バスティーユの陥落 (小説フランス革命 2)の感想
火薬を求めてのバスティーユ襲撃とパンを求めてのヴェルサイユ行進。針の穴でつついたようなきっかけがパリという風船を爆発させていく。無名の男デムーランが一夜にして英雄になる。その動機が婚約者に認めてもらうことだったというあたりは、さすがに佐藤賢一節がさく裂している。このころはまだ、民衆は王に対して崇敬と親しみの念をいだいていた。
読了日:6月7日 著者:佐藤賢一
聖者の戦い (小説フランス革命 3)の感想
第二身分の聖職者の動きを軸に、革命の立役者たちが、それぞれの道に分かれて突き進んでいく。ミラボーがこのまま活躍していたら、王家は存続し、フランス革命はずいぶんと違った形になったのかもしれない。
読了日:7月20日 著者:佐藤賢一
楽園のカンヴァスの感想
謎の富豪から、ルソー作と言われる一枚の絵の鑑定を託されたふたりのキュレーター。一週間のあいだに一章ずつ読むようにと、ルソーとピカソとの出会いを描いた手記を渡される。過去と現在が入り組み、恋と野心がからみあう上質のアートミステリ。美術館で絵の前に立つときの、あの背筋の伸びるような凛とした空気が全編に漂う。
読了日:8月1日 著者:原田マハ
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)の感想
わくわくするような面白さではないのだが、なぜかまったりと読みたくなる本。脇役も含めて、人物が丁寧に描かれているからだろう。次巻も図書館で予約したが、何十人待ちで時間がかかりそう。
読了日:8月12日 著者:三上延
王の逃亡 (小説フランス革命 5)の感想
有名なヴァレンヌ逃亡事件の詳細を、膨大な資料を駆使して生き生きと描いているところは、さすがだ。結果がわかっているのに、息詰まるスリル感。人形だったルイ十六世は、この事件を経て初めて、自分が国王であることを自覚したのかもしれないと、思わず感情移入。
読了日:8月18日 著者:佐藤賢一