インビジブル・ラブ


金網


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Chapter 4-2



 被害者の女は、半開きになったベランダへの窓に顔を押しつけるようにして、座ったまま事切れていた。首には、どす黒い痕がついている。
 二十代半ばくらいの、まだ若い女だ。
「背後から襲ってくる犯人に抵抗しながら、逃げ道を求め、必死で窓を開けようとして、力尽きた……ってところかな」
 被害者のそばに屈みこんでいた医師とおぼしき初老の男が、まるで子どもに絵本を読んで聞かせるような調子で言った。
「やはり、扼殺(やくさつ)ですか、先生」
 愛海が、かすれた声でたずねた。
「それ、とっても刑事らしいセリフだね。小潟くん」
 医師は愛海のほうを向いて、ニヤリと笑った。
「現場でぶっ倒れ、ピンクの花柄パンティを見せてくれた新米さんとは、とても思えないよ」
「せ、先生ってば、そんな昔の話を!」
 そうか。この医師は、俺の死体の検案と解剖をしたという監察医だ。
 俺が死の直後、霊指の力で数メートル這ったことを見抜き、
『これだけの距離を這うために、死ぬ間際に悪魔に魂を売り渡しただろうな』
 と言ったことを、愛海から聞いている。
「死亡推定時刻は――そうだな。ゆうべはだいぶ冷え込んだから、ま、とりあえず午前三時から五時の間とでもしとこうかな」
 優秀な監察医らしいが、それにしても、今にも鼻歌を歌い出しそうな気楽な様子に、俺はカチンと来た。
 涙を浮かべてくれとは言わないが、少しは殺された人間に対して悼むふりをしてくれても、よさそうなものだ。
 医師が今調べているのは、殺された女の右腕だった。アルミサッシのレールの上にダラリと垂れて、最後の瞬間まで外へ伸ばそうとしていたことがうかがえる。
 必死で逃げようとしていたのだろう。死の間際の彼女の絶望と恐怖を思うと、俺はいたたまれない気持になった。殺されたときの記憶はなくしているが、俺も同じ苦痛を味わったはずなのだ。
 愛海の肩がぶるりと震えた。
 やはり二年近く刑事をやっていても、慣れないのだろうな。こういう場面は。
 そのとき突然、愛海は何かに引かれたように振り向いた。
 ヤバい、まさか俺の気配を感じ取ったのか。
 こんなところで「淳平!」などと叫ばれたら、たまったもんじゃない。
 俺はあわてて、姿を消すことにした。

