とある旅館のウェブサイトの観光情報をそれぞれのスマホで見ていた三人組は、「フォレストアドベンチャー祖谷」が旅館のすぐそばにあることに気づき、旅館の予約ボタンとフォレストアドベンチャーの予約ボタンをほぼ同時に押しましたとさ。三人とも六十歳台……たぶん、上限ぎりぎりですな。
その三人とは、もちろん私、私の夫、夫の妹のことです。
「フォレストアドベンチャー」はフランス発祥の自然共生型アウトドアパーク。
自然共生型アウトドアパーク フォレストアドベンチャー FOREST ADVENTURE (foret-aventure.jp)
日本全国に40近い施設があり、実は私の住む兵庫県の六甲にもあります。ただ、どこも同じというわけではなく、各地特有の地形を生かしたコースづくりが、フォレストアドベンチャーの売り。
祖谷川を飛び越える360メートルというロング・ジップスライドは国内トップクラスというから、これは見逃せません。
ときどき団体予約が入っていたりするので、事前の予約はしたほうがよいでしょう。予約時間の30分前には入って、手続き(誓約書のサインほか持ち物の確認)をすませます。私たちは軍手やウェストポーチを持参しましたが、レンタルもあります。
まず最初にハーネスを装着します。歩くたびに腰のあたりに重い鎖がじゃらじゃらする様子は、「クリスマス・キャロル」の幽霊みたい。デモコースで、ハーネスの取り付けと動作方法を覚えて、あとは自分たちだけで出発です(スタッフは要所要所で見守ってくれています)。
ハーネスは、こんな形をしています(写真はフォレストアドベンチャーのサイトより)。
体に装着したハーネスには、滑車(プーリー)と金属リング(カラビナ)がワンセットとなって付いています。
ひとつのコースに入るときに、この滑車をワイヤーロープにはめこむのです。このワイヤーロープは地上に戻るまでうねうねと続き、滑車はそこから絶対にはずれません。たとえ高所で足をすべらせても(いや、考えたくもありませんけどね)、落下することはないのです。
4つのコースに30余りのアクティビティがありますが、アクティビティのたびにカラビナをひっかけ、終わるとカラビナをはずして移動する、という仕組みです。
森の中は涼しいのですが、すぐに汗だくになりました。地上数メートルの木の上で、ぐらぐら揺れる板やロープの上を伝って歩くので、バランスがうまく取れればいいのですが、少しでもふらふらすれば、脚力腕力腹筋すべてを総動員してバランスを立て直さねばなりません。
ボルダリングのように手の指とつま先だけで移動するアクティビティもありますし、ターザンのように軽く自由落下しながらネットへ飛び移るという難所もあります。高さが怖いとかいう余裕もなく、次の一歩をどう進むかを考えるのに必死でした。
かずら橋ごときで「きゃーきゃー」言ってた数時間前がなつかしい。
とはいえ、易しい迂回路を選ぶこともできますし、ぶらさがりながらワイヤーを手繰って進むこともできるので、私も2つくらいはその方法で楽をしました。
祖谷川の上を渡るロングジップスライドの往復は最高に気持ちよかった。これだけのアクティビティの後では、怖さはなく、風を受けて空を飛ぶのはただただ爽快でした。着地点には、ふわふわのウッドチップが敷いてあるのですが、家に帰ったあと、洗濯する軍手の中からチップが出たときは、また飛びたくてたまらなくなりました。
小さい子ども向けに「てんとうむしライド」という乗り物や、すべり台などの遊具もあるので、ファミリー全員で楽しめるところです。
フォレストアドベンチャー祖谷のすぐそばにある「祖谷温泉ホテル秘境の湯」が、今回の私たちのお宿です。ウェブサイトもなかなかカッコよいのです。
【公式】祖谷渓温泉ホテル秘境の湯 (hotel-hikyounoyu.co.jp)
ロケーション的にも、大歩危小歩危や、かずら橋、祖谷渓などの名所のほぼ中間にあるアクセスの良さが魅力ですね。
お湯がとろりと心地よい露天風呂やよもぎ風呂で汗を流したあと、夕食は囲炉裏風のレストランで。
あまごの塩焼きや阿波牛や阿波鶏、釜めしのおいしさを、四国四県の地酒セットが引き立ててくれます。
長かった一日が暮れていきます。そろそろ脚に筋肉痛が出始めていましたが、この日のイベントはまだ終わりません。
続きます。