05. きつね味
森の中に仕掛けておいた罠に、狐がかかった。
「これで、カトリーネに上等のマントを作ってやれる」
俺は前足と後ろ足を縛って肩にかつぎ、意気揚々と帰途についた。
「ついでに狐味のシチューというのも、悪くはないな」
扉のところまで迎えに出てきた妻が、狐を見て、たちまち破顔する。
「まあ、可愛い」
「か、可愛い?」
「ベーコンの切れ端は食べるかしら」
妻はさっそく狐にエサをやり、使い古しのベルトで首輪を作り、せっせと寝床にワラを敷いてやった。
その狐は、今でも家にいる。すっかり妻になついて、顔を見ると鼻先をすりつけて、愛嬌をふりまいている。俺は、実に面白くない。
まあ、いい。もっとたらふく食べさせ太らせてから、毛皮を剥いでシチューにするのも一興だ。
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