アルファポリスの「青春小説大賞」が、もうすぐ終わります。
私は「プラットホーム」で参加していました。せっかくだから、景気づけに一話か二話くらい書こうと思っていたのに、全然書けませんでした。
にもかかわらず、投票してくださった方、本当にありがとうございました。
さて、「伯爵家の秘密」の番外編「伯爵夫人の涙」を突発的に集中連載しています。
さすがに、このお話は拍手が多くて、びっくりします。前半はかなり、やきもきする展開でしたが、すぐに、いつもの展開に戻りますので、ご安心ください。
さて、この連載が終わると、いよいよ「月の戦士」の連載を始めたいと思います。
11月末に連載開始と言っていたのに、計画倒れで申し訳ないです。今度こそ、なんとか年内連載だけでも、こぎつけられればよいのですが…。このごろ「有言不実行」ばかりで、自分に自信がないなあ。
12月3日からは、いよいよ「OPP(Other’s Plot Plan)」が始まります。
参加者が互いにプロットを交換して、どれだけ違いが出るかを比べるという企画です。しめきりが近づくにつれ、会場掲示板やツイッターが阿鼻叫喚の巷と化しておりましたが、なんとか皆さん脱稿にこぎつけたようです。
12月3日、ぜひ会場にお越しください。BUTAPENNも、人様プロットと自プロットの二作で参加します。
自プロットがどう料理されているか、今からわくわくしております。
OPP会場はこちら
「オンライン文化祭2012 ―熱―」も、まだまだ続いています。
「余燼」への感想もたくさんいただきました。
ご感想への返信を書きましたので、どうぞ、「続き」をクリックしてください。
>楽遊さま(メールでもお送りしましたが、一部だけ掲載します)
まず、最初にお礼を言わせてください。私は、生涯の宝ともしたいような尊いご感想をありがとうございました。
私は、それほどのものを書いたかと戦慄したほどです。
ピアノを片手で弾いて奏でたドレミのメロディが、楽遊さんという楽器に出会い、壮大なハーモニーを奏でたような、そんな感動さえ覚えました。特に港の夕暮れの光景。
空気や風、油のにおいまで感じ取ってくださるとは、私の書いた平板な文章を思い切り増幅してくださったとしか考えられないのです。
私が意識して書いたこと、無意識に書いたことのすべてを文章にしてくださった。私よりも、私の作品についてよくご存じなのだと思えるのです。
最初は、「いじめ」を作品を貫くテーマに選んだのですが、それについて、この作品は不完全です。
テーマを突き詰めずに逃げてしまいました。私自身が、子どものころいじめられた体験を持っているのですが、書いているうちに、底知れぬ深淵を覗きこんでいるような恐ろしさを感じてしまったのです。
本来ならば、八田という少年の性格を、もう少し深く掘り下げて、人をいじめる人間の心理の書くべきだったのかもしれませんが、どうしても書くことができなかった。
代わりにテーマとしたのは、最後に書き加えた一文でした。この一文を持って、この小説全体をようやく完成することができました。
「八田を『本当に』殺すことを心底から願う、昏い憎悪のかたまりが同級生の中に生まれ始めたことを。」
の後に、「――そして、自分の中に」という一文を付け加えたのです。
それを付け加えるまでは、作者としては、なんとかして彼を完全無罪にしてやりたいと思っていました。けれど、それは不可能でした。
自分の中に明確な殺意があることを知った瞬は、もうこの件に関して自分を赦すことはないのでしょう。
思えば、掲示板サイトを開いて、殺人ゲームを主催していたころ、彼は傲慢だった。きっと子どものころから、クラスメイトたちを一段下に見ていたのです。自分がいじめの標的になったとき、彼ははじめて自分の傲慢さに気付いたのだと思います。
みんなから見捨てられたことを恨む一方で、彼らの代わりに自分を罰してほしいと願うという心理的な矛盾の中で、彼は刑事に罪を告白しました。救いを求めたと言っていいかもしれません。
そして、彼は救いと更生への一歩を歩み始めたと信じたいです。
ミステリーというのは、すべての矛盾を鮮やかに解決するお話だと思っていたけれど、人間の心理というのは、解けば解くほど謎が出てくるものですね。いや、むしろ、矛盾や謎が残ることが正しいのだと思えるようになりました。
書き上げるのに、これほど苦労した作品はありません。正直、脱稿二日前くらいまで、完成は無理だと思い、主催者にお詫びのメールをしようと思っていたくらいです。
こうして身に余る感想をいただけて、本当にうれしかったです。
>猫さま(メールでもお送りしましたが、掲載します)
「余燼」への感想メールをありがとうございました。返信が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
>静かな表現の内に、二転三転しつつ進行する
まさにそのような展開を考えていたので、本当にうれしいお言葉です。
