――とは言っても、彼ら自身もまだ十二歳をいくつも出たようには見えなかったが――を見つけて、黙って殴り倒した。
 彼らを含めた四十四名の子どもたちは、ある者は泣きながら、またある者は全身をがたがたと震わせながら、近くにあった別の大きな建物に移された。
 まず最初にとりかかったことは、彼らに食べ物を与えることだった。
 手持ちの食糧や、村にあったものをすべてかき集めて、小麦粉を練ったものといっしょに鍋で煮込み、栄養は不十分だが暖まるスープをたっぷりと作って配った。彼らは疑い深そうな目をして、その椀をにらみ、そして食欲には勝てずにむさぼりついた。
 ジュスタンは、応援を呼ぶために【炎の頂】まで早馬で取って返した。
 エリアルはゼルとともに、子どもたちの引っかき傷や、栄養失調から来る腫れ物の手当てをした。
 ゼルは、彼らのあまりの不憫さにずっとしゃくりあげているし、エリアルも言葉なく、ただ手当ての終わった子どもたちをひとりひとり抱きしめてやるだけだった。
 村の門を出て行こうとするルギドに、ラディクは「どこへ行くんだ」と短く声をかけたが、答えは聞かなくてもわかっていた。全員の命を救うために、使ってはならぬ魔力の光球を使ってしまった。これから数時間、体の檻を破ろうとする畏王との壮絶な魂の戦いが、彼を苛むのだろう。
「俺はしばらく一緒にいないほうがいい」
 そう言い残して森の中に消えていく魔族の王の背中をながめながら、ラディクはつぶやいた。
「結局、最後はあいつの力に頼ってしまうのか。俺たちは」
 そして、自分の歌があれほどの危機に際して何の役にも立たなかったという、苦い思いを噛みしめた。
 ジュスタンが食糧と魔族の女たちを満載した馬車を駆って火棲族の村から戻ってきたとき、ユツビ村は少し生気を取り戻したように見えた。
 小さな捕虜たちは相変わらずだんまりを続けていたが、ラディクが壁にもたれながら、次から次へと歌って聞かせる『野ウサギとジャッカルの歌』や『三匹の岩タヌキの歌』に興味を魅かれているようだった。
 エリアルは、彼らの顔をそっと湯でぬぐったり、ローブを新しいものと取り替えたりしていた。
 さらに一時間もすると、村はうってかわったような喧騒に湧いた。
 台所からは、肉を煮るもうもうたる煙や、平鍋でパンを焼く匂いが満ち、豊かに湧き出る温泉場では、巨大な火棲族の女たちが豪快な笑い声を上げながら、いやがって逃げる子どもたちをとっつかまえて、ごしごし身体を洗う姿も見られた。
「もう、これで安心だな」
 魔力を回復していつのまにか戻ってきたルギドが、ジュスタンの隣に立って話しかけた。ジュスタンは「はい」とうなずいた。
「【炎の頂】の村に連れ帰って世話をしてくれるように、女たちには頼んであります。わたしたちは、すぐにでも先発隊に合流するため出発しなければなりませんから」
「その前に話がある、ジュスタン」
 ルギドの顔に浮かぶ苦悩の色を見て、ジュスタンは何も訊かずに彼のあとについていった。
 知らず知らずのうちに、ふたりは図書館のある丘に登り、村の裏にある広大な墓地を見下ろした。
 それはかつて、一時的に気のふれていたアローテが、ルギドを想って毎日花を手向けていた墓地だ。千年の歳月が流れたとは言え、ルギドにとっては昨日のことのように鮮明な記憶だった。
「俺は、けっしてレイアを赦すわけにはいかん」
 落ち着いた声で、ルギドは話し始めた。
「もしレイアが、この村の子どもたちにテアテラのために死ねと命じたというのが本当なら、あいつは俺の知っているアローテではない」
「わたしの知っているレイアでも……」
 ジュスタンは言いかけて、口を閉じてうなだれた。
「俺は今まで、あいつを救いたいと思っていた。昔の記憶を取り戻し、俺を思い出してくれれば、それができると思っていた。だが、それは甘い考えだったかもしれん」
「……」
「最悪の場合、俺はレイアを殺さねばならん。だが、もしできれば――」
 ルギドは自分の腰の剣を鞘ごと抜いて、涙を目に溜めている魔導士に渡した。
「ジュスタン。レイアとの対決のときが来たら、これに封印魔法をかけて、俺とレイアを貫いてくれ」
「ティエン……ルギド」
「正確に貫くのだぞ。ふたりとも永遠に目覚めぬように。それしか方法はない。このティトスに対して、俺たちが犯してきた罪をつぐなうためには」
 西の山の端に夕日が隠れ、赤一色に浮き出るように輝いていたユツビ村の草原や家並みが、ふいに藍色のベールの底におおわれた。ジュスタンの明るい茶色の髪も、同じように闇色に縁取られた。
 その髪をルギドの大きな手がおおった。
「今ここで誓って約束しろ、ジュスタン。必ず俺たちを封印すると」
「おっしゃるとおりに……いたします」
 何度も嗚咽をこらえながら、やっとのことでジュスタンは答えた。
 ルギドは微笑んで、彼の頭を息子のようにぽんぽんと叩いた。
「覚悟しておけ。これから暇さえあれば、魔法剣の特訓をするからな」


