小説サイトオーナーの皆様は、どこで小説のネタを仕入れていらっしゃるんでしょうか?
私はご存じの通り、長い間専業主婦をしているため、住んでいる世界が狭いんです。勤めていた期間も短いので、オフィスものは書けません。一日に会って会話する人数も、外で働いておられる方に比べて、どうしても限られてきます。たいてい、読んだ本やテレビのニュースが主な情報源になってしまいます。
「狗頭クラブ」は、新聞に載っていたブッシュ、ケリー両大統領候補(当時)が、同じ母校の秘密クラブに属していたというコラムを参考にしました。「ジョハリのピアス」は、PTA役員をしていた頃に参加した講演会で「ジョハリの窓」という心理学用語について聞いたことがひらめきになりました。「手をのばして」は、実家の父の戦争体験をもとに書きました。
こうやって、狭いながらも懸命にアンテナを伸ばしていたけれど、さすがにそろそろネタが切れてきたかもしれません。
そんな私にとって、とても貴重なのはキリリクです。「こんなお話を書いて」とアイディアをいただくとき、「書けないよ」と思いつつも調べていくと、思ってもみなかったお話が生まれることがあります。
今度、太郎さんにいただいた「掲示板レベル50キリリク」も、「ダマスカスナイフ」という御題をいただいて調べていくうちに、だんだん話ができてきました。短編ですが、スケールだけは壮大な吸血鬼ものです。「沈黙の回廊」が終わったら、アップ予定。
もうひとつ、私にとって貴重なネタ源があります。それは、教会で毎年行っている講演シリーズです。
プロテスタント福音派の教会というのは、えてして自分の内面の信仰に心を向け、社会的な問題に関心が薄いのが特徴ですが、それではいけないということで、外部から講師を呼び、広く浅くいろいろな問題について講演を聴き、それをもとにアクションを起こそうというものです。私は数年前から、イベントスタッフのひとりに加えていただいています。
そこで4年前に講師にお呼びした神戸在住のヒュー・ブラウン牧師が、北アイルランド出身の元テロリストの方でした。彼の講演を聞いたことがきっかけで、「EWEN」というお話は生まれました。
それ以外にも、ホームレスの支援団体の方や心理カウンセラー、海外NGOや戦争体験者のお話は、ことごとく私の小説のネタにさせていただいています。
その講演会スタッフが中心になって、今度の週末に二泊三日の沖縄ツアーに行くことになっています。南部の戦跡を中心に、60年前日本で唯一の地上戦が行われ、今なお米軍基地の残る地を見て回る予定です。
夫や年老いた義父母をほったらかして参加するのは、ええ、もちろん、勉強のためです。けっしてリゾートホテルのエステやスパや、沖縄料理食べ放題が目的ではないですとも(笑)。
「沈黙の回廊」の更新が少し遅れることになりますが、お許しください。