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ゲームノベル
これは、「EWEN」のキャラが登場するゲームノベルです。 |
ふと、空気が動いた感覚がした。 ディーターはソファからはねおきた。 しまった。 ちょっと横になるだけのつもりだったのに、いつのまにかうたたねをしてしまったらしい。 時計を見ると、円香が大学に出かけてから、まだ1時間弱というところだ。 「聖は、さっきおっぱい飲ませて寝かしつけたから、しばらくは起きひんと思うよ」 と、出掛けに彼女はそう言っていた。 「だいじょうぶ? ディーター。寝不足って顔してるよ」 「だいじょうぶだよ」 本当は、全然大丈夫ではなかった。丸2日まったく寝ていない。依頼されていたコンピュータプログラムが完成したのは、ようやく今朝の明け方だった。 とにかく今日は、円香がゼミを終えて帰って来る昼過ぎまで、聖のめんどうを見なければならない。気合を入れるつもりで熱いシャワーを浴びたのが逆効果で、かえって眠気を誘われてしまったようだ。 あわてて義足替わりの竹刀を手に取ると、聖の寝ている隣室のサークルベッドにたどり着く。 そして、信じられない光景を見た。 聖が、いない。 『落ち着くんだ』 ドイツ語で、自分に対して言い聞かせる。それくらい彼は動揺しているのだ。 「ひじり」 呼んで、耳をすませる。 何も聞こえない。 第一、聖がひとりでこのサークルベッドから降りて、どこかに行けるはずはない。 最近ようやく寝返りをうちだして、いつのまにか1メートルくらい離れたところにクルクル転がっていくことはあるが、まだつかまり立ちも、はいはいもできる月齢ではない。 とりあえず家中をくまなく探して回った。それこそトイレの中まで。 玄関まで来たとき、驚くべきことを発見した。 ドアの鍵が開いているのだ。 円香が出かけたとき、彼自身が確かに施錠したはずだ。 誰かが外から入ってきて、聖を連れ出した。そう結論せざるを得なかった。 葺石家の誰かだろうか? それとも、誘拐? ディーターは、次に取るべき行動の選択をせまられた。 さて、ディーターはどうしたでしょう? 葺石家に行って、尋ねてみる。 誰にも相談しないで、自分の力で解決する。 |
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