 自分の霊体を消す練習は、かなり前から積んでいた。
 どうせ愛海にしか見えないのに、どうしてそんな練習が必要だったかって?
 実は、幽霊の姿が見えるヤツはたくさんいるのだ。フー公のような動物、一歳くらいまでの赤ん坊。もちろん霊感の強い人間も、少数だがいる。
 外を出歩くたびに、犬にはキャンキャン吼えられるし、赤ん坊にはギャーギャー泣かれる。まるで不審人物扱いだ。まあ実際に怪しい存在なのだから、しかたないが。
 霊力をうんと絞ることで俺の霊体は薄められ、真昼の月みたいに見えなくなる。実際その場にいても、誰にもわからずにすむのだ。まあ、平たく言えば、幽霊のマナーモードだな。
 だが、このことは愛海には絶対内緒だ。もしバレたら、こっそり風呂を覗くこともできなくな……。
 いけねえ、邪念は禁止だった。
 愛海は俺の方を振り向いたものの、不思議そうな顔をして、あたりに目をさまよわせている。
 ちょうどそのとき、彼女の視線の先にあったマンションの玄関から、数人の男が入ってきた。
 いわゆる、『母屋』。警視庁の捜査一課の面々だ。
 その先頭に立っていたのは、上等なグレーのスーツを着こなし、縁なしの眼鏡をかけて、エリートを絵に描いたような男だった。
 国家公務員二種合格の準キャリアというところだろう。そのうえ、一目見て気に食わない……つまり、俺より顔がいいということだ。
 ここに来る途中で、事件の概要は聞いていたのだろう。彼は所轄の刑事たちに会釈をし、室内にすばやく目を走らせると、最初に目の会った愛海に向き直って、ぶっきらぼうに尋ねた。
「小潟くん。犯人の侵入経路は?」
 愛海は、おたおたと答えた。
「は、はい、都築警部。ベランダを乗り越えてきたものと思われます」
「ベランダか」
 男は眉をひそめながら、白い手袋を取り出し、ベランダへ向かう。
 愛海もあわてて、後を追う。
 この様子から見ると、ふたりは初対面ではないな。
 以前にあった本庁と南原署の合同捜査か何かで、顔見知りなのだろう。
 それにしても三十そこそこにしか見えないのに、『警部』とは、さすが準キャリアだ。
 狭いベランダをすっぽりと覆った青いビニールシートが、風にはためいている。ふたりの所轄署の鑑識捜査員がかがみこんで、指紋採取を行なっていたが、都築の顔をちらりと見て、意外そうな顔をした。
 確かに、現場にこれほど早く本庁の刑事たちが来るとは、異例のことだ。
「ベランダの手すりに一箇所、こすられて埃が取れたところがありました。犯人はそこを乗り越え、窓を割って侵入したものと思われます」
 警部にうながされて、鑑識が説明する。
 なるほど、窓ガラスの一部が切り取られていた。犯人はそこから手を差し入れ、ロックをはずしたのだろう。
「しかし、乗り越えたと言っても」
 都築警部は、憂うつとも取れる低い声を出して、ベランダの手すりの向こうをのぞきこんだ。
「ここは、四階だぞ」
 地上十二メートルの高さから見下ろすと、すぐ下はJRの線路だった。線路との境目は、高いフェンスで仕切られている。
 目を転じると、すぐそばに隣のビルの壁が見えた。ふたつのビルの間は相当に狭いようだが、隣から飛び移れるほどの距離ではない。かと言って、下からよじ登れるような適当な足場もなさそうだ。
 ふと見ると、都築も俺と同じことを考えているようだった。
 ベランダの端からじっとマンションの壁を見上げた。そして壁を垂直に伝っている雨どいに目をこらしていたかと思うと、
「ちょっと来てくれ」
 鑑識班の連中に声をかけて、玄関に大股で向かう。
 その途中で、また目の合った愛海に言った。
「きみもだ」
「はいっ」
 愛海は、うれしそうに答えた。

