「平方根って?」
「たとえば、3ギアスの面積の正方形の土地があったとする。その一辺の長さが3の平方根だ」
父は地面に指で描いて、息子に見せた。「もしおまえが大工や石切の棟梁になるのなら、この計算は大切だぞ」
「え、この数字、どこまで続くの」
「終わりはない」
川のほとりで赤ん坊に乳を含ませていた妻が、おぶい紐を結んで立ち上がった。緑色の瞳が、満ち足りた様子でほほえむ。
「さあ、そろそろ出発しましょう」
「ああ」
黒い瞳の夫は妻に笑みを返すと、大きな荷を肩に担い、小さな息子と手をつないだ。
薬売りの一家は、次の村目指して歩き始める。
彼らの旅に、終わりはない。
「+創作家さんに10個のお題+」
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10日あまりご愛読くださいまして、ありがとうございました。
この連作の元ネタですが、当サイトの「夏の断片」という掌編集の中にある「鳥かご」という掌編です。ホラーぽいテイストで、けっこう自分では好きな話でした。カトリーネの性格はかなり違っていますね。
「夏の断片」はこちら
えー。それから。
あのシチューになりそこねた狐は、逃亡の旅に出る前に森に放ちました。
もし狐のことが気になっておられる方がいらしたらいけないので、ひとこと(笑)。
続きを書く機会を与えてくださった、「創作家さんに10個のお題」の作者、三里アキラさんにあらためて感謝します。
十日間楽しませていただきました。
もう、十作目が待ちきれなくて、今日は何度も覗きに来ていました。
すごいですぅ。
ハッピーエンドでよかったぁ。
本編があったのですね!
ホラーは苦手ですが、挑戦してみます。
ありがとうございました。
悠希さん、いらっしゃいませ。
十日間お付き合いくださって、ありがとうございます。いつもは12時前後の更新なのに、今日はちょっと遅くなり、お待たせしてしまいました。
うう。ハッピーエンドになってしまった(笑)。ルート=道=旅という連想で、どうしても主人公たちを旅に出して終わらせたかったんですよ。
ビスケットとか狐とかで、ほのぼのムードを出しつつ、冷たい紅やアイマイというサスペンス系の要素もある。これはもう、お題の並び方の妙というしかありません。
お題もの、なんだかどんどんハマっていきそうです。
原作の「鳥かご」はちょっと血なまぐさいですが、ハッピーエンドが約束されているので大丈夫ですよ。
お疲れさまです。音楽の捧げものの文章版ってところですか。
となると、次はフーガの技法の文章版を期待するんですがねえ?
第48代さん、いらっしゃいませ。
音楽をお題にした話、いつか書いてみたいと思ってるんですけど、なかなかむずかしい。
音楽をテーマにしたお祭りでもやりますか。
>フーガの技法の文章版
最後は未完成のフーガになりますよ?
ご無沙汰しています。お題とても楽しませていただきました!
面白かったです。ちょっと怖くもあり……。
最後ホッとしました。狐も。
butapennさまと、菜宮さまの所でお題を読んで
とても楽しかったので私も2個だけお借りしてみましたが
正直難しくて途中挫折しそうになりました(笑)。
10個全部使われたbutapennさまは、やはりスゴイ!です。
ナノハさん
最後までお付き合いくださってありがとうございます。
狐の行く末にも、ほっとしてくださいましたか。本編の中でなんとかしてやりたいと思ったんですよ。いっしょに旅に連れていくか、それとも最後にシチューにして(おい)。でも、とうとう書くことができませんでした。
さっそく飛んでいって、ナノハさんの「きつね味」と「ビスケット色」拝読しました。
いいなあ。お姉ちゃんと弟のほのぼのしたお話ですね。しかも赤ちゃんが、こんなに生意気になって(笑)。主人公を固定してしまえば、けっこうお題ものも書けるものですよ。この調子でシリーズ化して、それぞれの思春期や結婚話までいかがですか。
またお邪魔します。
わああ、いらして下さったんですね。お恥ずかしい限りです・・・。読んでいただいて、ありがとうございます。
思春期や結婚話!それも楽しそうですね。なるほど、主人公を固定ですか。どうしよう、お題にはまってしまいそうな予感がします(笑)。
「見慣れたカップ」読みました。もう、頼子カッコ良すぎ!そして奥田のような男性のタイプは苦手です。でも頼子はまだ思いがあるんですね。切ないです。
ナノハさん、いらっしゃいませ。
御作の感想をこちらで書いてしまって、申し訳なかったです。ちゃんとそちらで書けばよかったのに…。
ふふふ。お題にはまりそうですか。一から考えるのとは別の苦労がありますが、はまると抜けられませんよー(笑)。
そして、「見慣れたカップ」もお読みくださったのですね。ありがとうございます。ヒールをカツカツと鳴らしながら去っていく頼子はカッコいいですか。本当は、元夫の胸に飛び込みたい…でも、それはまた新しい地獄に入り込むだけだとわかっているのです。
きっと成長した彼女には、もっとすばらしい男性との出会いが待っていることと思います。