姫様御殿の姫さんから回ってきました。正式名称は「自作キャラをバトー(罵倒)するバトン」というそうです。
→ 姫さんのバトン記事
自分のキャラは息子・娘のごとく愛している作者でも、欠点のないキャラなどは書きません。いや、欠点があるからこそ、その欠点も含めて丸ごとが愛しい。
でも、冷酷な言動や情けない行動を取ってしまうキャラに、「この軟弱モノめ!」などと、つい口の中で罵倒のことばをつぶやいていることもしばしば。
ところで私の場合は、大抵「つっこみキャラ」を物語の中に用意しておいて、私の代わりに罵倒を代弁させることが多いのです。たとえば、「夜叉往来」の統馬の横にはナギちゃんがいるし、「ティトス戦記」ではギュスターヴ、「新ティトス」ではラディクあたりが、その役目を担っています。
で、今日イケニエ・ターゲットに選んだのは、「EWEN」の円香。この人が一番、罵倒しがいのある欠点だらけのキャラだと思うのですよ。
で、円香を罵倒する役目と言えば、藤江伯母さんです。
今日のバトー・バトンは、趣旨と異なり変則的で申し訳ないのですが、メインの罵倒部分を、円香と藤江伯母さんの関西弁会話形式で進行していきたいと思います。
自作キャラをバトー(罵倒)するバトン
▼イケニエキャラを選んでください(大まかな説明、出演作品へのリンク要)。
▼とりあえず、このキャラの美点を言ってみてください。
▼このキャラの欠点を心のままにあげつらってください。
▼以下のおしおきアイテムからひとつ選んで実行するとしたら、どれですか(実演可)。
||おしおきアイテム||
でこピン・平手打ち・諄々と諭す(一時間)・晩御飯ヌキ・飛び蹴り・廊下に立たせる・セクハラ(具体的な内容を書くこと)・不幸の手紙・背中に張り紙・シカト
▼おしおきアイテムに1個追加してください。
▼作者的に、こいつのここが困るっていうことはありますか。
▼読者さんにひと言。
▼次に廻したい人がいればどうぞ(2人まで。もっと廻したい場合は、自分でもう一回答えてください)。
▼イケニエキャラを選んでください。
「EWEN」の円香・グリュンヴァルト。旧姓、葺石円香。
古武道の宗家、葺石家に生まれ、そこに修行に来たドイツ人ディーター・グリュンヴァルトといろいろあった末に結婚。2006年11月現在、24歳。3歳の息子の母でもある。臨床心理士を目指して大学院に通っている。
▼とりあえず、このキャラの美点を言ってみてください。
とにかく明るい。落ち込んでもすぐ立ち直るポジティブ思考。男勝りで物怖じしない。パニック映画に出演したら、「みんながんばろうよ!」と拳を握りしめて回りに呼びかけるキャラになること間違いなし。
運動神経がよく、剣道三段。極端な童顔で、なごみ系美人だと思われる。
▼このキャラの欠点を心のままにあげつらってください。
(注: 本来ならば、ここでは作者が語るべきなのですが、藤江伯母さんという作中のキャラに代弁させます。趣旨に反するかもしれませんが、ご了承ねがいます)
「ちょっと円香、ここへ座り」
「えー、なんやの」
「今日は、あんたを心行くまで罵倒してええって許可をいただいたからな。そのつもりで覚悟しいや」
「私が何悪いことした言うん」
「あんたの存在自体が、悪や!」
「ひえっ」
「いつか言うたろ思てたんや。だいたいあんたは、生後2ヶ月の赤ん坊をダンナに預けて、のんきに大学通うとは何ごとや。しかも、ディーターはあのとき5ヶ月も入院してドイツから帰ってきたばかりやったんやで。せめて半年か一年は休学するのが、人の道ちゅうもんやない?」
「そ、そやかて」
「若い男が首も据わらん赤ん坊を預けられて、世話できると思うか? ディーターかて、どうしようもなくて、私に泣きついてきたこともあったんやで」
「知らんかった。だって、訊いても、いつも大丈夫やて……」
「人の顔色見て察する配慮が、あんたには欠けてる。だからディーターの病気が悪化したときでも、あんたひとりだけ全然気づかへんかったんや」
「そ、それを言われると、面目ない……」