 その日のうちに捜査本部が、南原署の中に設置された。
 捜査本部には、警視庁から捜査一課の刑事が何人か派遣されてくる。
 捜査本部長や副本部長など、そうそうたるお偉方は肩書きだけで、実際は、捜査一課の管理官が務める捜査主任が現場を仕切り、所轄署の刑事課長が副主任として、補佐することになっているらしい。
『南原本町三丁目OL殺害事件捜査本部』
 とヘタクソな文字を看板に大書して、悦に入っている加賀美係長も、しばらくは本庁の連中の接待で胃の痛む日々が続くだろう。
 本部長たちの挨拶がひととおり終わると、橋爪という名の中年の捜査主任が、事件概容についての報告を始めた。
「被害者の名は、本居沙希(もとおりさき)、26歳。出身はY県K市。平成○年にY大学を卒業後、上京してT電気工業に入社。本社の管理課計算センターに所属して現在に至る」
 あとは監察医の所見。
 被害者の死因は、頸部圧迫による窒息死。他に腕や顔などに、犯人と争ったときについたと見られるアザが数箇所ある。死亡推定時間は、午前四時前後。
 次は、鑑識班の報告。
 犯人は、マンションの屋上から壁をはう雨どいを伝って、ベランダに降りたものと見られる。雨どいに、犯人の靴でつけられたと見られる、わずかな凹みと泥を発見。くわしい鑑定を急いでいる。
 犯人はベランダの窓を割って室内に侵入。就寝中だった被害者をベッドで押さえ込み、首を絞めながら暴行しようとしたが、抵抗され殺害したと見られる。
 俺は大部屋の隅で浮きながら、イヤな気分だった。人がひとり殺された状況を聞くのは、気持の良いものではない。
 報告はさらに続いた。
 ベッドあるいは室内にて、数種類の毛髪あるいは指紋を採取。鑑定を急いでいる。
 近隣の住民への聞き込みで、ガラスが割れる音や不審な物音を聞いた者は、まだ見つかっていない。もともと線路のそばのマンションなので、少しくらいの物音は電車の通過音や振動にまぎれてしまう恐れがある――などというものだった。
 次に、あの都築警部がすっくと立った。
「先月18日に、M市で起こった婦女暴行殺害事件との関連を調査すべきだと考えます」
 その話によれば、M市で起こった事件も、屋上から雨どいを伝ってベランダへ降り、鍵をかけ忘れた窓から侵入。二十代の女性を首を絞めながら乱暴するとともに殺害、犯人は逃走している。
 さらに、線路のそばのマンションで、目撃者および物音を聞いた者がほとんどいないというのも、今回の事件との似通った点だった。
 これで、都築警部はじめ本庁の連中が、初動捜査にあれほど熱心に加わったこともうなずける。
 彼の報告を聞いていた加賀美係長をはじめとする南原署の刑事たちは、浮かない表情をしていた。
 なぜなら、M市の事件と同一犯だとすれば、二つの管内にまたがる事件ということになる。捜査の主導権を『母屋』に取られるのは、目に見えているからだ。

 報告が終わり、明朝までの打ち合わせを終えて、捜査本部はいったん散会となった。
 もちろん、現場付近の警戒、特に殺害時刻前後の周囲の聞き込みや検問は、夜を徹して続くことになる。
「おい、小潟」
 デスクに戻った加賀美係長が、禿げ上がった頭を撫でながら、もう片方の手でちょいちょいと愛海を呼んだ。
「おまえ、明日から都築警部と組んでくれな」
「な、な、な、なんで私がっ!」
 愛海は刑事部屋全体に響きわたるような悲鳴を上げた。
「本庁の警部さんなら、それ相応のベテランと組まないと。たとえば、木下さんとか!」
「と、とんでもない」
 木下警部補は、ぶるぶると両手を振った。
「わたしは、定年間近の身だよ。こういう願ってもないチャンスは、後進に譲らんとな」
「木下さんこそ、最後に一花咲かせてから、お散りになったらいかがです?」
「余計なお世話だ!」
 愛海が助けを求めるように部屋を見渡すと、他の刑事たちはそそくさと帰り支度を始めたり、机の書類に目を落とすふりをする。
 ははあ。ようやくわかった。
 今日の殺人現場に都築警部が入ってきたとき、所轄刑事たちが、みんな微妙に視線をそらしていた理由が。
 あのとき、まんまるの目を見開いて彼からそらさなかったのは、愛海だけだったのだ。
 今日の第一印象からすると、ヤツは頭が切れすぎる。そして、思ったことは実行せずには気がすまないタイプ。
 悪く言えば、スタンドプレー野郎だ。そういう存在は、所轄にとって厄介だ。
 その厄介な準キャリアを、加賀美は愛海に押しつけることで解決するつもりだ。
「小潟くん。わたしはきみの将来性を買ってるんだよ」
 悪代官みたいなテラテラした笑みを浮かべながら、課長は説得にかかった。
「この事件で手柄を立てれば、警視庁捜査一課への抜擢も夢じゃない」
「そうそう」と、もみ手の越後屋を演じているのは、木下警部補だ。
 課長はさらに身を乗り出して、声をひそめる。
「悪くても、イケメン警部のお嫁さんだ。都築くんは31歳、独身、しかも次男坊だぞ」
「バカにしないでください!」
 愛海は、真っ赤になって怒った。
「私、結婚相手を探すために刑事をやってるんじゃありません」
「そうだろ、そうだろう。きみは真面目な刑事だ。警視庁捜査一課。テレビの二時間ドラマの花形。あこがれないわけはないよなあ」
 ……加賀美係長、さすがに愛海の弱点を知っているな。
 愛海の脳内に二時間ドラマのエンディングテーマ曲が流れ始め、うっとりとしている間に、あっさりと事は決まってしまった。
 まったく、この女はどこまで単純なんだ。

