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小中学生のみなさんへ
  


 「夜叉往来」を読みに来てくださって、ありがとうございます。
 このお話は、現代の高校を主な舞台とした、伝奇アクションものです。
 夜叉(やしゃ)という鬼のような存在が、人や霊に取り憑(つ)いて回りの人々を苦しめていて、それを主人公たちがふせぐというストーリーです。
 このお話には最初のほうから、イジメによって自殺する生徒や、主人公が同級生にイジメを受ける場面が出てきます。また、夜叉に憑かれた人が学校の中で、放火したり殺人をおかしたりする場面も出てきます。

 現実には、夜叉というものはこの世に存在しません。このお話に出てくる夜叉は、「人間の間違った心、弱い心」のことを象徴して表わしています。
 暴力とは、人をケガさせたり殺すことだけではありません。思いやりのないひどいことばも、無視することも、人の心を殺すことがあります。身近な人に暴力をふるう間違った弱い心を、このお話では「夜叉」として描いています。
 タイトルの「夜叉往来(おうらい)」には、町を歩いている人間すべてが、そして自分自身が、いつのまにか「夜叉」になってしまうという意味をこめています。
 人間はだれでも自分の中に、夜叉の心を持っています。
 そのことを互いに認め合って、世界中の人が、自分のそばにいる人を傷つけないで、ゆるしたり愛することのできる強い心の持ち主になれるようにと願って、このお話を書いています。

 ただ、私の書き方がヘタなせいで、そのことがうまく伝わらないかもしれません。殺人の場面をかっこいいと思う人や、作ったお話を本当のことだとカン違いするような若い人がこのお話を読んでしまったら、とても悲しいのです。
 また、今イジメを受けていたり受けたことのある人が、イジメの場面(靴やカバンを隠されたり、閉じこめられてしまう場面)を読むことで、自分の体験を思い出してショックを受けてしまうのも望んでいません。
 だから、そういう人はもう少し大人になってから、このお話を読みに来ていただけたらと思います。

 私も、暴力の場面を工夫して書くように努力します。もし、小中学生の人で意見や感想や、「もっとこうしてほしい」という考えがあったら、メールフォームに書いてお送りください。

 ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

 2004.6         BUTAPENN 



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