タイトルのとおり、先週の暑さの中、一泊の温泉旅行に行ってきました。
とは言え、長期休暇中の夫と夫婦水入らずでしっぽり……というわけではなく、飽くまでも同居の義父母の付き添いです。
隣県岡山にある親戚を訪ねたついでに、赤穂の御崎温泉に泊まってこようという計画。来月に手術を控えた義父にとっては、覚悟の旅行でもありました。
一日目の朝早く、自宅から車でスタート。中国自動車道から山陽自動車道へ、途中で朝食休憩をとりながらの2時間の行程で、赤穂につきました。
四十七士の討ち入り、いわゆる「忠臣蔵」で有名な赤穂市は、兵庫県の岡山との県境近くにあります。そして、うちの親戚が住む村は、県境を越えて岡山県にあります。
途中、国道250号線を進み、途中で県境の帆坂峠を越えます。あまり勾配のきつくない150メートルほどの峠なのですが、だらだらと長く、地元の人は「あほう坂峠」と呼んだのだと、義父が教えてくれました。
拙作短編「銀砂子の夜」で、主人公の小夜が赤穂から家に逃げ帰る途中で通った峠は、ここをモデルにしています。すすきの原も、美形の銀髪男性も本当はありませんが(笑)。
90歳になる義父の姉がひとりで住んでいる集落は、この峠からわき道にそれ、ずっと奥に入ったところにあります。車一台やっと通れるほどの狭い道を進むと、わずか十数軒の家が寄り添うように立っている集落です。
ここは40年前、夫が小学生の頃、夏休みに遊びに来た思い出の場所だそうです。近くの池で泳いだり、村の子どもたちと遊んだり。その頃とほとんど変わらない自然が今でも広がっています。
実は、伯母の家を訪問するという目的以外に、ここへ来たら、ひそかにやりたかったことがありました。
それは、あざみ取りです。
乾燥させて、煎じて飲むと肝臓に良いと言われるあざみ。
コンクリートとアスファルトに固められて、雑草さえ生える余地のない都会では見かけなくなってしまいました。子どもの頃はどこにでも生えている草だったのに。
思ったとおり、ここには、道端にたくさんのあざみが生えています。軍手を鋏を持参して、たくさんのあざみを摘みました。
夫は昔を思い出して、道端で立ちションをしていました。「男のロマン」なんだそうですが、なにがロマンなんだか。
でも、誰にも気兼ねしなくてよい、人のいない場所はそれほど貴重なのだと思います。
老人たちが思い出話にふけっているあいだ、私たち夫婦は、近くに住む伯母の親戚といっしょに、赤穂城近くのイタリアン・レストランで、たらふくナポリ・ピッツァを食べてきました。
「さくらぐみ」と言って、テレビにも紹介されたかなり有名な店で、いつも予約で満席とか。魚介類のピッツァやパスタがおいしかったです。
赤穂城は明治になってすぐ取り壊され、今は城壁だけが修復されています。壮大なお城を期待すると、がっかり。
でも、近年の大河ドラマブームで、裏手の大石神社には四十七士の石像が新しく建ったり、目抜き通りの店が昔の城下町を思わせる普請に統一されたり、町全体が美しい観光都市として整備されつつあるようです。