みなさま、遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
BUTAPENNは、忙しくも怠惰なお正月を過ごして、ようやく今日から平常運転に戻ったばかりです。
久々の朝6時半起きはつらかった…。でも、暮れに比べて、確実に日が長くなっているのがわかります。
気の早い梅が咲いているのも見かけ、季節が移り変わっているのを感じました。
さて、今年最初のPCサイト更新は、「フェデリコ・フィオーレの手紙」です。
これは、一昨年、東日本大震災のための「オンライン作家によるチャリティ本プロジェクト」に寄贈した掌編です。
プロジェクトが終わり、今年1月1日をもって解禁となりましたので、再掲載することにしました。
ちょっと「後書き」めいたことを書きますと。
当時は震災と原発事故が日本に残した爪痕に茫然とし、創作どころではなくなっていたときに、立花実咲さんが発起人となられて「チャリティ本企画」がスタートしました。
何かしたい。
でも、自分の書くものがあまりにも無力に感じられて書きあぐねていたとき、「再生不可能な場所からの再生」というテーマが頭に浮かんできました。
不可能なまでにこじれた人間関係の再生という話をこねくり回し始めたとき、ちょうど以前から構想していた、「CLOSE TO YOU」の続編を焼き直して、「別れを決めた女性が、もう一度夫とやり直す決意をするという話」を書くことにしようかなと思い立ちました。
そうやって完成したのが、不世出の天才画家フェデリコ・フィオーレと、彼の奔放さに悩む年上の妻を描いた掌編です。
「CLOSE TO YOU」のほうは、昨年8月に第4章として、彩音がニューヨークで浮気未遂するお話としてアップしました。
こういうわけで、うちのサイトは、にわかに浮気話ばかりが集中してしまいましたが、決して私生活がそうなっているわけではありませんので(笑)、ご安心ください。
読者の方の中には、夫が浮気をするお話が大嫌いな方がおられるようで、コメントを拝見すると、あまりそういう話を、気軽に読めるオンラインノベルとして載せてはいけないのかなと思ってしまいます。
もちろん、私も不倫など大嫌いなので、不倫礼賛のお話を書くつもりはありません。でも現実には、不倫をした夫の裏切りに苦しみつつも、赦して再出発する妻の話を読んで、これほど大きな愛が存在することに感動したりします。
過ちや裏切りを「赦してはいけない」のも、また真実。しかし、それでもなお「赦そう」と思い定めるところに、不可能を可能とする再生が見えてくるような気もします。
もし「フェデリコ・フィオーレへの手紙」を読んで、「なんか腹が立つ」「納得できない」という方がおられましたら、作者の筆力不足を詫びるとともに、こういう意図で書いたことをわかっていただけたらと思います。
いよいよ、10日あまりすると、サイト開設11周年がやってまいります。
そのときに、あのお話をスタートできたらいいな…(まだ弱気)。と、とりあえずがんばります。