「だいたい、毎日の夕飯を私に作らせて、食べに来るというのが、そもそも信じられへん!」
「うわあ、ついに一番グサッと来ることを」
「のんきで能天気で、それがあんたのええ所でもあるんやけど、裏を返せば、他人の気持を思いやる心配りが足りんちゅうこっちゃ。そういう人間は、どんなに人のために頑張っても善意の押し売りになりかねん」
「ふにゃ……」
「もっと小さい頃から行こか。あんたは昔っから男とばかり遊んでたけど、女の友だち少なかったやろ。どこのクラスにもひとりはおるんや。男には好かれるけど、女には嫌われる子」
「うそやん、女の友だちかて、ちゃんとおるもん」
「そのときどきは仲良うしても、長続きする子は少ないはずや。今でも行き来してんのは瑠璃子ちゃんくらい、ちゃうか?」
「う……」
「だいたい、自分の高校時代のこと思い出してみい。同級生を「おタンビー」とか馬鹿にしとったくせに、一番面食いなんは、あんたやないの」
「それは当たってるけど……」
「そのくせ、男は自分の思い通りになると、どっかで思てるんちゃう? 康平くんなんか、あんたのせいでタバコ止めるのにどんだけ苦労したか。恒輝はあんたの電話一本で、尼崎から真夜中に自転車漕いで駆けつけてくれたんやで。そういうの、してくれて当たり前やと思てるんやろ」
「思てへんてば」
「その最大の犠牲者はディーターや。いつもあんたに顎でこき使われて、子どもの面倒見ながら、コンピュータの仕事もテレビの殺陣も、葺石流の稽古も、3つの仕事をこなしてるんやで。あんなええ男が、こないな色気のない女のために、ようやると思うわ」
「……自分かて、スーパーの荷物持ちに使てるくせに」
「いったい、この円香のどこがええのやろ。ほんまに不思議や。世界の七不思議や」
「ふええ。そこまで言わんでもええやんかぁ!」
「一度ディーターの気持をじっくり聞いてみたいわ」
▼以下のおしおきアイテムからひとつ選んで実行するとしたら、どれですか(実演可)。
||おしおきアイテム||
でこピン・平手打ち・とび蹴り・諄々と諭す(一時間)・晩御飯ヌキ・飛び蹴り・廊下に立たせる・セクハラ(具体的な内容を書くこと)・不幸の手紙・背中に張り紙・シカト
円香が一番凹むのは、ディーターからシカトされることでしょうね。彼から「愛してる」ということばを3日くらい聞かなかったら、禁断症状でぶっ倒れると思われます。
▼おしおきアイテムに1個追加してください。
「恋人(配偶者)から冷たくされる」なんて、いかがでしょう。
▼作者的に、こいつのここが困るっていうことはありますか。
なんだか最初からちっとも成長しないよなあ。もう少し大人の女性らしく書いてやりたいんですけど、いつもドタバタ騒々しいです。
▼読者さんにひと言。
もし自分のそばにこういう子がいたら「苦手だなあ」と思われるようなキャラですが、円香のことを好きと言ってくださる方も多くて、作者としてもありがたいです。
▼次に廻したい人がいればどうぞ。
今回は特に指定しませんので、どうぞご自由にお持ち帰りください。
長い文章をお付き合いくださってありがとうございました。
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「というわけで、ディーター。あんたも、ええチャンスやから思い切り罵倒しとき」
藤江伯母さんは言いたいだけ言うと、溜飲を下げて部屋を出て行ってしまい、私とディーターがあとに残された。
「ねえ」
私は半べそをかきながら、彼に訊ねた。
「私って、藤江伯母さんが言ったとおりのひどい女?」
ディーターは笑いをかみ殺したような顔で、天井を見上げた。
「まあ……否定はしないな」
「じゃあ、なんで私のことなんか、好きになったんよ!」
すっかりむくれてしまった私は、涙ではれぼったくなった目をギュッとつぶった。
ディーターの温かい腕が、ふわりと私の体に回されるのを感じた。
「こんな女は、俺じゃないとダメだと思ったから」
「……」
「それに」
彼の唇と甘い声が、私の耳たぶをくすぐった。
「俺も、円香じゃないとダメだった」
私は目をつぶったまま、照れて笑った。