主役を誰にするかで妖怪たちが騒いでいる。
『やっぱり俺様だろ?』
分身術が得意なクローン・ヒーロー、研究と称して受精卵をでっちあげる博士より正直な嘘つき猿。
『食べ物を大切にする事にかけちゃ一番だぜ』
残飯も平気で食べるクリーン・ヒーロー、賞味期限の名の元に食物を廃棄するエコ貴族より地球に優しい化け猪。
『地球の3分の2は海だって知らないのか?』
水中を護衛するスクリュー・ヒーロー、守るはずの漁船にぶつかる護衛艦よりも安全な人食い河童。
『水を司れば世界も意のまま』
人の傲慢に天災で応報するスコール・ヒーロー、水循環を破壊するダムより野山を潤す白馬の竜。
そこに乱入するは、
『熱を抑える者こそ未来を制す』
火炎山を制御して五穀を育てる干支魔王、省エネと言いつつ牛肉を食す輩より無駄の少ないグリーン・ヒーロー。
『なんでもお見通し』
最後に現われたのはスクリーニング・ヒーロー、手紙で済む申請を出頭しないと受け付けない役所より話の早い観音様。
騒ぎの陰で、
『私を忘れないでおくれ』
馬上の人は早くもカメラに捕われて、逃げる事もままならず、まさにすくえーん男!
そう、今はヒーローよりも無能な美形がスクリーンに選ばれる時代だ。
—————————————————————
第82回タイトル競作参加作品です。会場はこちら(スクリーン・ヒーロー7)。