昨日、テレビドラマ「白夜行」が終わりました。
東野圭吾原作のほうは、私にとって打ちのめされるくらい素晴らしいミステリだったので、期待して見ていました。
テレビドラマも面白かった。原作とはまったく逆のアプローチ、とでもいいましょうか。
主人公の亮司が死ぬ場面からいきなり始まり、これが原作ではラストシーンにあたる、ということもあるのですが、そのほかもことごとく、原作とは逆に進んでいる印象を受けました。
というのは、原作では、亮と雪穂の子ども時代の秘密は終盤にわかることになっているし、何よりふたりがいっしょにいる場面は、ほとんど描かれていません。すべて、入れ替わり立ち替わり登場する周囲の人間の視点を通して語られるため、ふたりの心情はほとんどわからないまま。
それだけに、読者の想像にゆだねられている分、重みが感じられるのです。こういう小説の描き方があるんだなあ、と勉強になりました。
それに対してテレビドラマは、時系列的にふたりの行動や心情にせまっていて、原作では見えない部分も描かれていたので、なるほどと納得することもしばしばでした。脚本も、原作を生かしたとても丁寧な作りだったと思います。ただ、やはり原作の深みにはかなわないのはしかたないことでしょう。できるなら、原作を読んでからドラマを見ることをお勧めします。
そして、音楽がよかったです。柴咲コウの歌う主題歌「影」も雰囲気にハマっていたし、BGMもドラマチックで(多少セリフにかぶって聞こえないこともありましたが)せつなくて、ストーリー自体の持つ陰惨さをみごとに昇華していました。いいドラマの条件は、やはり音楽です。
柴咲コウの公式サイト 「影」の試聴ができます。