兵庫県立美術館のムンク展に行ってきました。
ムンクというと、「叫び」に代表されるように、不安や絶望を描いた絵画だけが強調されますが、装飾画家としてのムンクを浮き彫りにすることが、今回の展示の中心でした。
一枚一枚の絵を通して全体でひとつのテーマを表わすよう、絵画の並べ方にも腐心した様子が、アトリエを写した写真からも伝わってきます。
子どもや労働者を題材に取るなど、意外に、ムンクの描く絵には生命力にあふれたものが多いことをはじめて知りました。
けれど、子ども部屋のための絵に男女の抱擁シーンを描いて、依頼主から受け取りを拒否されたエピソードや、苦心して描いた壁画がすぐに建物ごと解体されるという不運に見舞われたことなど、芸術家の苦労がしのばれます。
「芸術とは、作家の流した血から生まれるものだ」
とは、ムンクのことばだそうですが、やはり創作とは、自分の身体を削って生まれるのですね。
芸術とは程遠い私の書く小説は、血どころか、一日五杯のコーヒーから生まれていますが(笑)。
ムンク展は、今月末で終了です。まだの方はお早めにどうぞ。
ここのランチがおいしかったですよ。美術館のすぐ近く、阪神岩屋駅そばです。 → リストランテ・ビッビ