伯爵家の秘密/番外編

8. 伯爵の謀反



(1)

「若旦那さま!」
 門番の大声に、居館執事はあたふたと玄関を飛び出した。鶯色のコートに身を包んだこの屋敷の主、エドゥアール・ド・ラヴァレ伯爵が、大股でさっそうと前庭を歩いてくるところだった。
「お、おかえりなさい……」
「ただいま、エティエンヌ!」
 二十五歳の伯爵は、まるで少年のようにひとっ跳びにポーチに上がって、執事に抱きついた。「あー、会いたかったよ」
「まさか、今日いらっしゃるとは思ってもいませんでした。馬車はどうされたのです」
「ああ、通りの角で降りたんだ。ニレの並木があんまりきれいだから、ちょっと自分の足で歩いてみたくなった」
 それを聞いて、エティエンヌは心なしか蒼ざめ、背伸びして門の外を見た。
「ご不快な目に会われませんでした?」
「いや、なぜ?」
「いえ、それならよいのです」
 屋敷じゅうの使用人たちが急いで集まってきて、玄関ホールに整列した。
「だんなさまあ、おかえりなさいまし」
「ジャン=ジャック、久しぶりだな」
 ひとりひとりに声をかけ、奥に進む。「一年も留守にして、悪かった」
 エティエンヌは、主人が脱ぎ捨てたコートを受け取り、ジレを受け取り、手袋を受け取りながら、追いかける。「春に一度、お越しになりました。どうしてもはずせない大臣会議があったとかで」
「でも、ここには立ち寄っただけで、泊まらなかった」
 シャツとキュロットの軽装になり、中庭への両開きの扉を開け放ったとたん、バラのすばらしい芳香が彼を包んだ。
「すげえ」
 レンガ造りの二階建ての居館に囲まれた中庭は、秋の花々が咲きそろっていた。クレマチスの白い花があずまやの屋根から垂れ下がり、中央の花壇には、豪奢なバラが、ニワトコの木々の足元には、ヒナゲシやヒャクニチソウが、一目の覚めるような色で揺れている。
 王牢の下男だったジャン=ジャックは、園丁としての才能もあったらしく、彼が丹精こめた花壇は、季節おりおりの花が絶えない。
「ああ、きれいだ」
 庭を一回りしたエドゥアールは、あずまやの椅子を花壇に向けて、居心地良く腰を落ち着けた。
 エティエンヌがお茶を調えて戻ってくると、主人の背後には、いつ現われたのか、羽根つきの帽子をかぶった黒ずくめの騎士が立っていた。
「ユベールさま。先週ご嫡男がお誕生あそばしたとか。おめでとう存じます」
 エティエンヌは、ティーセットをテーブルに置くと、あらたまってお辞儀した。
「ありがとうございます」
 ユベールは、少し照れくさげな笑みを浮かべて、頭を下げた。
「お名前は」
「命名式はまだですが、エクトルと名づけようと思っています」
「……そうですか。まだお生まれになって一週間経っていないのですね」
「領地に引きこもって、きっちり十か月後には赤ん坊が生まれてるんだもんな。いったいどんな芸当を使ったんだ」
 と主がぼやくと、
「人生経験の差ですよ」
 と近侍は切り返す。
「女性経験、の間違いじゃないのか」
「心外な」
 その珍妙なやりとりに笑い声をこぼしながら、執事は心をこめたお茶をカップに注いで、主の前に置いた。
「最低限のおもてなししかできませんが、お赦しください。使いを出しましたので、暇を出した使用人たちの何人かは今夜にも手伝いに来てくれると存じます」
 エドゥアールは、うなずいた。伯爵が領地にこもっていた一年足らずのあいだ、王都の居館は、人数を減らして切り盛りされていた。エティエンヌの徹底した節約術のおかげで、かなりの経費が切り詰められたはずだ。
