お願いしていた「新連載のための投票」、先日投票期間が終わりました。
例の「若様か戦士か」というやつです。「どちらも書きたい」という思いに自分でも板ばさみとなっていて、皆様のお力で決めていただこうと他力本願なことを考えた末の企画でした。
ありがたいことに、200票近くいただきました。では、結果を発表します。
「伯爵家の秘密」 124票
「月の戦士」 74票
ということで、長編の新連載は「伯爵家の秘密」ということに決定しました。
ウェブ拍手の数から言えば、この結果は何となく予想できたのですが、このブログに来て足跡を残してくださる方は、けっこう「月の戦士」を推してくださる。なので、票数の結果に加えて、心にぐっと響くようなコメントも結果に加味しようと、ひそかに決めていたのです。
いろいろ興味深いコメントをいただきましたので、ご紹介します。
まずは、「伯爵家の秘密」のほうから。
「ほのぼの&ウィットな感じで!」
「そういう楽しそうなのが好きです 」
やはりこれに関しては、コミカルな雰囲気を気に入ってくださった方が多いと感じました。
「若旦那さまのことがもっと知りたい!」
「若様のラブが見たいですー」
それに加えて、複雑な境遇の主人公を応援してくださる方もおられるようです。
高貴な血筋を持ちながらお家騒動から逃れるため、そのことを隠しているというのは、ちょっぴり「桃太郎侍」みたい(笑)ですが、そのモチーフとなったと言われるイギリスの冒険小説「ゼンダ城の虜」にも似ているかもしれません。
「読みたいです 」
シンプルですが、心にしみるコメントをありがとうございました。
それでは、「月の戦士」へのコメントもご紹介します。
「ドキドキ・じれじれ系でお願いします」
「どっぷりシリアスなお話が読みたいです!」
こちらは、コミカルの対極を求めていらっしゃる方が推してくださったようです。
「奴隷と女主人の設定に萌えます」
「二人が壁を越えどんな道を辿って行くのか気になります」
身分差と敵同士という壁に萌えてくださったようですね。
「月の戦士はこれで終わったほうが座りが良い気がする…」
「伯爵家」にいただいたものですが、こ、これは究極のコメント(笑)。
「月の戦士」は短編のまま終わらすべきでないかという点については、実は私も考えました。「伯爵家」がキャラクターの力で勝負するタイプのお話であるとすれば、「月の戦士」はドラマチックな筋立てで勝負するお話です。すでにおおまかなあらすじを書いてしまった段階で、これを長編化することが、果たして良いことなのかについては、私も迷うところではありました。
ですが、やはり蛇足ではあっても、彼らのどうしようもなく惹かれあう心を描き、その行き着く先を見届けたいという思いが強かったのです。
「彼らは荒野をつくり,それを平和と呼んだ」
これは、何か出典がある言葉でしょうか。教えていただけると幸いです。
「『新ティトス戦記』が完結してから…」
ログが消えてしまい、うろ覚えで申し訳ありませんが、これが私にとっては一番、決意を固めさせてくれたコメントでした。
「月の戦士」の連載を始めるよりもまず、同じシリアス系ファンタジーである「新ティトス」を終わらせることが先決であるとのアドバイスは、心にしみました。確かにそうだと思います。
「新ティトス」はやっと、最終の第四部に入ろうとしています。
たぶん、今までのペースで言えば、完結は一年後くらい。まず「伯爵家」の連載を始めて、一年後くらいに「月の戦士」の連載に取り掛かるというのは、ちょうど良いタイミングですね。
このサイトの数年後の姿まで青写真が描けたような気がします。
紹介しませんでしたが、他にも心のこもったコメントをくださった方、どうもありがとうございました。
「伯爵家の秘密」のプロットは少しずつ進めていますので、遅くとも今年中には、連載をはじめたいと思います。
「『新ティトス戦記』が完結してから…」と書いたのは、私です。
書きこめる文字数が少なく、思っていることが上手く伝わるか心配しながらコメントさせていただきました。
どちらもそれぞれBUTAPENNさんの得意なジャンルで素敵なお話になるんだろうなぁ、若様は軽妙で心温まるお話、戦士はシリアスで壮大なストーリー(ということは、ティトスに負けず劣らずの長編!?)、う?どちらも読みたい、などとずいぶん悩んで悩んで悩んで、やっと心を決めて投票させてしました。
その思いをわかってくださったどころか、「決意を固めさせてくれたコメント」などと言っていただけるなんて、本当に光栄で面映いです。
新しい連載楽しみにしています!
