ずっと小屋の屋根をふさいでいた木の枝を切り払った。
「空が見える」
妻は窓を開け放ち、歓声をあげた。「これで家の中が、夕方まであかるいね」
「ああ。そうだな」
梢を透かして降り注ぐ光は、まるで大聖堂のステンドグラスのようだ。
だが俺たちはいつも、その光を避けるように地下への階段を降りて、そこで――。
「あなた?」
妻は気遣わしげな声を上げて、俺に駆け寄ってきた。
「だいじょうぶ? 顔色が真っ蒼よ」
覗き込んだ妻の緑の瞳は、森と青空が似合う。
だが俺の黒い瞳は、きっと闇ばかり見過ぎてきたのだろう。
この空は、森の家は、妻の笑顔は、俺にはまぶしすぎる。
「+創作家さんに10個のお題+」
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