「伯爵家の秘密」に、ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。2009年の11月から2011年の1月まで、実質わずか1年あまりで長編を書き終えた(しかも、自転車操業状態で!)というのは、私にとっては最速記録です。
どれだけ読者のみなさまのご声援に後を押されてきたかということを、終わってみて、しみじみと感じます。
2009年の1月に開催された「第一回恋愛ファンタジー小説コンテスト」において、短編を出品したことが、すべての始まりでした。
会場での謝辞にも書いたことですが、ちょうどそのとき、毎年一月に放映される、イギリスの「プロムス」という歌の祭典を録画中継したテレビ放送を見ていたときに、「ジプシー男爵」というヨハン・ シュトラウス2世のオペレッタのアリアが歌われました(つい最近、宝塚歌劇月組が演じた演目ですので、ご覧になった方も多いのではないかと思います)。今となっては、曲はほとんど覚えていませんが、「ジプシー男爵」という言葉の響きに、たちまち魅せられてしまいました。
差別の中で育った高貴な貴族。謎に満ちた出生。型破りな言動。私の頭の中にくっきりと主人公の姿が浮かんできました。
その主人公をメイドたちのおしゃべりで浮き彫りにするという手法で、二千文字をほとんど即日に書き上げ、提出。まさか賞をいただくとは夢にも思いませんでした。
「続きが読みたい」とおっしゃってくださった何人ものご感想を励ましに、長編構想は膨らむばかり。
肉付けにあたっては、聖書をいくつかモチーフにしています。特に、ダビデとヨナタン王子の友情は、エディとセルジュに重なる部分が多かったです。エジプトに奴隷に売られたヨセフの話も。
その年の終わりに、冒頭の一章だけを書きあげた状態で、連載をスタートしました。アップするたびに、たくさんの拍手やご感想をいただくため、どんどんとモチベーションが上がっていき、気がついてみれば、週一連載をほぼ完遂しての完結となりました。
連載のはじめには、ただの敵役だったセルジュが主人公をしのぐ人気者になっていたり、パパりんやシスコン陛下に熱い声援をいただいたり、主人公のみでなく、脇役の人生もひっくるめて、作者の脳内で暴れまわった一年でした。
ヒーローには必ずと言っていいほど暗い過去と罪がつきものの当サイトの小説にあって、天衣無縫のエドゥアールはかなり異色キャラだったのですが、彼らを愛していただいて本当に作者として幸せだと思っています。
しばらくのお休みをいただき、誤記・表記の揺れの修正なども終えてから、番外編にとりかかれたらと思っています。
なお、当サイトの小説はすべて、「Creative Commons Licence」のもとに、二次著作・転載を許可しております(要クレジット表示、営利目的利用の禁止)。作品のイラスト、二次小説など作者の許可なく創作いただけます。というより大歓迎です。いただきものは、ギャラリーや特別ページでご紹介させていただきます。
実は、もう一枚イラストをいただいております。吉田和代さんに某所のお絵かき掲示板でいただきました。なんと、金髪エドゥアールです!!
自キャラを描いていただいて眺められるなんて、なんて幸せなんでしょう…。
9 thoughts on “「伯爵家の秘密」あとがき”
Comments are closed.
先ずは完結おめでとうございます。
へへへ、じつはセルジュにはエドワールも知らない秘密が17個もあって、それで続編では一気に悪の主役の躍り出るという次第で、、、はないか。
暫くゆっくりお休み下さい。
「伯爵家の秘密」完結おめでとうございます。
エドワールとミルドレッド伯爵夫妻が永久に仲睦まじい関係でしょうね。
ラストの舞踏会のシーンは、思わずほうっとしてしまいました。
長編小説は更新するのが体力がいりますので色々と疲れますが、無事完結できてよかったです。
これからも素敵な物語を読みにまいります。
では、この辺で失礼いたします。
>第48代さん
ありがとうございます。その17個を考えるのは、第48代さんにおまかせしますぜ。セルジュを、うんと悪キャラにして…という誘惑にも駆られたのですが、まあこんなところです。
>千菊丸さま
最後をどう終わるか迷っていたのですが、舞踏会にしてよかったです。このカップルは、年をとってもずっとラブラブなんでしょうね。
とにかく一年あまり、病気もせずに週一で更新分を書く生活を続けることができたのは幸運でした。うん、やっぱりなにごとも体が資本です。
千菊丸さんには、要所要所で感想をいただき、とても励まされました。
あらためて、ありがとうございます。これからもよろしくお付き合いください。
完結おめでとうございます!
……とか書いている時点でまだ最後まで読んでいないんですけれどもね。ええ。今、半分のちょっと先くらいでしょうか。里帰りの辺りの。ともあれこの連載は楽しみにしていたので、これで安心して最後まで楽しみたいと思います。
お疲れさまでした!
完結おめでとうございますー(^^)/
先ほどようやく読み終わりました。ほぅぅ、ぱちぱちぱちぱち
最後までクオリティが落ちませんでしたねー。さすがです。的確に展開して読者の目を引っ張りつつ、細かな叙景描写や心理描写に手を抜かない。最後まで堪能させていただきました。ありがとうございました。王様が幸せになって良かったです。最終的に読み終わった段階では、すっかりセルジュのファンになっていたような気がします(笑)。
>茶林さん
どうもです。後半を急ぎすぎてるって、第48代さんに言われたので、一気読みしてもらうと、そのあたりがわかるかもしれないです。
>招夏さん
最後までお読みくださってありがとうございました。後半は怒涛の展開で、情景描写はちょっと省きすぎたかなと心配していたので、そう言っていただいてよかったです。
王さまも人並みの幸せをつかんだみたいですね。セルジュは、この話の中で、一番おいしいところを持って行ったキャラのような気がします。敵が味方に寝返ると、なぜか好感度が急上昇しますよね。
アップをどうもありがとうございます。
なんだか、瓢箪から駒みたいに17個の話が、、、、。いや、一番始めにボソっと言ったら、そのままリクエストされて、なんだか書いちゃいましたよ。
えっと、伯爵ファンの皆さんの公子Sのイメージをぶちこわしてしまったかも知れませんが、(あくまで公子Sであって、セルジュとは限りませんが)、まあ、これが二次創作の醍醐味の一つでもありますので、そこんとこ、大目に見て下さいな。
ひどい風邪をひいてしまい寝込んでいたので、遅レス失礼しました。
SSありがとうございます。まさか、七つの秘密ならともかく、本当に17個考えてくれるとは思いませんでしたよ。
セルジュとSは別人ということになっていますが、重なる部分も多々あると思います。特に心を魅かれたのは「面白いお兄ちゃん」と「秘密の野イチゴ」のエピソードですね。公子という仮面をはがしたときの彼は案外おちゃめな気がします。
「女性関係ならぬ女性無関係」というのは、まさにセルジュっぽいキーワードですねえ。彼自身には、女性たちに間男をあてがうような気づかいはないと思いますが、気の利く執事か誰かがやっているかもしれません。
プレンヌ公爵家の使用人って全く出しませんでしたが、ほんとは有能な人がいるはずなんですけどね。うむ。