Beiさん、いらっしゃいませ。
いやあ、そうでしたか。少ない文字数のコメント欄によくぞ書き込んでくださいました。
ログが流れてしまい、うろ覚えの記憶でBeiさんの真意をきちんと汲み取っているのか心配でしたが、読んだときに「あっ」と思わされたことは事実です。
BUTAPENNの乏しい脳みその中では、おそらく「ティトス」と「月の戦士」は同じ領域を占めてしまうだろうと気づいたのです。
同じような意味で、「伯爵家」は「ゼファー」と同じ領域を占めてしまうかもしれませんが(笑)。
ただし、「月の戦士」は、戦闘の場面こそ出てきますが、魔法や魔族は出てきませんし、ティトスほどの長編にはなりません(たぶん…)。壮大というよりむしろ家畜小屋や路地裏や暖炉の前が似合う土臭いお話になるのではないかと思っています。
このようなコメントは、お話を読み込んでくださる人しか書けないものだと思います。本当にありがとうございました。
こんにちは(@_@)(今セフィロトのコクマーを読んできたので、目がうるうるしているのです(笑))
おお!若様に決まったのですね。招夏は「月の戦士」を押してはいましたが、若様も、もちろん楽しみです(*^_^*)
正直に白状すると、招夏はまだ「ティトス」を読んでいなかったですよ。そうですか、「ティトス」は「月の戦士」の雰囲気を持っているのですね。今度は「ティトス」を読んでみよう。
招夏さん、いらっしゃいませ。
「月の戦士」へのご支持、あらためてありがとうございます。こういう結果になり、書くのが少し遅くなりますが、それまで「伯爵家」でお楽しみくださいね。
「ティトス戦記」と「月の戦士」の類似点は、あるようなないような(笑)。
シリアスっぽい文体で、恋人が敵同士になってしまった、というあたりは似てますね。でも剣と魔法の世界の冒険話なので、FFやDQのようなRPGゲーム好きでない人には、少し読みづらいかもしれません。
あ、それからクリフォトも読んでくださってありがとうございます。
どうも、座りが良い気がする、と書いたRazielです。
半月―二月に一度のスローペースで巡回させていただいております。
過去作を参考とする限り、『月の戦士』を連載化したとしても、のっぺりとした作品にはならないと判断したのですが、読後感と個人的嗜好の関係で『伯爵家』へ投票させていただきました。
『月の戦士』が初冬の朝のような印象で、『伯爵家』が春先の日向のような…抽象的すぎますね。
などと書こうとしていたら、コメント字数オーバーして、頭を悩ませながら削った結果、あのようなコメントになりました。
『月の戦士』の連載化に否定的な意味での発言ではありませんので、此方で弁解させていただきました。
(投票完了後なので今更かもしれませんが…)
以上、長文失礼いたしました。
新連載を心待ちにして、巡回に戻りたいと思います。
それでは。
Razielさん、いらっしゃいませ。長い常連さまでいらしてくださって、ありがとうございます。
「伯爵家」がお好みにピッタリだったようで、うれしいです。
御コメントが否定的だとは思いませんでしたので、ご安心ください。むしろ丁寧に読み込んでくださっているのだなと感じました。
「伯爵家」が一場面を輪切りに切り取った描写だったのに対して、「月の戦士」は全体のダイジェストの趣がありました。これを長編化することは、短編をばらばらに解体して再構成し直すことになり、その時点で短編は消滅することになるでしょう。
そういうことも含めてご判断くださったのではないでしょうか。
>『月の戦士』が初冬の朝のような印象で、『伯爵家』が春先の日向のような…
いや、まさにイメージ豊かで的確な表現で、うれしいです。結果は「伯爵家」になりましたが、いずれ両方書くつもりでいます。このことばはそのとき、私の中でイメージのひとつとして残り続けると思います。
書き込みありがとうございました!
まあ、どっちになってもサドオンパレードに決まっているから、そっちの方が興味がありますね。
おそらく投票した人の殆どが、どっちでも面白そうだけど、敢えて選ぶとしたら、って感じで投票したのではないでしょうか?
それはそうと、伯爵となると、個人的には、娼家で育ったからこそ色々と世の中を勉強したって部分の具体例を数話書いて欲しいなあ。僕は温室育ちのボンボンがダイッ嫌いなので。
>どっちになってもサドオンパレードに決まっているから
確かに戦士のほうは、奴隷地獄、伯爵のほうは、ハーレム系地獄ですからねえ。男をいじめることに変わりはありません。
下町の話はもちろん出しますよ。温室育ちの貴族たちを引っ掻き回す予定です。
ところで、匿名になってるけど、「第48代」さんに修正しなくていいですよね。
こんにちは.いつも楽しく読ませていただいていますが,コメントをするのは初めてです.
上の「彼らは荒野をつくり,それを平和と呼んだ」の出所は,古代ローマの歴史家タキトゥスの下記の一節です.
偽りの名のもとに破壊、殺戮、強奪を行うことを、彼らは支配と呼ぶ。また街を破壊し人気を絶やすことを、彼らは平和と呼ぶ。
Auferre, trucidare, rapere, falsis nominibus imperium; atque, ubi solitudinem faciunt, pacem appellant.
–『アグリコラ』(98年)、30章
作中の「帝国」がローマ帝国に重なって見えたので,コメントに書いてみました.
「月の戦士」の連載が先のことになってしまったのは少々残念ではありますが,「伯爵家の秘密」も楽しみにしております.
Tacitusさま、いらっしゃいませ。
「月の戦士」への投票とともにあの言葉を書いてくださったのは、Tacitusさまでしたか。
52年生きてきて、こんな言葉があるとは、浅学にしてついぞ知りませんでした。
モデルにしているのは確かにローマ帝国とブリテン島あたりです。
帝国が武力による征服・支配を推し進める一方で、駐屯した辺境部隊の兵たちは、現地住民との交流の中で葛藤を抱えていただろうし、反対に、圧倒的な文明に触れた現地住民たちも、やはり融和と抵抗という矛盾を抱えていただろうなと思います。
そういう葛藤の中で出会った男女の反目と恋愛を書いてみたくなりました。
とは言え、現実の歴史を描くにはあまりに非力なもので、あっさりと異世界を舞台としていますが。
多少時間はかかりますが、後日かならず連載にこぎつけたいと思います。「伯爵家」のほうも、お楽しみにお待ち下さい。