「ギャラクシー・シリーズ」をご愛読くださいまして、ありがとうございました。無事に完結を迎えることができたのも、読者の皆様の励ましと声援と感想のおかげです。
この「スペース・ロマンス」シリーズが生まれたのは、25000ヒットのキリバンを取ったお聖(OSEI)さんの「性格の悪い、俺様男の恋愛ものを」というキリリクからでした。彼女の作品の男性主人公「仁神堂」から名をいただいて、「三神」と名づけました。
忘れもしませんが、この短編を仕上げ、いざアップというときになった2003年2月1日、スペースシャトル「コロンビア」が大気圏突入時に空中分解、乗員7名全員が死亡するという悲惨な事故が起こりました。奇しくも、主人公のレイ・三神も幼少時に隕石衝突事故を経験したという描写があるために、アップをしばらく控えていたという記憶があります。
しかし、このお話はあくまで単発短編としてアップしたもので、私にはその続編を書くつもりはまったくありませんでした。
ところが、それから約一年後のサイト二周年に、とっとさんがYX35便のすばらしいCGを何枚も作成して、掌編とともに贈ってくださったのです。ギャラリーを作ってCGを飾り、私も短い掌編を書き足して、とっとさんとの合作短編ということにして発表しました。
それでもなお、シリーズ化ということはまったく考えていなかったのですが、サイト二周年のキャラ人気アンケートで、わずか二作にしか出演していない三神船長が第9位をゲットしたことで、宇宙海賊撃退という、ばりばりのスペースSF「ギャラクシー・ドリーム」を書き足しました。
さらに、ミルキー・ポピンズさんが、掲示板の昇進リクで、このお話へのリクエストを下さったのです。ミルキーさんがロマンスの書き手でいらっしゃることで、私も下手ながらもロマンス風を意識した、「ギャラクシー・ヴォヤージュ」を書かせていただきました。
こうなると、シリーズ化の流れはもう決まったようなものでした。
シップでのレイの活躍を描くスペース編と、地球に戻ったレイとユナ夫妻のロマンス編が交互に続くというスタイルも、そのときに決まりました。
ランドールという新キャラを得て、話全体の方向がほぼ見えてきたところに、悠さんが60万ヒットのキリリクで、「シェークスピア俳優志望の女性の登場」というアイディアを下さいました。ちょうどその頃、私の夫がオペラの声楽を習い始めて、夫婦でオペラにはまったこともあって、作品全体に、一気にドラマ仕立ての味付けがほどこされることになりました。
このように見て行くと、この作品は、私が書いたものというより、みなさんの励ましとアイディアの中から自然に生まれてきたものだと思えます。
シリーズ化してから終結までが、ずいぶん駆け足だったという気もしますが、航行中の船が遭遇するあらゆる災難(海賊、故障、乗っ取り、漂流)はもう書き尽くしたし、書きなれないロマンスシーンも、すっかりネタ切れになってしまいました。ここらを限界と見定め、ペンを置くことにしたいと思います。
もともとシリーズ化するつもりがなかったために、ストーリー展開上での、いろいろな綻びもありました。管制業務についての不勉強、木星の衛星イオを舞台としたこと(普通のSFなら、エウロパを選びますよねー)、その他宇宙についての知識の乏しさなどなど。はったりと度胸で、嘘八百を書いたところもあります。読者の皆様(特に第48代我輩さん)のご指摘に助けていただきながら、修正を加えたところもあります。本当にありがとうございました。
また例によって私の悪い癖ですが、わくわくする冒険への期待を持たせたエンドマークになってしまいました。
今のところ続編を書くつもりはありません――と言いながらも、木星までのギャラクシー・フロンティア号のフライトは、濃ゆいキャラたちが縦横無尽に活躍する、ネタの宝庫ですね(笑)。
ことによると、いつかレイとユナ以下32人のクルーたちが、また皆さんにお会いできる日が来るかもしれません。
【後記】 2009年3月、木星航行編「ギャラクシー・オデュッセイ」の連載を始めました。
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2008年7月 BUTAPENN
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