太平洋のむこうがわの島が大変だという波のたよりを、イワシたちが伝えてくれたので、南極のペンギンたちはおうえんに出発した。
とちゅうで、おなかがすいたり、子ペンギンがはぐれたり、道にまよったり、さんざん苦労して。
その島についたら、北極からはシロクマたちが来ていたし、クジラも、ほかの海のなかまもあつまって来た。
けれど、海岸はゴミがいっぱい浮いてちかよれないし、地面は赤茶けて、あかりは消えていた。
魚をとる船は、いっせきも見あたらないし、おまけにコンクリートの四角いたてものからは、からだに悪そうな風がふいてきた。
とても静かだった。
ペンギンたちは泣いた。シロクマも、ほかの海のなかまたちも、みんな泣いた。
おみまいにと持ってきたオキアミやイカたちを置いていくから、元気になったら、また船で魚をとりに海においでよ。
彼らはいつまでも、いつまでも、海から陸地を見つめていた。
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