兵庫県人の今いちばん熱い話題は、例の村上ファンド騒動です。
阪神電鉄グループを経営支配し、切り売りするぞと脅して、持ち株を高く売ろうとしているということですが、こうなると阪神側としては、阪急ホールディングスと統合するしか道はないという気配になってきました。それを聞いた私たち地元住民は、驚きよりも怒りよりも、一様に困惑しているというのが本音ではないでしょうか。
阪神地域とは、六甲連山と瀬戸内の海にはさまれた東西に細長い地域。そこを、ほぼ平行して3本の鉄道が東西に走っています。一番北側が阪急電鉄、そしてその南がJR西日本、一番南が阪神電鉄です。
この三本の線路の間隔は場所によっても違いますが、私の住んでいるところでは、阪急線と阪神線のあいだは、直線距離にして自転車で5分かかりません。うちの家からは阪急、JR、阪神のそれぞれの駅に徒歩15分以内で行けるという便利さです。
それくらい近くにある阪神と阪急が統合するかもしれない。「一気に路線や駅廃止が進むのでは」という心配ももちろんあります。「阪神タイガースがなくなるんちゃうか」などいう笑えない冗談(そんなことになったら暴動が起きるぞ)もありますが、それよりも何よりも、地元住民の抱いている困惑とは、事によると、「ちゃう(違う)やん。阪神と阪急はぜんぜんちゃうやん」という戸惑いなのかもしれません。
相互リンク先さまであるHopeさんのブログ「美ら(ちゅら)島から」で紹介された記事を元にたどったのが、全国の都道府県の噂を集めた「ご当地の噂」という面白いプロジェクトに関するページ。
そこの「兵庫の噂」にも載っている一文が、兵庫県民の実感をよく表しています。
「阪急、JR、阪神はほとんど平行して走っているのに、乗っている人の雰囲気がまるで違う。」
実感としては、阪急の車内は、どこか落ち着いて、上品で静か。それに比べて、阪神の車内はにぎやか、庶民的、気さくというイメージがあるのです。私のように阪急、阪神両方乗る人間は、雰囲気を使い分けているということでしょうか。
沿線の土地柄も、阪急沿線は山側だけあって、文字通り「山の手」風、阪神沿線は浜側で「下町」風とくっきり色分けされているような気がします。
もし、阪神と阪急が統合され、仮に同じ名で呼ばれることになったとすれば、このイメージ分けがすっかり狂って、住民はみんな方向感覚がめちゃくちゃになってしまうかもしれません。
なんとか、この統合はなくなってほしいと思うのですが、村上さんはどうなさるおつもりでしょうか。
昨日乗った阪神タクシーの運転手は、こうおっしゃっていました。
「阪神タイガースが『村上タイガース』なんて名前になったら、困りますなあ。それに、「村上タクシー」なんて、わし、いややで」