猫の唄
作:気球人
 

百年

 吾輩ヲ 百年のちに 猫祭り
 吾輩ハ 百年経って 祭られる
 吾輩ハ 百年経ても 祀られず
 吾輩ハ 百周年の  祭り猫

---------------------------------------
元旦の夜

 ねこは
 こたつ で
 はつゆ め
 
  でめ 金!
 
 食ったニャー!!

---------------------------------------
餅を食べた吾輩猫

 わけもなく
 がをはって
 はくじつのもと
 いいとしこいて
 ハイカラおどり
 
  わんにのこるは
  がしょうもち
  はってたべれば
  いつのまに
  ハにくっついた
 
   ねつえんに
   こどもはわらい
   まいったな
   つめまでいたい
   りょうあしだち
 
 餅はもう嫌だ!

---------------------------------------
無聊の日々
 
 煩わしい浮き世に生まれ
 学校教師の家に飼われる
 初めて知る人間の生態を
 胃潰瘍の男を通して知る
 果たして彼は普通の人や
 根無し草のような美学者
 狐狸の言葉を持つ理学士
 出鱈目を真に受ける主人
 悪意無き奇人に恵まれて
 類例なき喜劇を写生する

---------------------------------------
ねこにこばん
 
 鼠を追って
 小判を見つける
 
 鼠が良いか
 小判が良いか
 
 鼠が云うに
 小判がお得
 
 鼠に云われて
 小判を齧る
 
 寝惚けるんじゃねえ
 この野郎
 
 鼠は旨い
 小判は不味い
 
 鼠をみれば
 小癪な奴め
 
 塒へ逃げて
 ここにはいない
 
 鼠の代わりに
 小判が残る
 
 寝酒!を飲んで
 こたつでふて寝

---------------------------------------
みいつけた
 
 ねこね!
 こねこね!
 ねこっこね!
 !ねこ!
  !ね
   !

---------------------------------------
こたつに眠る
 
 ねむれねむれわがむねに、と
 子守唄を歌いながら
 
 ねたこの可愛さをめでつつ
 こたつのこのこの幸せを祈る
 
 ねんねこしゃっしゃりませ、と
 子守唄を歌いながら
 
 ねこの可愛さをめでつつ
 こたつのこねこの幸せを祈る
 
 ねんころろん
 こんねろろん