ゲーム編



 振り返ると、私を心配そうに見つめる両親が立っていた。

 愛する夫の樹を失った私は、彼の後を追う決意を胸に秘めたまま、明るくふるまう。
 ある日、夫の同僚でロボット工学博士の犬槙魁人が、私を「国立応用科学研究所」に連れて行く。
 そこで私の見たものは、人間と寸分違わない姿をしたロボットだった。
 人工知能が経験によって成長を続けるという、「自律変革型ロボット、AR8型セフィロト」。
 樹が残り少ない自分の命を知りながら、このロボットにどれほどの心血をそそいでいたか。
 死んでいく自分が妻に遺せるたったひとつのものとして、全生命を傾けてセフィロトを創ったことを犬槙さんから聞かされた私は、生きる気力を取り戻す。

 三ヶ月後、再会したセフィロトは人間と全く変わらないまでに成長した様で私を驚かせた。
 不思議なことに、彼はどこか樹に似た雰囲気を漂わせていた。コーヒーの味も樹の淹れてくれたものにそっくりだった。
 犬槙さんは、最終調整の終わったセフィロトを、これからは私が預かって育ててくれないかと言う。


 迷ったすえ、胡桃は…… 
  セフィロトはやはり犬槙博士に預ける。
  言われたとおり、自分が預かる。




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