サイトを開いて小説を発表してよかったなと思うのは、つたない筆で描き続けてきた世界に、共感してくださる読者さまがいることです。
ときには、作者以上に作品世界を知り尽くして、味わい尽くしてくださる方もおられる。そんな感想をいただくと、分析の深さに驚いてしまうこともあるのです。
このところ、ひとことメールに寄せていただいた感想の中にも、そのような感想が多く見られました。ひとことメールの制限は200文字だったので、何回も分けて書いてくださるのには、頭が下がりました。あわてて、500文字に増やしたのですが、……遅かったですね。
いただく感想のひとつひとつは、私の宝ものであると同時に、そこから多くのお話が生まれてきます。
今まで、掲示板の感想とレスの応酬の中から、次の展開に関してどれほどのアイディアをいただいたことでしょうか。単発の短編だけのつもりだったのが、キリリクをいただいてシリーズ化したことも少なくありません。
そして、いただいた絵やCGから、まるまるひとつの短編ができてしまったということも一度や二度ではないのです。
今日アップした「EWEN3」のエピソード「緑なす草の」も、時村朱冷さんからいただいたイラストから、着想をいただいたものです。ほんとうにありがとうございました。
ビルディングを背景とする夕焼けと投げかけられる長い影。
少年の着ているのが、だぶだぶのオーバーと女物の赤いマフラーであること。何故だろう、どうしてなんだろう。こうして考えているうちに、自然と紡ぎだされるように、お話が生まれてきました。「ところてん」が大嫌いという以前のエピソードを、ある方がご自分のサイトで話題にしてくださったことも私の頭に残っていて、「甘いもの嫌いの理由」という縦糸も決まりました。
小さなエピソードのすべてのピースがぴったりとはまって一枚の絵となるとき。モノカキとしての最高の醍醐味を味わう瞬間です。