 愛海はコンビニのビニール袋をぶらさげて、とぼとぼとワンルームマンションに帰ってきた。
 玄関に入ろうとすると、
「ふにゃーっ」
 玄関の植え込みの中から、情けない声をあげながら、フー公が飛び出してきたのだ。
 このデブ猫め。俺がいつまでも帰ってこないもんだから、公園から愛海のもとに舞い戻ってきたらしい。
「フニちゃん!」
 愛海は歓声を上げると、膝をついて、三毛猫を両手で抱きしめた。
 そして、きょろきょろとあたりを見回す。
「淳平は?」
 愛海はフー公を抱きかかえたまま、ダッシュでエレベータに向かった。
 廊下を走り、玄関の鍵をもどかしく鍵穴に差しこむ。
 開け放った扉の内側は、真っ暗だった。
「淳平……いるんでしょ?」
 小さな声が、かすかに震えていた。
 俺は答えない。
 とうとう愛海はため息を吐き出し、自分で電気のスイッチを入れた。
 そして、腹をすかせてニャーニャーうるさいフー公にネコ缶を開けて、水もやると、持っていたものを全部放り出して、コートのままソファに倒れこんだ。
「疲れた……」
 長い一日だった。俺にとっても。愛海にとっても。
 まるで、今朝のことが遠い昔のようだ。
 大ゲンカに始まった朝。フー公を連れての家出。『はざまの世界』での平安貴族との出会い。
 そのあいだに、南原署管内では大きな事件が起き、愛海の生活は、当面それ一色に塗りつぶされようとしている。
 俺は体を消したまま、黙って愛海と向き合っていた。
「あー。お風呂のスイッチ入れなきゃ」
 とろんとした目で、彼女は声に出してつぶやく。
 部屋はしんとしている。
 今度はもっと大きな声で、
「そんでもって、おいしいコーヒーが飲みたい。今日のコンビニ弁当は新製品で、『ビーフストロガノフうどん』だって」
 まるで聞こえよがしだ。俺がここにいることを半分期待してるんだろうな。
 思考回路がわかりやすくて、笑っちまう。
 こいつ、可愛すぎる。
 だが、俺はそれでも沈黙を守った。
 自分でも不思議だった。なぜ意地なんか張らないで、彼女の前にさっさと現われないのか。
 今朝のケンカを根に持っているわけでは、決してない。
 じゃあ、なぜ?
 もしかすると、俺はこのとき不安だったのかもしれないな。はじめて、愛海の近くに、都築警部という生身の男が出現したことに。
 そして、ヤツに「きみも来てくれ」と言われて、うれしそうに追いかけていった愛海に。
「ねえ、淳平」
 俺が考えにふけっているあいだに、愛海はソファから立ち上がった。
 天井のあたりをじっと見上げて、その睫毛には、いっぱい涙がたまっている。
 その涙を見て、俺は脳天に杭を打ち込まれたような気分だった。
「いないの、淳平……」
(いる。ここにいる)
 俺はこらえきれなくなり、もう少しで叫びだしそうだった。
 愛海を抱きしめたい。キスしたい。
 意地なんて、もうかなぐり捨ててやる。『邪念を捨てろ』なんて忠告、かまうもんか。
「淳平」
 あと、ひとこと言ってくれ、『戻ってきて』って。そしたら、俺はすぐに姿を見せてやるから。
「淳平のバカッ」
 ……へ?
「もう二度と帰ってくるな! いなくたって平気。部屋の電気もひとりでつけるし、朝もひとりで起きる。淳平なんか、もういらないもーん!」
 愛海はそう虚空に向かって勇ましく宣言すると、どたどたと足音荒く、風呂場のほうに行ってしまった。
(なんでだーっ)
 俺はあぜんとした。
 いったい、どうしてこうなるんだ。
 愛海のヤツ、さっき何て言った? 『淳平のバカ』だと? この俺さまに向かって『バカ』だと?
 ふん、もう知らねえ。毎日遅刻しようが、お肌がガビガビになろうが、もう知らないからな。
 ――結局、貴重な仲直りのチャンスを、俺はあっけなく、つぶしてしまったのだ。

