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ゲームノベル
ひじり失踪事件」


 バス道まで出たところで、向こうから単車に乗ってやってくる柏葉恒輝と会った。
「よ、ディーター、どうしたんや、神妙な顔して」
 片足を舗道につき、ヘルメットのひさしを上げると、恒輝はにんまり笑った。
 ディーターの今までの人生に、彼のような関わり方をしてくる人間は少なかった。
 いつのまにか、人生の節目にそばにいる人間。互いを飾らず、ホンネでつきあえる人間。
 家族でも、ライバルでもない。
 親友というものなのかもしれない。恒輝のことをそんなふうに思うようになったのは、つい最近のことだ。
「どこ行くんや」
「円香の大学へ」
「なんで? また忘れもんか? 聖は誰かに預けたんか?」
 彼はディーターの表情を読み、いぶかしげに眉をひそめた。
「どないした。なんだか……今日のおまえ、おかしいで」


 話すべきだろうか。
 聖が失踪したことを打ち明け、協力してもらうべきなのだろうか。
 彼を巻き込むかもしれない危険をおかしても。




言う
言わない

     
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