「熱」がテーマだったので、燃えさかるものを内に秘めながら、丁々発止と冷静に会話するふたりの戦いを描いてみようとしました。
ふつうに考えれば、この後、犯行にかかわったクラスメイトたちは、全員自首、それぞれ裁かれ、少年院送り。瞬も殺人ほう助か何かの罪で、実刑か保護観察処分か。
彼らの場合、犯してはいけない罪は犯しましたが、誰ひとり自殺者はいなかった。
いじめ報道を見るたびに、不謹慎な言い方ですが(本気で取らないでいただきたいのですが)、自殺を考えるくらいなら、相手を殺すくらいの気合いでいろ、と言いたくなるようなときもあります。大人がなんとかしてあげてほしい。
引退した刑事が学校を巡回する、というニュースを、ついこないだ見ました。木場刑事も、老後はそういう道に進んでほしいです(笑)。
うれしい感想をありがとうございました。
>koharuさま
「余燼」への感想をありがとうございました。
主人公の瞬は、真面目で健全な心を持った少年だと思っています。ただひとつ、彼の欠点は、頭が切れすぎることなのでしょう。
他の返信にも書いたのですが、最初、掲示板で悩み相談のまねごとをして、いじめられているクラスメイトを助けようとした頃の彼は、傲慢でした。自分はいじめられない。いじめられても撥ね返すだけの力があると思っていた。そのいじめが、ついに彼に及んだとき(同級生をかばったために、八田に目をつけられたかもしれません)、彼は自分の間違いに気づいた。頭の良さなんか何もならない。自分は弱い、八田が死ぬほどおそろしい。外に出ることが怖い。
皮肉なことに、そのとき初めて、瞬は同級生たちといっしょの目線に立ったことになります。そして、同級生たちの持つ憎悪や殺意を、自分のも持っていることに気づく。殺人ロープレゲームにのめりこみ始めた自分に恐怖する。
とうとう罪を犯すことを拒否して逃げ出したはずなのに、逃げたことも罪だと感じてしまう。彼は本当に純粋な少年なのです。
これから、この事件をマスコミは大きく報道するでしょうね。加害者(瞬たちの側)に対する擁護の声は大きいと思います。被害者である八田を罵る声まで上がるかもしれません。結局、両方ともが被害者なのです。では、本当の加害者は誰なのかといえば、やはり見て見ぬふりをした大人社会なのですね。木場刑事は、瞬がはじめて出会った、信頼できる大人なのかもしれません。
koharuさんのご感想をいただくと、なぜか続編や番外編の構想が生まれるのです。この後、瞬はもしかすると、木場刑事を模範として生き、将来刑事になるかもしれませんね。
>かみたか さちさま
登場人物の心理を深いと言ってくださってありがとうございます。本当は、いくつもの矛盾をはらんでいるのですが、それが人間の心理というものなのでしょう。
冒頭部分、混乱させてしまいましたか。読者はまだ、木場の視点ということがわからないですものね。文化祭が終わったら、ご指摘の部分を修正したいと思います。
それから、木場刑事が「突き落とされた」と言ったのは、これはもう瞬に対する挑発です。おまえたちが計画した「殺人」だとわかっているんだぞ、という。
ネット世界のゲーム感覚が、現実に簡単に移植されたら、大変なことになりますね。もうすでに、その兆しが見えていますが。子どもは現実を自分の五感でしっかり体験してから、ネットにかかわるべきだと思います。
感想ありがとうございました!
>GBさま
「余燼」への感想ありがとうございました。
「社会派ミステリ」……なんて素敵な響き。いつかそんなものを書けるようになりたいなあ(遠い目)。
おっしゃるとおり、これは青春ものというか、人生に絶望したエリート少年と、ちょっとそれより年上の、いろいろ問題はあるけれど人生にまだ絶望していない男との、泥臭い友情ものと言ったほうがいいかもしれません。
>静かに積み上げてきた物語を、くるんっとひっくり返す構成
そういう展開を心がけて書いていたので、とてもうれしいです。
高校の話を書いておられましたが、このお話の舞台は、「特進クラス」という設定でした。八田を含めて各中学の成績上位の生徒たちが集まっていたはずなのですが、そこでも成績による序列ができる。それまで頭の良い子でも、バカと呼ばれる。その屈辱から八田は非行に走ったと思われます。
私は小学校のとき、いじめに会った経験があるので、自分でも、いじめの話は苦手です。なので、あまり深く突っ込んだ描写ができません。苦手だけど、どうしても書かねばならないという衝動に駆られるんですね。
私も典型的な「ぼっち」でした。そういう子に限らず、どんな内気な子でも、協調性に欠けた子でも、それなりに居場所を見つけて心地よく生活できる学校が理想の学校なのでしょう。なのに、近年ますます右へならえの風潮になっているような気がするのですが…。
「自分語り」大歓迎です。自分の書いたお話が、その人の思い出を引き出すきっかけになれたら、こんなにうれしいことがありません。
ありがとうございました。