「まったくルギドさまも、人使いが荒いんだからイヤになっちゃう」
 ぶつぶつ言いながら、ゼルは無人となった礼拝堂の屋根裏にもぐりこんだ。
「火薬の処理だなんて、かよわい女性には身に余る重労働だってば。下手すると命がないんだもの」
 そう自分でつぶやいて、ぶるっと震える。
「もしかすると、おいら不用だって思われたのかも。四歳の子どもに捕まえられて身動きとれなかったときは、正直言って我ながら情けなかったもんなあ」
 低い天井裏に、幾つも巨大な火薬の木箱が置いてあるのを発見した。
「こ、こ、こんなの、おいらに運べるかなあ」
 重い木箱をずりずりっと動かしながら、そっと中をのぞいたゼルは、「あれ」と叫ぶ。
 確かにぎっしりと黒色火薬が詰まっていたはずの木箱の中には、何の害もない、ただの白石英の砂が入っていただけだったからである。


 その数時間後、夜陰に乗じて、四人の馬はユツビ村を出発した。すでに予定を半日以上遅れている。今ごろ魔族軍は、王都の南二十キロの地点にまで迫っているはずだった。
 ユツビ村を去るとき、エリアルは手綱を引いて立ち止まり、村の礼拝堂を振り返って、しばし思いに耽った。
 村を出てくるとき、子どもたちは魔族の女たちに抱かれて、暖かく柔らかな寝床で眠っていた。
 とうとうエリアルたちに一度も微笑を見せなかった彼らだが、その寝顔はあどけない安らぎに満ちていた。
「私は、ここで見たことを、決して忘れぬ」
 決然と、つぶやく。
「たとえ、わたしが帝国の政治を預かる者となったとしても、私はユツビ村の子どもたちのあの目を生涯決して忘れぬ。為政者の心無いことばが、どれほど国の未来をゆがんだものに変えてしまうかを」
 そして、腰に帯びた勇者の剣の柄をぎゅっと握ると、馬に鞭をくれて、ルギドたちの後を追って走り出した。


「ごゆるりのご到着でしたな、ルギドさま」
 火棲族の族長エグラは、戦場にもかかわらず自分の居間に客を迎えるような、くつろいだ歓迎を見せた。ルギドも応じて、ゆったりと微笑む。
「おまえにまかせておけば、大事あるまい」
「ご信頼に応えとうございます」
「それで、状況は?」
「二時間ほど前に戦端が開かれましてな。少々苦戦しておりますわい」
 口では困ったように言うが、その満面の笑みから見ると、それも作戦のうちであることがわかる。
 テアテラ魔導士軍の先兵は、物理防御力の高い重装歩兵だ。彼らが前面に出てその陰で魔導士が魔法を唱える。だからこちらとしては、テアテラ魔導士軍の中心を、可能な限り前に突出させたいのだ。
 魔族軍が少しずつ、それとはわからぬ程度に後退し、テアテラ軍が前に出る。気がつくと防御力の弱い魔導士兵が剥き出しになっている。そこを飛行族と地底族が両側面から奇襲をかける、という作戦だった。
 しかも、深追いはしない。短時間で攻撃を止めて、一旦退却する。攻撃しては退却、を繰り返し、時間をできるだけ引き延ばすのだ。
 そうやって敵の注意を引きつけている間に、ルギドたちがエルゲティの結界増幅装置を破壊する、という作戦だった。
 この戦略は当初、ものの見事に成功した。このままの調子で行けば、魔族側の優勢のうちに戦闘は推移するはずだった。
 しかし、机上の計算だけで成り立つ戦争というものはない。つねに、不確定の情勢の変化というものがからんでくる。
 この戦いに関しては、さすがのルギドもまったくの予想を超えたところで、事態は動いたのだった。
「そろそろ、エルゲティに出発する」
 戦況をつぶさに見て、ルギドが立ち上がったときだった。
「申し上げます!」
 ひとりの兵士が、本陣に駆け込んできた。
「オブラの使者という水棲族の者が、ただいま到着して、ルギドさまにお目通りを願っております」
「オブラだと?」
 ルギドは表情を動かした。
 オブラとは、本業はサルデスの鍛冶屋であり、エグラの兄にあたる。今はルギドの右腕として、帝国領内にいる魔族の軍をまとめていた。
 そのオブラが、いったい何の用だろう。
 水棲族の兵士は、水かきのついた長い手足をせいいっぱい動かして、王のもとに走ってきた。
「貴き魔族の王ティエン・ルギドさま。あなたさまのしもべ、司令官オブラの伝言を持ってまいりました」
「話せ」
「帝国領内にて、一大事が起こりました」
 あえぎつつ話す兵士の不穏なことばに、ジュスタンもエリアルもラディクも、本陣内にいた者たちは総立ちになっていた。
「帝国皇帝セオドリク二世が崩御しました。今、パロス宮廷は大混乱に陥っています」
「父上が――」
 エリアルの顔からみるみる、血の気が引いた。
「このままでは帝国が大混乱に陥ります。皇女エリアル殿下とともに、一刻も早くお戻りくださいますように、とのオブラの言でございます」
 その瞬間、彼らの作戦は崩壊した。
 帝都から数百キロを遠征し、ようやく敵の喉元に刃を突きつけるところまで来ていながら、魔族軍は撤退を余儀なくされたのである。





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