 だからと言って、手が抜かれていたわけではない。突然の訪問なのに、居館の床はすみずみまで掃き清められ、銀のティーセットは美しく磨かれていた。
「美味い」
 伯爵は芳醇な香りの紅茶を味わうと、満ち足りた様子で、ゆったりと椅子に背を預けた。
「エティエンヌ。俺、おまえの『最低限』が、心地よくて好きだよ。質素で、さりげなく、けど配慮にあふれてる」
「おそれいります」
 執事は、恥ずかしそうに頭を垂れた。
「誰も訪ねて来ねえと、仕事に張り合いがなくなるんじゃないかと心配してた」
「いえ、モンターニュ子爵ご夫妻も、この館の寂しさを気づかってくださり、ときどき、お茶を飲みにいらしてくださいました」
「そうか。親父さまとおふくろさまも、この庭が好きだしな」
「リンド侯爵さまも、奥方さまとお嬢さまとごいっしょに何度か」
「俺がいるときより忙しいじゃねえか!」
 エドゥアールは、大笑いした。「よかった。家はにぎやかなほうが楽しいもんな」
「はい」
 にこにこと答える日焼けした執事に、王牢にいたころの青白く不健康そうな面影はない。
「奥方さまとジョエルさまはお元気でいらっしゃいますか?」
「ああ、今回は残念ながら、おとなしく留守番だ」
「それが、良うございます。おふたかたが今、王都にいらっしゃることはお勧めしません」
 三人は笑顔を消し、視線を交わらせた。
「報告は聞いたよ」
 エドゥアールは、憂鬱げに言った。「王都のあちこちで、デモ行進が頻発しているそうだな」
「看板や旗を手に手に練り歩き、大声で演説しては、気勢を揚げています」
「主謀者は誰かわかるか」
「名前までは。ただ、先頭の何人かは平民会議のバッジを胸につけていました」
「平民会の議員か」
「しかも、必ず、このニレの木通りを通るのです。ほとんど毎日と言ってよいくらい」
 エティエンヌは、少しのあいだ言いよどんだ。「もしかして、わたしの考えすぎかもしれませんが――やつらは、ラヴァレ伯爵家を活動の標的にしているのではありませんか?」


 エドゥアールが王宮の玄関の間に入ると、儀仗兵たちがかちりと槍を鳴らして最敬礼し、侍従たちを従えた侍従長が仰々しく膝を屈めて出迎えた。
 王家の血を引く伯爵に対して、王宮の最大級の儀礼だ。
「エドゥアール・ファイエンタール・ド・ラヴァレ伯爵さま。お待ちしておりました」
「ギヨーム。久しぶりだな。国王陛下ご夫妻とシャルル殿下はお元気か」
「みなさま、お健やかにてあられます。ただ、あなたがちっともおいでにならないと、暇さえあれば愚痴っておられますが」
「あはは。俺が庭にいりびたると、ぶつぶつ文句言うくせに」
「このところ、心配の種が尽きないのです。どうか慰めてさしあげてください」
 それを聞いてエドゥアールは、ほころばせていた唇を引き結んだ。
「わかった。今日はセルジュにまず大事な話がある。そのあとで、会いに行くよ」
「お願いいたします」
 宮殿に久しぶりに顔を見せた伯爵に、周囲から驚きのまなざしが一斉に注がれた。居合わせた貴族たちは丁重に頭を垂れるものの、中にはそそくさと逃げていく者もいた。
「なるほど、できれば関わりたくないっていう雰囲気が、ありありだなあ」
 エドゥアールは楽しげな水色の瞳をあちこちに向け、王宮の様子をつぶさに観察しながら、回廊を通り抜けた。
 首席大臣リンド侯セルジュ・ダルフォンスの執務室の重厚な扉を、タンゴの鼻歌に乗せて叩いていると、ようやく内側から開けられた。
「うるさい」
 執務机の奥から、セルジュはいつもにまして無情に言い放った。「貴様が帰ってくるとたちまち、王宮が場末の酒場のようにやかましくなる。少しは鷹揚や落ち着きというものを学べんのか」
