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何かいつもと違う。空気が心地よく動いている。 これは、コーヒーの香り。 がばっと跳ね起きる。 くらくらと眩暈を起こしかけた私の目には、白いダイニングテーブルのそばに立っているセフィロトが見えた。 レースのカーテンが揺れる東側の窓から差し込む、透明な朝の光を背中に浴びて、私のお気に入りのカップにゆっくりとコーヒーを注いでいる。 それは泣きそうなくらい美しく、なつかしい光景だった。 (「セフィロトの樹の下で」第一章(5)) これは、私がこのお話を構想していたとき瞼の裏に浮かんでいた、もっとも書きたかったシーンのひとつです。 nyansukeさんはそんなことは全くご存じなかったのですが、見事にその場面を切り取って描いてくださいました。感激です。 |
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