7月の読書は、何と言っても、ウェルキンゲトリクス(ヴェルチンジェトリクス)月間でした。
ヴェルチンは紀元前一世紀、カエサルと戦ったガリアの英雄です。
かっこええです。もう、惚れました。佐藤賢一描く、偉大な父から引き継いだガリア部族の統一という重荷を背負わされつつ、母の愛に飢え、残虐で好色で、ひとりで服を着られない誇り高いヴェルチンも好きだし、「アグリッパ」でヤキュウムやスモウムに興じるヴェルチンも好きだーっ。
「月の戦士」で、セヴァンがガリア戦記を読んでヴェルチンに魅せられ、ローマとの戦いを決意するシーンが早く書きたいです。
それ以外は、小川一水の大河長編シリーズを読み始めました。
夫が「半沢直樹」の原作をごっそり買ってきたので、8月の休暇シーズンは、それを読むのも楽しみです。
2013年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2232ページ
陽だまりの彼女の感想
甘い新婚生活に忍び寄る崩壊の予感。なぜ彼女は去らねばならないのかという謎の料理法に、合理的な説明を期待していた人には失望の結末だろう。しかし、いちゃいちゃとベタ甘な恋愛描写が続くのに、不思議と辟易しない、この仕掛けには異論があるはずはない。
読了日:7月6日 著者:越谷 オサム
カエサルを撃ての感想
ガリア戦記の二大英雄が佐藤賢一にかかるとこうなるのか。神のごとき美貌の巨漢ウェルキンゲトリクスと、禿げの中年男カエサルとの戦いは、若者と中年、蛮勇と秩序、野性と老獪との戦いでもある。壮絶な戦いのすえ敗北したガリアの英雄の獣性は、カエサルにのりうつり、後のローマの歴史を変えていく。結局、真の勝者はどちらだったのだろう。
読了日:7月10日 著者:佐藤 賢一
天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)の感想
これは個人の物語ではなく、種族の物語なのだということが、なんとなくわかりつつある。主人公たちの生死は、壮大な叙事詩にとっては些末なことなのだ。読者は、キャラに必要以上に感情移入しないように覚悟して読むべきかもしれない。
読了日:7月18日 著者:小川 一水
ストロベリーナイト (光文社文庫)の感想
連続殺人事件をこれでもかと残虐に描いたことで、それに立ち向かう警察組織の内部事情も、強引な捜査も、ゆるせてしまう。ガンテツが主人公かと思えてしまうくらいカッコいい。姫川の対極に彼を置いたことで、彼女の弱さがきわだってしまった感じ。読んでいて首筋がぞわぞわするのには困った。
読了日:7月20日 著者:誉田 哲也
ガルキスの王子 (創元推理文庫―七つの砦)の感想
「七つの砦」四部作野第一巻。ファンタジーの醍醐味である、異世界の美しい描写という点で、目を見張るものがある。主人公の異母兄弟の心が通じ合っていないため、ややイライラさせられる。このあとの彼らの成長に期待したいところだが、絶版のうえに最後の巻が翻訳されていないので、続きを読むのは覚悟がいる。
読了日:7月29日 著者:ジェラルディン ハリス
天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)の感想
いきなり現代のアジアに戻ってきた。冥王斑という言葉で、かろうじて?とのつながりを保ちつつ、迫力あるパンデミックものにのめりこむ。東京でアウトブレイクが起きたら、ほぼ、これと同じ政策が取られるだろうという説得力。 救世群が、これからどういう組織になっていくのか。冥王斑をもたらしたものの正体は。ラストで移植を果たしたフェオドール・ダッシュは、人類とどうかかわっていくのか。これらを留意しつつ、第三楽章へ。
読了日:7月31日 著者:小川 一水
読書メーター
「アグリッパ」も紹介しておきます。
ヴェルチンが主人公なのに、なぜタイトルが「アグリッパ」なのか。その理由は第4巻まで読むとわかります。続編が出ることを、せつに希望します。