 次の朝。愛海は三つの目覚まし時計をベッドに並べ、どうにかこうにか起き上がった。
 フー公の食事は忘れなかった。化粧もばっちりと決めた。
 その代わり、自分の朝食の時間はまったくなくなり、エネルギーバーを口に二本も加えて飛び出していった。
 玄関のロックは完全に忘れている。なんと無用心な。それでも刑事か。
 俺はため息をつきながら、鍵をかけてやった。

 朝の捜査会議を終え、班別に今日の行動を決めると、刑事たちはそれぞれの場所へと散って行った。
 捜査チームは、警視庁の刑事と、土地勘のある所轄署の刑事が、ひとりずつ組になることが慣例だ。
 愛海が自分の相棒であることを知ると、都築警部はむっつりと何も言わず、車の助手席に愛海を乗せた。これからふたりは、殺人現場のマンションへと向かうのだ。
 『地取り』と呼ばれる周辺への聞き込みが、彼らの担当だった。
 ほかにも、家族や友人、被害者の勤めていた会社の同僚などへの聴取に向かった組もある。
 当然、一度ですべての人の話を聞くわけには行かず、時間帯を変えて、何度も足を運ぶことになる。
「お待たせしました」
 不毛な数時間を費やした午後、棒になった足をひきずりながらコンビニに行った愛海は、車で待っていた都築警部に手巻き寿司を渡した。
 自分は助手席に座ると、カレーパンを頬張る。
 食べているあいだ、ふたりはずっと無言だ。
 猫舌の愛海は、熱い缶コーヒーをようやく飲み終わると、言った。
「これから、どうします?」
「そうだな」
「マンションの住民はひととおり話を聞きました。あとは、被害者の真上の503号室に住む坂井さんだけです。管理人によると、坂井さんは営業職で帰りが遅いそうなので、夜にもう一度来てみますか」
「小潟くん」
「はい」
「ずいぶん成長したな。一年前に初めて会ったときは、これでも刑事かとあきれたものだが」
 愛海のほうを見ずに、都築は口の中でぶっきらぼうに言った。
「あ、ありがとうございます」
 愛海は、いきなりほめられたことに戸惑いながら、空気の抜けたような声で答えた。
「川崎町の老女殺害事件でも、養女の背後にいるホシ一味を、ひとりで突き止めたそうだね」
「ええ、まあ」
「専従事件の結婚詐欺師殺害の捜査が進展しているのも、きみの活躍が大きいと聞く」
「てへ。それほどでもぉ」
 愛海は照れくさそうに頭をかいた。
 おい。見かけは謙遜だが、全身から『もっとほめて』オーラが出てるぞ。
「今回、きみと組むことになったと聞いて、うれしかった」
「え?」
 俺はドキッとした。こいつまさか、愛海を口説いてるのか?
「それだけ熱心な女性刑事となら、いい捜査ができる。まして、被害者が女性の事件では」
 都築警部は、車のドアを開けると、もう外に飛び出ていた。
「いっしょに来てくれ。きみの身体を使って、現場で調べたいことがある」
「え、ええっ?」





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