あとがき                                 top | home




 「夜叉往来」を最後までお読みくださって、ありがとうございました。
 2004年2月から、足掛け3年に及ぶ長期連載をなってしまいました。更新が何度も途切れたときも、辛抱強くお待ちくださり、感謝いたします。


 今まで何回も記してきたように、そもそもこのお話は、2003年11月に88888のキリバンを踏まれたとっとさんが、「5つの八」というお題を下さったことで生まれました。
 そのお題とは、『「八方美人」の女と「八面玲瓏」の男が、「八方破れ」な行動で「八方塞がり」になりながらも「八面六臂」の活躍をする物語』。
 そこにキリリク魔人(笑)のTERUさんが、「〜をホラーで」という呪文を付け加えてくださいました。
 八ということばに徹底的にこだわろうとして、ネットを検索し始めたとき、「毘沙門天直属の八大夜叉」という文字が目に留まりました。ここから、「夜叉八将」というアイディアが生まれ、真言を調伏の武器として用いる「夜叉追い」たちの物語、という構想が生まれたのです。


 連載中、掲示板での書き込みやメールに触発されてイメージが膨らみ、当初八話の予定だったのが、どんどん長くなっていきました。特に過去編のあたりが最初の構想とは大きく変わりました。そのためお話全体の収拾がつかなくなりかけて、何度も挫折しそうになりました。そのたびにまた、みなさまの掲示板やメールでの感想、また「続きを読みたい」のひとことに励まされました。
 こういう生の励ましはオンライン作家ならではの特権です。未熟な作者をここまで導いてくださったのは読者のみなさまであることを、ひしひしと感じています。本当にありがとうございました。


 さて、15歳でキリスト教の洗礼を受けたクリスチャンの私にとって、仏教というものは、どこか暗く恐ろしく密やかで、しかしまた、どこかおおらかで奥深く壮大な世界のように感じていました。バラモン教やヒンズー教など多くの宗教の神々を起源とする数多の仏たち。その複雑な曼荼羅の世界は、調べれば調べるほど、とうてい私の理解を超えていました。
 そのために、自分勝手な解釈をまじえつつ、天界の描写についてはどうしても書ききれず、あえて避けた部分も多々あったことが、悔いの残るところです。
 また、仏教の熱心な信者の方の中には、毘沙門天や吉祥天をはじめ、仏教の守護者たちを信仰の対象としてではなく、このように人間くさく描くことを、不快に思われた方がいるかもしれません。幸い、苦情をいただいたことはありませんが、万が一ご気分を害された場合はお赦しください。


 下に参考にしたサイトや書籍の名を挙げ、合わせて感謝を表したいと思いますが、運営者・著者の意図とはまったく違う資料の用い方をしている恐れがあることを、ここでお断りし、またお詫びします。


 参考文献:
   「真言陀羅尼」 坂内龍雄著 (平河出版社)

 参考サイト
   「おさるの日本刀豆知識」
   「宇和戦記」
   「氏姓から見た伊予の戦国」
   「日本結婚史」
   「炎の蜃気楼・密教用語解説集」

 これらの書籍・サイトで調べた真言については、資料集・作中で使われた「真言」というページを作り、一覧にしてまとめてあります。
 ほかにも、多くの仏教・密教・寺院・真言に関するサイト、また京都の旅行記サイトなどを参考にしました。
 タイトルロゴのカット素材は幻影素材工房からお借りした【金剛界曼陀羅 四印会】です。


 さて、このお話はここで完結です。続編の予定はまったくありません。が、もし番外編などのご希望がありましたら、キリバンリクエストや○周年イベントなどでリクエストいただければ、最大限ご希望に沿えるよう努力いたします。
 また、「完結記念アンケート」もただいま実施中です。少しでも多くの感想をお聞きして、次の作品への糧としたいと思っていますので、ご協力お願いいたします。送信ボタンを押すと、おまけエピローグへのパスワードがゲットできるようになっています。


     2006年4月    BUTAPENN  

【追記】 オムニバス中編「満賢の魔鏡」を完結、2009年6月からは、番外編の掌編シリーズ「あやかし秘抄」を連載しています。

よろしければ、、「完結記念アンケート」にお進みください。                                   


                 
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