歌手の森昌子さんが、緊急入院をしたという報道がありました。貧血と不眠症ということで、まもなく退院されたそうですが、ニュースの中で、「更年期障害の治療のためのホルモン剤が合わなかったのが原因ではないか」ということを言っていました。
実は彼女と私は1歳しか年が違いません。更年期障害というのは、ちょうどこの年代から突入していくのだなとあらためて思わされました。これから迎える閉経という人生の峠を前にして、ただ漠然とした不安を抱いているだけで、具体的にどんな備えをしたらよいのか、わかっていません。
更年期障害の症状は実にさまざまです。私の友人にも、かっと顔がほてる、急に心臓がどきどきするという人がいます。起き上がれない、鬱状態になるという重症のものもあれば、ほとんど知らないうちにその時期を過ぎてしまう幸運な人もいます。
個人差が大きいだけに、この病気はなかなか今まで理解されずに来たのではないでしょうか。
そもそも、一家の主婦というのは病気をしないものと、家族は決め付けているふしがあります。「しんどい。つらい」と自己申告しても、「あ、そう。だいじょうぶ?」で終わり。下手をすると、「またあ?」と狼少年扱いをされかねません。
寝ていればいるだけ家事はたまる一方なので、這うようにして台所に立ったりすると、もうそれだけで全快したと思われてしまう。
病気そのものの辛さに、理解されないという辛さが加わってしまい、悪循環に陥るのです。
人間は、自分の辛さが理解されたと心から感じるとき、癒しへの戸口に立てるものではないでしょうか。
森昌子さんには悪いのですが、この報道がきっかけで、「更年期障害とは大変な病気なんだなあ」とあちこちの家庭で言い交わされるようになれば、彼女の味わった苦しみには大きな意味があったと思えるのです。