ゲーム編



 私はセフィロトに、樹との思い出を話すことにした。

 大学4年のとき、教育実習のため【すずかけの家】で働き始めた私は、古洞樹という園の出身者と出会う。
 はじめはその冷たく人を寄せ付けない態度に反発を感じていたが、園児の怪我をきっかけに彼の本当の優しさに触れる。
 はじめてのデート。
 そこで私は、彼が遺伝子操作のため高度な知能と引き換えに極端に短命を強いられた人々、「第12ロット世代」に属することを知り、動揺した。
 私のことを偽善者だと拒絶する樹に、私は逆にどんどん魅かれていく。
 むりやりの押しかけデートを重ねながら、少しずつ心を通わせ始めた私たち。
 でも、彼が私を愛し始めたゆえに死を恐れて苦悩しているのを知って、別れを覚悟した。
 しかし樹は、AR8型ロボット・セフィロトの制作に自分の人生のすべてを託することを決意して、ふたりは結ばれる。
 幸せな新婚生活。
 だが、第12ロット世代に与えられた過酷な運命は、決して樹をみのがしてはくれなかった。
 私は樹が逝ってしまった夜、思い出のオルゴールを床に叩きつける。

 その話を聞いたセフィロトは私を抱きしめ、「胡桃、ごめん」とつぶやいた。

第5章 「永久(とわ)なる存在」

 セフィロトは、クラシック音楽に興味を持ち始めた。
 それ以外にも、外側に向かっていろいろなことに関心を持っている様子だ。
 毎日の公園での散歩の途中、彼は三人連れに出会う。
 頑固なおじいさんと車椅子の優しいおばあさん、そしてメタリックな外装のCA4型介護ロボット。
 おじいさんに「仕事もしないでぶらぶらして」と怒られたセフィは、介護ロボットの真似をしようとして失敗し、すっかり自信をなくしてしまう。
 その日から、力をつけるための猛特訓が始まった。
 犬槙さんに相談すると、セフィロトの初期調整の頃のビデオを見せてくれた。
 そこで知ったことは、彼には脅威的な力が秘められていること。
 私はその力が悪の手に渡ることを想像して、恐怖におびえる。

 セフィロトの本当の力を知った胡桃は……


    恐くなり、興味を他に向けさせようとする。
    セフィロトを信じて、励ます。 
 



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