「何それ。俺の辞書には、そんな言葉ない」
 エドゥアールは、愛用のソファにゆったりとくつろいだ。「ああ、なつかしい。この座り心地」
「一生、領地から出てこないつもりかと思ったぞ」
「美しいふるさとから離れがたくてね。地獄の番人のような同僚の顔を思い浮かべただけで、胃がしくしくと」
「誰が地獄の……」
 セルジュは椅子から立ち上がりかけたが、思い直した。
「カスティエ士爵には、跡継ぎの男子が誕生したそうだな。おめでとうと伝えておいてくれ」
「ああ、ありがと」
「それに比べ、きさまは何をしていた。奥方とむつまじく過ごすために国に帰ったのではなかったのか。懐妊の噂は聞こえてこないが」
「子どもは天からの授かりものなんだよ。おまえこそ、ニコルちゃんを一人っ子にしていいのか」
「この世に、稀なる宝石はふたつと必要ない」
「はいはい」
 エドゥアールはゆったりと背を預け、天井のシャンデリヤを仰いだ。
 他愛のない冗談の応酬の中で、盟友たちは、それぞれの話の本題に入る糸口を探しているのだ。
「実は、ずっと引きこもってたわけじゃないんだ」
 とうとう、伯爵のほうから口火が切られた。
「折りを見て、クライン国内のあちこちを巡っていた。素性がばれないように、ミルドレッドやジョエルにも協力してもらって、旅の商人一家ってふれこみで」
「そのうち、商売が面白くて、三人で夢中になったというオチだろう」
「あ、なんでわかるかな。いやあ、街角で軽く店開きしたら、売れて売れて、ついでに店まで建てて人に貸してきた」
 どうせそんなところだ、とセルジュは嘆息した。これほど多才な男には、落ち着いて子づくりに勤しむ暇などないだろう。
「いろいろな地方を旅しながら、わかったことがある」
 伯爵の声音が、急に曇った。「俺はこれまで、クラインは豊かな国になったと思い込んでいた。道路網は整備したし、農業政策にも力を入れた。飢えている国民なんて、もういないと思い込んでた」
   天井を仰いだまま、言葉がとぎれる。「でも、それは間違いだった」
 セルジュは、黙っている。
「もちろん、すべてじゃない。よく治められ、民が幸福に暮らしている領地もある。だが反対に、農民から収獲をむしりとり、私腹を肥やすだけの領主もいた。そういうところでは、農民は耕作地から逃げ出し、町の貧民窟に流れ込む」
 エドゥアールは、身を起こし、ぼんやりと視線をさまよわせた。「その実態は、国への報告には上がってこない。だから、今まで、どこからも救いの手は差し伸べられていなかった」
 セルジュは、小さなため息を吐いた。「そうだな。わたしの勘では、貴族院に提出される報告書のおよそ二割が、うわつらの体裁だけを整えたまがいものだ」
「……そんなにか」
「クライン全土で、貴族が所持する荘園は、およそ千五百。中央の改革が進み、クライン国内の経済が発展するにつれて、貴族間の格差も広がる一方だ。公爵領や侯爵領ならば、監視の目も届くが、下級貴族の領地は王都から遠く、収穫量も少ない。全部の不正をいちいち細かく調べあげるのは不可能だ」
 エドゥアールは、ゆっくりと立ち上がった。「それでも、何か手を打たなきゃ」
 セルジュは、冷たい口調で言った。「何もしていないわけではない。春の大臣会議で決まった福祉政策は、着実に進行している。数年前に比べて、貧にあえぐ者の数は確実に減っている。なにもかも、すぐには解決しない。きさまは焦り過ぎだ」
「現に飢えている者を自分の目で見たら、そんな悠長なことは言ってられない」
「それでは、どうすれば、その数をゼロにできる。すべての国民が豊かな国など、この地上のどこにも存在しない」
 ふたりは、押し黙る。
