ミュージカル「CHICAGO」6月5日1800公演を、兵庫県立芸術文化センター大ホールにて。
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1975年初演、ブロードウェイのロングランミュージカルの日本語版公演です。
米倉涼子、アムラ=フェイ・ライト、河村隆一らの主演、1920年代のジャズと、【フォッシー・スタイル】というセクシーなダンスと、女優たちの網タイツ(笑)がなかなかの魅力でした。
ストーリーは、米倉涼子演じる女優志願のロクシーが、愛人を殺すところから始まります。夫を身代り犯人に仕立てるも、やがて真実がばれ、入った刑務所で、やはり妹と夫を殺したナイトクラブのダンサー、ヴェルマと出会います。
彼女に紹介された敏腕弁護士フリン(河村隆一)の力で、このスキャンダルを利用して人気スターへとのし上がろうとするロキシーですが……。
「辛口シンデレラストーリー」という歌い文句どおり、主人公たちはなんとも嘘つきで、退廃的で、どうしようもない悪人ばかりなのですが、コミカルな味付けとユーモラスな動きのせいか、可愛く見えてしまいます。
米倉涼子の歌と踊りを、本場ブロードウェイのアムラと比べるのはかわいそうですが、それでも河村隆一との掛け合いの操り人形のシーンは、なかなか見ごたえがありました。コケティッシュで存在感のある役は、彼女には適役と言えそうです。
そして、アムラ=フェイが、なんとほとんどのセリフや歌の一部を日本語でこなしたのが驚きました。1月から必死で特訓したということで、笑いを取るむずかしいセリフもあったのですが、かなりわかりやすかったと思います。
ダンスシーンは、一糸乱れぬ群舞とは異なった、それぞれの個性を生かした「フォッシースタイル」。体をくねらすのも、ゆっくりと最小限に動かす独特の腰の使い方で、妖しい魅力をかもしだします。
ボブ・フォッシーという振付師は、もともと内股で肉体的には恵まれないダンサーでしたが、かえってその短所を逆手に取った振付で人気を得たと言います。自分の短所を長所に変えることが、強烈な個性として武器になることを教えてくれます。
その「フォッシー・スタイル」の日本での第一人者が、大澄賢也で、彼はロキシーに冒頭で殺される愛人役でも出演しましたが、この舞台の振付助手も務めているそうです。
河村隆一も、LUNA SEAのボーカル時代からの甘い声は健在でした。舞台に朗々と響くというには声質的にはやや不利ですが、法廷の貴公子という役柄には合っていたように思います。女看守、ロキシーのお人よしの夫、オカマの新聞記者などの脇役も、いい味を出していました。
今回はチケットをすっかり取り忘れ、はじめて「おけぴ」利用しましたが、ぎりぎり間際で思いがけなく良い席が得られてラッキーでした。なにごとも最後まであきらめてはいけません。
東京公演は今週水曜からだそうで、東京在住の人はチェキ。
次の兵芸での観劇予定は7月末で、レナード・バーンスタイン作曲の「キャンディード」が、バーンスタイン最後の愛弟子と言われる佐渡裕の指揮で見られます。楽しみは、まだまだ続きます。