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夏休みスペシャル
3000マイルアメリカ西部縦断の旅(2)




ブライス・キャニオン国立公園

ピンクの奇岩城、ブライス・キャニオン国立公園。(写真は一部加工。このとき私(左)は今より5キロ太っていた…)
車を降りたとたん、風の音がゴウッと聞こえる。
涼しい。ここは8千フィート級の高原なのだ。ザイオンの暑さがウソのようだ。
ピンクの奇岩城が眼下に異様を誇っている。まるで、ガウディの作になる建築物。
見れば見るほど、ここは地球ではなく、火星だと思えてくる。
下に下りる道があったので、さっそく急勾配のつづれ折りの坂に挑戦した。人なつこいリスがかわいらしかった。

恐ろしい事故を目撃する

公園のピクニックエリアで、カップラーメンを食べる。
予定を3時間オーバーしてしまっている。国道89号線に戻り、道を急ぐ。
単調な牧草地帯を何時間も走るのは、遅れがある焦りからか、辛い。
途中、マクドナルドで小休止をした。
そこを出たとたん、すごい事故を見てしまった。
超弩級コンボイトラックのうしろに、猛スピードで中型トレーラーが激突したらしい。
トレーラーはひしゃげて、長さがもとの五分の一くらいになっていた。
わずか30センチほどになってしまった運転席から、紙のように白い男の顔が見えた。
いねむり運転だろうか。2日間無理をして運転してきたパパのことを思い、冷や汗が出た。
フリーウェイでの事故は最悪の結果を生む。自動車旅行は便利な反面、決して注意をおこたってはならないのだ。

ソルトレークシティ到着

大幅に遅れて、7時前ホテルにチェックイン。
そのためか、部屋が別の階になってしまった。
大人4人と子どもふたりの今回の旅行はすべて、ダブルベッドルームを二部屋予約しているのだ。
シャワーを浴び、Troley Squareというところのショッピングセンターで、中華レストランに入る。
カフェバーのような高椅子。壁には日本の鯉のぼりが飾ってあるという、何ともミスマッチな店だ。
子どもたちはゲームコーナーを見つけ、ここにずっといたいと言い出した。
こいつらには、雄大な景色よりもゲーセンのほうが魅力なのだろう。


6月25日  Salt Lake City 〜 Yellowstone National Park

子どもたちがおじいちゃんたちの部屋で寝てしまったので、私たち夫婦は夜遅くまで、有料テレビで「ホームアローン」を見ていた。眠い。
朝食はホテルのビュッフェ。
9時にチェックアウト。モルモン教の寺院を見学に行く。
ラッキーなことに、礼拝堂に入ると、ちょうどパイプオルガンの練習をしており、世界で一番すばらしいといわれるパイプオルガンの音色に大感激!
10時出発。ソルトレークに行きたかったのだが、ガソリンスタンドで聞いてもわからず、結局うろうろした挙句、断念。
この時間のロスが、今日のちのちまで響いてくることになった。


モルモン教の総本山。パイプオルガンがすばらしい。
アイダホ州からワイオミング州へ

ほとんど一直線の道。途中少しだけアイダホ州の端をかすめた。
ピクニックエリアでサンドイッチを作って、昼食。そばの、アイダホ最初の鉄道線路跡という土手(ただの土手である)にのぼって遊んだ。
あたりはすっかり紫の山々が行く手に広がる大パノラマ。
すこし曇りはじめた。
さっきの時間のロスが尾を引き、思うように進んだ気がしない。
虫害でバタバタ木が倒れる森林地帯を抜け、いよいよ天候は悪化して、暗雲たちこめる空に雷が時折ひらめく。

バイソン。いざ写真に取ろうとするとむずかしい。
夕方5時前、ようやくワイオミング州のYellowstone National Park(イエローストーン国立公園)の玄関口、ウェストイエローストーンに到着。
なんともアメリカらしい田舎町。
だが一軒のスーパーマーケットに入ってみると、なんと日本語の張り紙がある。
オリエンタルフードコーナーもあり、しょうゆやラーメンも売っている。これにはおどろいた。
フライパンや野菜、くだものを買った。

公園内に入ると、さっそくバイソン(野牛)などの野生動物が見えたが、雨のせいか景観は今ひとつ。
前年大きな山火事があり、かなりの森が焼失してしまった。焼け焦げた木々の、黒い骨のような立ち姿が痛々しい。

停電パニック

みぞれまで降りはじめた頃Canyon Villageに到着。
ホテルCanyon Lodgeは、ちいさなログキャビンの集合体。これから3日間、ここのキャビン一軒まるごとが私たち家族のものだ。
感激にひたる間もなく、さっそくお米をとぎ、レトルトカレーを暖め、サラダの支度にかかる。
パパは、たまっていた洗濯物をもって、コインランドリーへ。
ところがなんと、突然停電。
飛んで帰ってきたパパの報告によると、村全体が真っ暗らしい。雷が遠くの送電線に落ちたせいだとか。
脱水中だった洗濯物も、ぼとぼとのまま持ち帰り。
でも、ごはんはほぼ炊けていたし、カセットコンロも影響なし。真っ暗な中ではあったが、カレーとサラダをおいしくいただいた。
あとで聞くと、村唯一のカフェテリアはレジも作動せず、大混乱だったそうな。
自炊にしたことに感謝。疲れたが、幸運で一日をしめくくった無灯の夜は更けた。
6月26日 Yellowstone National Park滞在

今日はのっけから、ハプニング。
まず朝、パパが長男を肩車し損ね、肩のすじを痛めてしまった。かなり痛いようす。
3日間ぶっつづけに運転してきた、その疲れがたまっていたのだろう。ごめんね、パパ。無謀な計画を立てて。
ともかくも、公園内の観光に出発しようと、お弁当を作って出発。
時計まわりに、Old Faithful Geyser(オールド・フェイスフル間欠泉)に向かった。
途中ずいぶんたくさんのバイソンを見た。観光客は見飽きているのだろう。
たまに路肩で人だかりがしていると思ったら、エルク(カモシカ)が歩いていた。

化石になった木々。月にいるような景色。
(3)につづく


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