13日に、sleepdogさん主催の「ゾンビ祭り」が閉幕しました。
会場はこちら(まだ読めますし、感想も書けます)。
投稿していた「朽ちた冠」をサイトにアップしました。恐れ多くも、小説自由部門で「銀の墓」賞をいただいたものです。
あとがきめいたものになりますが、「朽ちた墓」を書いたのは、ちょうど暑さと更年期障害で肉体的・精神的にまいっていた8月でした。サイトでは一ヶ月のお休みをいただいていたころです。
会場の掲示板にも書いたのですが、「ゾンビ」をテーマに何か書かなければと、うなっていたとき、「エル・シド」の映画を思い出しました。
かなり古い映画ですので、若い方にはなじみがないでしょうが、あの名優チャールトン・ヘストンやソフィア・ローレンが主演した壮大なハリウッド映画です。そのラストシーンは、スペイン救国の英雄たる主人公の死骸が馬に乗せられて戦場をどこまでも駆けていく…というもので、子ども心に、そのシーンの美しさに衝撃を受けた覚えがありました。
登場人物はみな実在の人物ですが、実際に「エル・シド」として名を馳せたのはサンチョ王ではなく、ロドリゴのほうです。
イスラム教徒から「アル・サイード(主人)」と呼ばれたのも、名剣コラーダの持ち主であるのも、バレンシアを平定したのもロドリゴですが、このお話では独自のフィクションを付け加えました。
彼の主サンチョ2世が毒殺後にゾンビとなってよみがえり、死後の名声を従者であるロドリゴが受け継いだことにしたのです。
つまり、このあたりはスペイン史とは全く異なりますので、ぜひお間違えのないようにお願いします。
もうひとつ、この話を書きたいと思ったきっかけは、私が認知症の家族を介護している立場にあることです。
腐敗の恐怖におびえ、昨日できたことが今日できなくなり、持っていた財産も能力も朽ちた冠のように失っていくゾンビ王、そして彼の骨を拾いながら付き従うロドリゴの姿を通して、老いていく人間の哀しみと、それを支える介護者の思いをこめたつもりです。
老いて弱っていく人間の姿は悲惨なのか。そこに尊厳があるのか。
その尊厳を介護者はどう守っていくのか。そんな思いをこめながら、書かせていただきました。そして、この執筆をとおして、スランプを抜け出すことができました。
ゾンビ祭りでは、「超短編部門」もあり、そこに出品した「流転回帰」という超短編が、「金の墓」賞をいただきました。
墓をふたつもいただいて、どちらに入りましょう(笑)。
残念ながら、わがサイトには、超短編置き場がないため、このブログにて、再録したいと思います。
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流転回帰
「すまん、もう絶対にしない。水に流してくれ」
人生の中で、いったい何度そう叫んだことか。
まさか、こんなところで再会するとは思わなかった。
とろりと黒く光る三途の川の水面。捨てたはずの汚物がぷかぷかと流れてきて、俺の手足にからみつく。
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もうひとつ参加中の秋のお祭り、「オンライン文化祭2011 ―夜―」は、12月31日まで会期を延長して、開催中です。
私の参加作は、小説部門では、「惣暗(つつくら)」、メディアミックス部門では、フラッシュノベル「夜の冒険」のふたつです。
ほかにもイラスト部門もありますし、BBSでは、参加者たちのイラスト投稿が盛んに行われています(私もヘタな絵で参戦中です)。どうぞ、会場へお越しください。