2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1095ページ
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)の感想
「本がたどってきた運命にも、物語がある」――古書店の美しい店長と、本にトラウマのある青年のコンビが、本に秘められた謎を解き明かしていく車椅子探偵風ミステリ。古本に残された署名やハンコを手掛かりに、登場人物たちの人生の謎が明らかになる構成がなかなか凝っている。電子書籍の時代になろうとしている今こそ、本の持つ価値をあらためて再認識すべきときなのかもしれない。
読了日:5月6日 著者:三上延
革命のライオン (小説フランス革命 1)の感想
フランス革命前夜。召集された三部会において、軽んじられていた第三身分議員たちが、徐々に聖職者や貴族の一角を取り崩しつつ国民議会を立ち上げるまでの紆余曲折がおもしろい。そして、まだこのとき彼らの敵は、あくまでも王ではなく貴族だったのだ。ミラボー伯爵とロベスピエールのコンビが佐藤賢一ぽくていい。
読了日:5月11日 著者:佐藤賢一
ペラギウス・コード―古代ローマの残照の彼方にの感想
キリスト教史において異端者として位置づけられている(らしい)ペラギウスを、彼の友人の視点から描く。ホームズとワトスンを思わせる機知に富んだ会話が軸。「人間は自由意志の力で良いほうに変わりうる」というヒューマニズムの理想をかかげるゆえに、異端論争に敗れていく姿は、古代ローマ滅亡の情景とからめて、胸に迫る。治安が悪化する一方のブリタニアやローマをめぐる危険な旅は、冒険ものとしても上質。原題は「The Pelagius Book」で、生涯一冊の本も書かなかった彼の生き方を暗示している。
読了日:5月19日 著者:ポールモーガン
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)の感想
古書の中には桁外れに価値のあるものがひそんでいて、深い知識を持つ者だけがガラクタの中から宝を見分けることができる。それゆえ、栞子は人々の欲望を引き寄せる魔女にもなる。大輔と栞子の仲のゆっくりとした進展とともに、彼女の背負う謎めいた翳の正体が見えてきた。
読了日:5月26日 著者:三上延