「もっといい解決策はないのか」
 エドゥアールは、金色の髪をわしわしとかきむしった。「小さな荘園を合併統合するのは? 農地を集約すれば効率化が進み、面積あたりの生産性も向上する」
 セルジュは首を振った。「貴族の所領は、『恩恵』で守られている。手をつけることはご法度だ」
「なら、王国法を変える」
「それは、クライン王国を、リオニアのような共和国にするということか?」
 顔を上げたエドゥアールは、首席大臣の険しい視線にぶちあたった。
「この数週間、王都のあちこちで無秩序な騒ぎが起きている。平民会議の急進派の一部が、『貴族打倒』と『共和主義革命』を叫んでいるそうだ。そして、そいつらを陰で焚きつけているのが、ラヴァレ伯爵だという噂も流れ始めた」
「そんな……噂が?」
 セルジュは、蒼い目を眇めてにらんだ。「本当は、もう少しラヴァレ領に引きこもっていてほしかったのだがな。今、おまえが王都にいては、荒唐無稽な噂が真実味を帯びてしまう」
 エドゥアールは「ああ」と得心した。「それでおまえは、俺の居館に入りびたってたんだな。貴族の中の貴族、アルフォンス一族との強いつながりを見せつけるために」
「実に不本意だが、ニコルが、ラヴァレ家の中庭にある噴水を気に入ってな。草の舟を浮かべるのが、大好きなのだ」
「わ、それ、俺が教えてやったんだぜ。草笛の鳴らし方も」
「よくも下賤の遊びをニコルに教えたな。これからは、きさまのそばには、絶対に近寄らせぬ」
 セルジュは、唇をゆるめた。「だが、……よくぞ、帰ってきてくれた。わたしひとりでは、そろそろ限界だった」
 そんな優しい表情をするリンド侯爵を、おそらく他の者は知らない。
 エドゥアールは駆け寄って、最愛の友を抱きしめた。「長いあいだ留守にして、ごめんな」


 侯爵の執務室を出ると、回廊の柱の陰に、近侍の騎士が控えていた。
「すみません」
 ユベールはうなだれ、低く言った。「ここまで事態が進む前に、もう少し早く王都に戻るべきでした」
「しかたないさ。領地の仕事が忙しくて、なかなか離れられなかったんだ」
「いいえ。あなたが出発を遅らせたのは、わたしのためでしょう」
 ソニアの出産を夫がそばで見守っていられるよう、心やさしき主人は、予定をぎりぎりまで延ばしていたのだ。
 もし仮にエドゥアールが王都に戻ると言えば、ユベールは臨月の妻をひとり残してでも、付き従っただろう。そういう厳しい生き方を、騎士はおのれに課している。
「ユベール、命が生まれることほど、この世に尊いことはない」
 エドゥアールは答えた。それは、おおらかな中にも厳しさをはらんだ声だった。「父親になるって責任は、たぶん何よりも重い。俺はおまえに、それをちゃんと見てほしかった。だって、おまえはときどき、すごく自分の命を粗末に扱うからさ」
「……若さま」
 主人は、ぽんと騎士の背中を叩いた。「さあ、覚悟はいいか。ご機嫌ななめのフレデリクちゃんに会いに行くぞ」


 エドゥアールが、国政にかかわるようになって五年。その歳月のあいだに成し遂げた最も大きな改革は、『平民会議』の創設だった。
 王都ナブラや、ポルタンスのような自由都市、そして、各州からの代表が選挙によって選ばれ、国政に直接かかわることができるようにしたのだ。
 もっとも、『被選挙人は所定の税金を納めている者』という条項がついているため、選ばれるのはほとんどが商人や富農の階層だ。本当の意味での全国民の代表ではない。
 加えて、権限も大幅に弱められた。平民会議の決議は、貴族会議の意向次第で、いとも簡単にひっくり返せる。
