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アローテは湯浴みから上がると、ほっそりした腕を伸ばしてタオルを取り、濡れた顔と長い黒髪のまとわりつく首筋を丁寧に押さえた。 ふと気づくと湯気に曇る楕円形の鏡に、自分の上半身が映っている。 彼女はまっすぐに鏡の中の少女と視線を合わせた。ふたりの指先が、各々のふくらんだ乳房におずおずと触れていく。 リュートがかつて微笑みながらからかった、まだ幼さから抜け切れない小さな胸。 きのうの夜、酒場の隅で彼の隣に寄り添うように座ってお酒を飲んでいた、あの女(ひと)の豊満な胸元が目に焼きついて離れない。 リュートは、あの人みたいな大人の女性でなければ見てくれないの? アローテの長い睫毛を震わせて、涙のしずくが一滴落ちた。 (外伝4 「初恋」より) 「鏡の前の裸」シリーズ第2弾(笑)。 まさかこれ……年齢制限しなくていいですよね? ね? |
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