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ユーウェンはベッドから抜け出し、テーブルのウィスキーの瓶に口をつけてあおった。 人を殺した日は気持ちが高ぶる。女をめちゃくちゃに抱いて酒をあびるように飲まないと、そのほてりは静まらない。 ホテルの割れた鏡に、ネオンに彩られた彼の裸身が写る。 黒い髪。濃い紺の瞳。19歳の均整のとれたたくましい身体。 だが実際に鏡に映るのは、金髪で薄い翡翠色の瞳をした痩せた14歳の少年だ。 彼はこの身体の人格のひとつでしかない。 ユーウェンは、ゆっくりと自分の胸を上から下へと、爪で掻き裂いた。 赤い血がうっすらと滲む。 この狭い肉体の檻から出たいと、どれだけ願ったことか。 (Episode 3 「ロザリオ」 より) |
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