 それでも、それは大きな一歩だった。貴族以外の被征服民族が初めて、公に自分の意見を言える場だと、クライン国民はおおいに喜んだ。だが、この数年、その喜びもしぼんでしまっている。
『何も変わらないではないか。貴族は相変わらず威張りくさって、平民は虐げられているままではないか』
 平民会議の内部も、いくつかの派閥に分裂することになった。穏健派は貴族の顔色をうかがい、急進派は自分たちの権利を求めて、デモ行進や街頭演説、ビラ貼りなどの宣伝活動をするようになった。
 貴族たちはそれを見て、リオニアのような共和主義革命が今にも起こるのではないかと恐れ始めている。
 そして、彼らに担ぎ出される可能性がもっとも高い人物――エドゥアール・ド・ラヴァレ伯爵を恐れ、彼が王宮を裏切り、彼らに加担するのではないかという噂が、まことしやかに囁かれ始めたのだ。
 半年ぶりに会うフレデリク三世は、侍従長が言うほど、弱っているようには見えなかった。活力にあふれ、テレーズ王妃とシャルル王子をこよなく愛し、甥に対しては相変わらずの毒舌だった。
 けれど、やはりどこかで無理をしているのだろう。貴族たちに突き上げられ、多くの難題をかかえている疲れは、ふとした仕草に見え隠れしている。
 王庭で温かいときを過ごしたあと、エドゥアールは宮殿を辞した。
 久しぶりの王都を堪能しながら、オレンジ色の夕景の中を歩いていると、表通りのあちこちの壁にビラが貼ってあるのが見えた。こんなに王宮の近くまで、と驚くほどだ。
『不公平税制の廃止』
『パンを。ミルクを』
 などという、そこそこ穏当なものから、
『打倒! 貴族』
 という、どぎつい文言まで。
 エドゥアールは、それを見て複雑な気分に陥った。困ったことだと憂える反面、心のどこかで喜んでもいる。
 文盲率を減らし、すべての国民が文字によって互いの意見を述べ合えるようになることが、彼の目標だった。街頭ビラは、そういう社会が少しずつ実現している証しなのだ。
「けど、もうちっと、きれいな字で書いてほしいよなあ」
 デモ行進も、暴力沙汰にはならぬように秩序が保たれていると言う。指導者によって、きちんと統制が取れているのだろう。
 しかし、そんな穏健な活動でさえも、セルジュには無秩序な騒乱と映るのだ。貴族と平民のあいだの溝は、果てしなく大きい。
「主催しているのは、どんなやつなんだろうな」
 有能で、国を憂う真摯な心を持つ人物であることは間違いない。
 いつか、そいつと会ってみたい。
 ニレの並木道をぶらぶら歩き、ラヴァレ伯爵家居館の緑色の屋根が見えてきたとき、ひとりの黒髪の男が行く手に立ちふさがった。
 ユベールが音もなくエドゥアールの前に進み出、剣の柄に手をかけた。
「あなたが、ラヴァレ伯爵ですか」
 男は両腕を広げ、朗々とした声で言った。その声はまだ少年と言ってよいほど、若々しかった。
「僕は、平民会議の議員、ロナン・デュシュマンと言います」
 エドゥアールはユベールの腕に触れて、わきに退かせた。男が両腕を広げているのは、武器を持っていないという証拠だ。
「エドゥアール・ド・ラヴァレ伯爵だ」
 数歩近づき、男と対峙する位置に立ち止まる。「俺に何か用か?」
「あなたと話をしたいと思って、待っていました」
「いつでも聞くよ。なんだい?」
 若者は両足をふんばり、大きく息を吸い込んだ。その瞳は夕闇の中で、炉の熾火のように燃えていた。
 腕を伸ばし、エドゥアールに人差し指を突きつける。
「ラヴァレ伯爵。あなたは、偽善者だ!」
 


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