三月の末からずっと心配をおかけし、またクリスチャンの方には篤いお祈りをいただいておりました義父の手術後の状況ですが、どうも長いトンネルを抜けたようです。
大腸の二回の手術を経て、8日間のICUでの集中治療後、意識が朦朧とすることが続き、身体もぐにゃぐにゃで、座ることもできないままでした。
傷そのものも快復に向かっているのに、ときおり意識が定まらず、自分が病院にいることもわからない状態が続いたときは、もうずっとこのままなのかと暗澹とした気分に陥ったこともあります。
大手術の後の「術後精神症状」と言われる状態です。
私の参考にしたサイトでは、肝移植手術の術後症状について解説していますが、「抑うつ、見当識障害、退行、意識混濁、妄想、幻視幻聴、不安、昏迷」という症状がみごとに全部、義父に当てはまりました。表情が幼児のものとなるときがあり、特に、「どうなってもいい」「死んでもいい」という投げやりな発言にはほとほと困りました。
それが、一週間ほど前、本人が突然、「自分が病院にいることが、やっとわかった」と叫んだのです。びっくりするような話ですが、それ以来、意識の状態がみるみる良くなっていくのが、そばにいてわかりました。
主治医の先生によると、手術後のある時期は、記憶が「ロックされた状態」なのだそうです。そのロックが解除された瞬間、記憶が鮮明になり、「なぜ自分がこういう状態なのか」がわかり、意欲も回復したのでしょう。
意識レベルは正常に戻ったものの、その後は「立てない、歩けない、座れない」自分を受け入れるのに時間がかかりました。リハビリの先生とケンカして追い返してしまったこともあり、悲しむべきか、大正生まれの義父の本来の頑固さが戻ってきたと喜ぶべきなのか。
この数日は、「早く退院したい」とリハビリルームに行くのを待ちかねているような状態です。今日も平行棒をニ往復してきました。この調子では、来週には退院になるのではないかと思います。
退院すればしたで、人工肛門の世話や身の回りの介護で、家族は当分、別の忙しさに襲われそうですが、それでも、日常へ復帰できることが何より嬉しいのです。
読者のみなさまの、お祈りとお心遣いをありがとうございました。
Granatus改めぐらです。
(いちいち書くのも読むのもめんどうなので)
いやあ、よかったですね。
今までブログは見ていましたが、
ちゃんと病人と向き合ったことや
まともな看護の経験もない人間が
一生懸命戦っている人に
どんな言葉をかけたらよいか分からず
ずっと戦々恐々していました。
トンネルを抜けたと聞いてほっとしました。
butapennさん、そしてお父様も本当に頑張りましたね!
どんどん良くなっていくことをお祈りします。
Granatusさん改めぐらさん、いらっしゃいませ。
「ぐりとぐら」みたいで、可愛いHNですね。
いつもブログを読んで気にかけてくださってありがとうございました。
いつかは、良くなる日が来るとは信じていましたが、それを「待つ」ということが、私にはできないのです。
私の思い通りに回復して、私の思い通りにご飯を食べて、リハビリをしてほしい。病人である義父を見るたびに、そんな苛立ちに襲われていました。
そして、その苛立ちを病人は敏感に感じ取ってしまうのです。
いい経験をしました。
本人が自己を回復するってのは朗報ですね。まだまだ一進一退はあるだろうけど、無視しない程度に支えて下さい。
>無視しない程度に支えて下さい。
そうそう。それって大事です。
今まで、精神の回復には家族の呼びかけが大切って信じていたので、朝から夕方までずっと付き添っていて、かえって過保護になってたみたいですね。
この数日、看護師さんが病室に来てくれないと義父は嘆いていました。今までキレイで若い看護師さんが入れ替わりたちかわりだったのが、点滴もドレーンもはずれたとたんに、誰も来てくれないって(笑)。
こうやって無視されていくことが、退院へのスムーズな過程なんでしょうね。